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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

リアクション

3)


水上の町アイールにて。

武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)は、
待ち合わせに現れた、
セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)の姿を見て、感嘆した。
夏らしい、白系統のチュニックに、
オレンジが鮮やかなミニスカート。
健康的な脚を美しく見せるハイソックスと、
女の子らしさを協調しつつも、歩きやすそうなパンプス。

「な、なんで黙ってるのよ」
「よく似合ってる……新しいセイニィの魅力を見られた……」
そう、赤面しながら言った牙竜に、
セイニィも顔を赤らめた。
「ふざけたこと言ってないで、さっさと行くわよ!」

2人が向かったのは、
アイールハーブ園だった。

ゆっくりと花を愛でて散歩しながら、牙竜がポプリ作り教室を見つける。
「ポプリか。一緒に作ってみないか?
ティセラとパッフェルへの土産に最適だと思う……。
ポプリ作りは香りを嗅げば、思い出を思い出しやすい作りにもなるし……どうだ?」
「たしかに、いいかもしれないわね」
セイニィも、実はかわいいもの好きという性格から、
ポプリ作りが気にいったようだった。

さっそく参加することにした2人は、
様々な材料を前に、どんなポプリにしようかと迷う。

「そうだ、セイニィ、ちょっと失礼」
牙竜が、やさしく、セイニィのツインテールの髪をひと房すくい上げて、
そっと香りをかいだ。
「ななな、何するのよ!」
セイニィは、真っ赤になって慌てるが、
牙竜が言う。
「すまない、やましい気持ちはないんだ。
ただ、香水でもそうだが、
その人の持ってる匂いと香水の匂いが混ざり合った状態が
一番いい印象を与えることができるんだ。
ポプリ作りでも同じだと思ってさ」
「そんなこと言ったって、恥ずかしいのは恥ずかしいじゃない!
今度そんなことしたらぶっ飛ばすわよ!」
そう言って、牙竜から軽く距離を置くセイニィだが、
顔は真っ赤になっている。
牙竜は、照れるセイニィを見て、微笑を浮かべ、
セイニィに似合う香りのポプリを作り始めた。

「ほら、どうだ?」
「……いい香りね」
完成したポプリの香りを、2人で楽しんだ後は、
木陰でゆっくりと休むことにする。

木に寄りかかって、5月のそよ風を楽しんでいた2人だが、
ふと、牙竜が、セイニィに言う。
「愛する人の匂いで安らいだ気分になってしまった」
牙竜は、眠りに落ちていきそうになっている。

セイニィは、膝枕をしてほしいのだということがわかったが、
今日は、おしゃれをしてミニスカートをはいてきているため、
恥ずかしがる。

「……もう、しょうがないんだから」
セイニィは、木にもたれた牙竜の頭を自分の肩で支えた。
「しょうがないから、肩だけ貸してあげる」

「ありがとう、これだと、セイニィの顔が近くに見れていい」
「何言ってるのよ、バカ!」
牙竜は、そのまま眠ってしまった。

穏やかな昼下がりが続いていく。