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冬空のルミナス

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冬空のルミナス

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●ねぼすけさんたちを起こそう

 さて、と冷蔵庫から雑煮の具材を取り出して、クロス・クロノス(くろす・くろのす)はぐるりと振り返った。
 そろそろねぼすけさんたちを起こそう。
 パートナー四人中二人が関東近郊で生活していたのもあって、この家では毎年関東風のお雑煮がリクエストされる。そういうわけで今年も例年通りのお雑煮だ。すまし汁を出汁に、下茹で済みの具(鶏肉・小松菜・大根・人参)と餅を入れたすっきり味である。
 餅をトースターに入れてクロスはパートナーそれぞれの部屋に向かった。
 ――といっても、明け方まで酒盛りをしていた飲兵衛たちは起こしても起きないでしょうね。
 などと思い、彼女がまずノックしたのはカイン・セフィト(かいん・せふぃと)の部屋だった。
「おはよー、朝ごはんできてるよ」
「ああ、すぐに行く」
 つぎの月下 香(つきのした・こう)は多少手こずった。
「むー、いまなんじなの、あさ?」
「すっかりお日さまも、昇ってるよ」
「でもまだねむい……」
「朝ご飯食べたら目も覚めるよ。さ、おいでおいで」
 ほどなくして廊下に、カイン、つづけて香が姿を見せた。
「深更まで飲兵衛たちに付き合っていたせいで惰眠をむさぼってしまったな」
 とは言うものの、彼は身だしなみもしっかりしており、眠そうな様子は見えない。
 カインは香を見つけて声をかけた。
「おはよう、まだねむいか?」
「おはよー、ぱぱ。ちょっとねむい」
 目をしきりと擦っているし、じっさい、瞼も半分閉じているしで、香は言葉通りの状態だった。
「昨日はいつもより遅くまで起きてたからな」
「うん。……あ、そうだ! あけましておめでとうございます。えーと? ことしもよろしくおねがいします?」
「ああ、あけましておめでとう。クロスにもちゃんと言うんだぞ」
「うん!」
 二人揃ってリビングに入ると、湯気上げる椀を食卓に並べてクロスが待っていた。
「おはよう、今日は毎年恒例の雑煮か?」
「うん、そうだよ。お雑煮だけで足りないようならおせちも出すけど?」
「とりあえず雑煮を食べてからでいい。おせちのほうも今年もいつものか?」
 純和風か? という質問だ。煮物が多すぎて正直……いつも長い間残る。しかしクロスの返答は明るかった。
「違うよー。今年は洋風のおせちの詰め合わせを買ったから片付くと思う」
 その点、今年はちょっと安心というわけだ。
 香も挨拶する。
「まま、おはよー」
「おはよう。そして、あけましておめでとう」
「あー、ままにさきにいわれちゃった。おめでとうー」
 三人揃って、「いただきます」。
 香りのよい出汁と柔らかい餅の食感は、まさしく元旦ならではの味わいだ。
「ところでおじちゃんたちは?」
 餅を、にゅーっと伸ばしながら香が言った。
「二人なら寝てるよ。朝になりそうなぐらいまで起きてたみたいだから、起こしても起きないと思って」
「あの二人も毎年恒例だな」
「そっかー…」
 でもね、と前置きして、
「二人ともお昼過ぎには起きてくると思うよ、今年は一緒に初詣行くって!」
 こうクロスが言ったので、香の表情はぱっと明らんだ。
「ほんとう! みんなでいくの?」
「本当だよ。香が一緒に初詣に行きたいって言ってたって話したら約束してくれたの」
 香は手放しで大喜びだ。なぜって昨年、「来年こそは一緒に行きたい」と彼女は初詣の場で言っていたからである。
「やったー!」
「おやおや、あの二人がか……明日にでも雪でも降るんじゃないか?」
 カインは茶化すが、そう満更でもない顔をしていた。
 今年は、なんとも賑やかな初詣ができそうだ。