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 第3章 激闘! パラミタ・ビッグベアー!

「どうも!オーバーキルの人、ネージュです!」
【魔法少女ルピナスフィア】こと、
百合園女学院のネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)が、名乗りを上げて、
パラミタ・ビッグベアーの前に現れる。

「魔法少女だってヒーローだもん!
魔法少女カンパニー『豊浦宮』の一員として、事件解決しちゃうよ!」

「ガルルルルルル……」

イコンほどもあるパラミタ・ビッグベアーが、
ネージュにうなり声をあげる。

「ふっ、
右に暴れるざんすかがいれば、行ってラリアットで吹っ飛ばされ、
左に飢えたじゃたがいれば、行ってお菓子をあげて襲われて。
そんなヒーローにあたしはなりたい。
地祇(ちぎ)たちの凶暴さに慣れ親しんでるあたしは、
野生の獰猛な獣の前でも、
びくともしないよ!」

しかし、ネージュは、平然としてビッグベアーに対峙する。

「ミーたちが凶暴とは何事ざんす!」
「お菓子くれるのか、じゃた」
ザンスカールの森の精 ざんすか(ざんすかーるのもりのせい・ざんすか)と、
ジャタの森の精 じゃたが、ネージュに言う。


そこに、
蒼空学園のロア・ドゥーエ(ろあ・どぅーえ)と、
天御柱学院の
グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)
アウレウス・アルゲンテウス(あうれうす・あるげんてうす)
駆けつけた。

「なあ、ビッグベアー倒したら、単位もらえるかなあ?」
「もらえると思うぞ。
しかし、『捕獲依頼』にしては契約者でない者が周りに多い気が……?」
ロアとグラキエスは、番組制作の事は知らずに、
単に事件の解決の依頼を受けてやってきたのだった。

「むっ?
主に好奇の視線を向けている者がいる」
魔鎧としてグラキエスに装備されているアウレウスも、同様に番組の事は知らない。
「気のせいだろう。
ただの野次馬じゃないのか」
「いいえ、気のせいではございません、主よ」
主至上主義者のアウレウスは気が気ではない。

「不埒な輩め……。
ロア!主の御姿を長く晒さないよう、全力でカタを付けるぞ!」
「言われなくても!
早く終わらせて飯にしたいんだ!」
アウレウスの掛け声とともに、
ロアは、ビッグベアーにダッシュする。
グラキエスも、全力で呪文詠唱を始める。

「え? え? ちょっと?」

「うおりゃああああああああっ!」
野獣のように猛り狂ったロアが、
則天去私をビッグベアーに叩き込む。

「荒れ狂う魔力よ、
猛り狂う吹雪となりて、
彼の者を凍りつかせよ!!」
グラキエスのブリザードも、ビッグベアーに打ち込まれる。

「きゃああああああああああああああ!?
またしても出落ちでお星様!!
これでも目立てば結果オーライだよ!!」

『あなたの街に魔法少女』魔法少女組合「豊浦宮」は、
所属魔法少女たちが皆さんのちいさな日常をしっかりと支えています。
ちょっとした困りごと、トラブルもお気軽にご相談ください!



獣人の村の児童向け複合施設「こどもの家『こかげ』」では、
子供達のお世話をしてくれる皆さんを募集中です。
コミュニティもありますので、お気軽にお越しください。



<いつもニコニコあなたの隣に這い寄る機晶姫!>
<お好み焼き屋台『はっくちゃん』、お呼びとあらば即参上!>

というわけでお好み焼き屋台『はっくちゃん』常時営業中じゃ。
普段は自分が作っとるが、いない時は副店主が作るけー安心してな。
お好み焼きの味は天下一品! 鉄板焼きも作れるけー、欲しい人は注文してくれ。

またアルバイトも常時募集しとるけー、連絡くれな。
各地を流浪しとるけー、見かけたらぜひ来店よろしく!
以上、店主メイスン・ドットハックからの広告でした。


多数の広告を画面に踊らせつつ、
ロアとグラキエスの攻撃に巻き込まれたネージュはぶっ飛ばされていった。

「あっ、ミーがぶっ飛ばす前に飛んでってしまったざんす!」
「お菓子まだもらってないじゃた」
ざんすかとじゃたが、慌ててその後を追う。

「『蒼空のフロンティア〜おとこのこうちょう!〜』にはあたしも出演してるよー!」
ネージュの声がこだました。


★☆★

「あ、あれは?」
撮影を行っていた六本木 優希(ろっぽんぎ・ゆうき)が、
巨大な影に気づく。


「グルルルルルル……」
だんだんとボロボロになっていくビッグベアーの前に、
イルミンスール魔法学校の赤羽 美央(あかばね・みお)
パラミタ怪虫モフラ
立ちはだかったのだ。

美央は、モフラにやじ馬たちの注意を向けさせる。

「怪獣同士の戦いで周囲に被害が及ばないよう、
ファンサービスをしててくださいね」

パラミタシネマにて上映予定!
ゴリラVSモフラ
乞うご期待!


そんな宣伝がモフラの身体に浮かび上がる、


「迷える雪の旅人よ、こんにちわ、雪だるま王国女王赤羽美央です。
雪だるまの素晴らしさを全世界に発信出来ればいいなと思います。
龍騎士のように強い騎士を目指す、自らの信条に仕える烈士です」

「グルルルルルル……?」

その名乗りが、プロボークの効果となり、
ビッグベアーの注意が美央に引きつけられる。

「グオアアアアアーッ!!」

ビッグベアーが美央を攻撃するが、
避けることなく、その攻撃をすべて美央は受け止めた。

「落ち着いてください。
私は危害を加える気はありません」
キュアオールで怪我を治しながら、美央が言う。

「ガオオウウウウウッ!!」

さらに攻撃をするビッグベアーだが、
美央は攻撃を受け続ける。

雪だるま王国は雪だるまとの共存を目指す素敵国家です
雪の世界で雪だるまと戯れてみませんか?
愉快な王国民と巨大雪だるま達があなたをお待ちしております



「待て!
ビッグベアー!
俺はおまえを助けに来たんだ!」
アキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)が、
ジャイアントピヨを連れて現れた。

なお、テレビ出演には興味はないので、
隅の方でこっそり事件解決しようと思っていたのだが、
ジャイアントピヨがいるのだから無理である。

「……うまそう」
ロアが、モフラとジャイアントピヨを見てボソッと言う。
ビクッとする二匹だが。

「た、食べちゃダメです!
お願いします、これ以上、ビッグベアーさんを傷つけないでください」
セレスティア・レイン(せれすてぃあ・れいん)が、
ロアたちを説得する。

「と言ってもなあ。
このままじゃこっちがやられちゃうだろ」
「ビッグベアーさんも、
きっと、こんなところに無理やり連れて来られて怖がってると思うんです。
お願いです、私たちで協力して鎮めますから!」

セレスティアの必死な訴えに、
ロアとグラキエスは顔を見合わせる。

そうしていると、
抵抗せずに攻撃を受けていた美央に、ビッグベアーがひるみはじめる。
「グルルルルルル……」

「怖がらなくいていいのですよ」
美央は、傷だらけになりながらも微笑む。
「そうです。私たちが助けてあげますから」
セレスティアも、美央とビッグベアーに回復魔法をかける。

「グルル……」
ビッグベアーは、優しく声をかけられ、次第におとなしくなっていった。

「こいつが密輸されそうになってたってことは、
どこかに密猟団がいて、まだ捕まってる動物もいるかもしれないってことだろ?
なんとしても突き止めて、
元いた場所に返してやらないとな」
アキラが言う。

そうしていると、アキラの元に、
ルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)から連絡が入る。
「街での目撃情報から、密猟団の関係者らしい奴を捕まえたぞ!」
「よし、アジトを襲撃だ!」
アキラたちは、ジャイアントピヨとともに、
密漁団アジトに襲撃をかけた。
アリス・ドロワーズ(ありす・どろわーず)は、アキラの身体の上でナビゲートしつつ、
ヒプノシスで密猟団を眠らせる。
「罪もない動物たちをさらってお金を儲けようなんて、許せないワ!」

こうして、密猟者のアジトは壊滅させられ、
捕まった密猟者は動物たちの元いた場所や、すでに取引をしていた取引先を吐かせられた。

かくして、アキラたちは、
動物たちを元の場所に返してあげることにするのだった。

「別に、テレビに出たくてやったんじゃねーからな。
ヒーローとかそういうのは辞退するよ」
「わかりました。でも、皆さんの活躍で、
多くの動物や、市民が救われたんです。
そのことはしっかり報道させていただきますね」
アキラに、優希は笑顔でいい、
ジャーナリストとして、一部始終をきちんと世に伝えたのだった。

★☆★

一方、ロアは、戦闘が終わったのち、
グラキエスに迫っていた。
「なあ、グラキエス、ちょっとかじっていい?」
「ああ……。ロアも怪我してるじゃないか。
そんな傷、『舐めれば治る』よな?」
そんなことを言いつつ、ロアとグラキエスは、
良い子には見せられないシーンを展開した。

「良い子のみんなは、モフラに注目してください!」
美央が慌てて、市民の視線をそらさせるが。

「う、わあ……」
優希は赤面しつつも、
ついつい、ロアとグラキエスの絡みを一部始終撮影してしまった、
そのため、
結果的にさらに視聴率アップとなるのであった。

★☆★

一方、スタジオでは。

「なあ、ああいうのどう思う?」
ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)が、
長尾 顕景(ながお・あきかげ)に話を振られて、困っていた。
シーンがシーンな上に、女装しているので声が出せない。
一方、ウォーレン・シュトロン(うぉーれん・しゅとろん)は、
男であるルファンにときめいてしまっており、
他人事ではない感じだった。
(やば……こいつが女だったら間違いなく惚れてるもんな)