天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

秋のライブフェスタ2022

リアクション公開中!

秋のライブフェスタ2022

リアクション

 
  
 
「さて、改めまして本日司会をさせて頂きます卜部です。今日はこちらのウズミさんとともにライブフェスタの様子をお伝えしていきますのでよろしくお願いいたします」

 テレビ中継も入っているこのライブフェスタ。カメラに向かってぺこりと頭を下げる姿はニュース番組の時のようだ。隣にいる男も同様に頭を下げて話し出す。

「本日卜部さんとともにMCを務めさせていただきますウズミです。どうぞよろしくお願いいたします」

 かっちりとしたスーツに身を包み、マイクを持って司会をする姿は、アナウンサーと言うよりもむしろ会議室でプレゼンテーションでもしているサラリーマンのようだ。

「ではこの“IDOL LiveFesta jam”についてですが、皆様、お手元に審査ボタンはお持ちでしょうか?」

 客席でざわざわと手元を見たり、カメラに向かって審査ボタンごと手を振ったりする姿があちこちで見て取れる。遠くの客席にもよく見えるようにと設置された巨大スクリーンに、審査ボタンを持った卜部の手元がアップで映し出される。白く小さなリモコンのような形で、赤と白のボタンが二つついているだけの簡単なものだ。

「入場時に皆様にお渡ししたこの審査ボタンがアイドルたちの命運を分けることになります」
「はい。これからアイドルの皆さんに二組ずつ順番にパフォーマンスをして頂きます。二組終わるごとにそれぞれの得点が表示され、より点数の高い方が勝ち残っていく方式です。三組目からの方々は、暫定一位の点数を超えれば勝ち残り、逆に越えられなければすぐ敗退ということになります」
「一バトルごとに集計を行います。二組のパフォーマンスが終わった段階で皆様に審査をして頂きます」
「それを見て、これは応援したい、これは伸びる、そう思ったアイドルの色のボタンをぽちっと押してください。もちろん、両方いいと思ったら二つとも押して頂いて構いません。反対に押さないという選択も出来ますので、アイドルたちが勝ち抜けるかどうかはあなたの一票にかかっています」
「点数は全体の何パーセントがボタンを押したかという点数で、満点は百点の方式でいきたいと思います」
「ちなみにトップバッターで歌ってくださった寿子さんの点数は前回勝ち抜いた際の点数を使わせていただきます。その数字はチャレンジャーの優勝者が決まってからの発表となるので、最後までドキドキしながら見てくださいね!」

 卜部とウズミがテンポよく説明をしているのを見て、なるほどと裏で聞いていたリカインも思った。

「さて、そろそろ皆様準備はよろしいですか? それではさっそく一戦目の方たちをお呼びいたしましょう!」
「魔法少女・マジカル☆カナ、ラブゲイザーfeat.千尋の二組です。どうぞ!」

 音楽が鳴り響き、スモークの中舞台の両袖がスポットライトで照らされる。
 先に姿を見せたのはマジカル☆カナこと遠野 歌菜(とおの・かな)。ピンクと白を基調とした衣装は、レースでふんわりと上品に仕上げられ、だが魔法少女らしく可愛らしさもしっかりと残したリボンでアクセントをつけている。帽子のワンポイントと同様の星型のマイクを持ち、客席に向かって手を振った。
 続いて登場したのはラブゲイザーの面々。
 琳 鳳明(りん・ほうめい)響 未来(ひびき・みらい)、そして今回日下部 千尋(くさかべ・ちひろ)も加わってラブゲイザーfeat.千尋としてライブフェスタに参戦することになったのだ。

 司会二人に挟まる形でカナとラブゲイザー、千尋が並んだ。

「マジカル☆カナさんはとっても愛らしい格好ですね。対するラブゲイザーの方々は、カッコよさを生かしつつ可愛らしさも出ていますね」
「それではさっそく意気込みを聞いてみましょう! ラブゲイザーの皆さん、どうですか?」

 マイクを渡されて鳳明が答える。

「846プロダクションのロックアイドルユニット『ラブゲイザー』としてこちらの響未来さんと活動を始めて一年が経ちました。今回は千尋ちゃんがダンスで参加してくれるので皆さん楽しみにしてくださいね!」

 スクリーンに大きく映し出される、堂々とした振る舞いの鳳明、にこにこと笑顔を絶やさない響と千尋。そんなラブゲイザーの面々を関係者席から見ながら日下部 社(くさかべ・やしろ)は口元を上げてステージから客席へと目を向けた。

「さて、ウチの事務所の実力、どこまで通用するか試さしてもらうで」

「それでは続いてカナさんに聞いてみましょう」

 いつも以上に緊張しているカナの姿を見て月崎 羽純(つきざき・はすみ)は客席から心配そうに見つめていた。
 普段はカナと二人で組み、羽純はギターで伴奏をするのだが、今回はアイドルバトルということで客席から応援することにしたのだ。しかしこんなにハラハラするのであれば一緒に出てしまったほうがよかったのかもしれないとさえ思ってしまった。

「――この歌は、いつも私を支えてくれる大切な人へ、想いを込めた歌です」

 そんな不安さえもかき消すような言葉に、羽純は胸の中に温かいものがじんわりと広がっていくのを感じていた。

「それでは両者にさっそく歌って頂きましょう! まずはラブゲイザーfeat.千尋、そしてマジカル☆カナさん『destined soul mate』です!」