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冬空のルミナス

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冬空のルミナス

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●Epilogue――There’s no place like home

 今日一日、元旦を満喫した。
 一日がたった二十四時間ということに、今さらながら思いを馳せる。
 短い、本当にあっという間の1月1日だった。
 この日、博季・アシュリング(ひろき・あしゅりんぐ)は妻のリンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)とともに、パラミタ中を飛び回る旅に出た。「パラミタ中のお正月を楽しもう」というテーマだった。その目的は、かなりの意味で果たされたと思う。
 今、ようやく自宅に戻ってきたところだ。
 ぐったりと体が重い。椅子に背を預けると、そのまま眠ってしまいそうな気がする。
 だから博季は意識的に体を動かすべく、立って食事の用意をしていた。やがて、
「疲れたけど、楽しかったね」
 言いながら博季は食卓に碗を置く。雑煮だ。
「うん、楽しかった! 色んなお祭りとか屋台とか、いーっぱい回ったもんね!」
 リンネが大喜びで箸をとる。
 暖炉の近くでは、愛馬であるペガサス『ファウ』が眠っていた。ファウの翼はけばだっている。人力ならぬ馬力でこの旅行を成立させるため、ファウにはかなり働いてもらった。
「ちょっと無理させちゃったかなぁ?」
「明日からは別の方法で動いた考えたほうがいいかもー?」
 明日もまた、世界を回る予定なのである。
「いずれにせよ、今日はもう、休もう」
 香ばしい湯気を上げる碗を手に博季は言うのである。
「あたたかいお雑煮を食べて、お風呂に入って、暖かいお布団でゆっくり眠る……ふふ、当たり前のことだけど、すごく幸せな気がするでしょ?」
「だよね! 家に勝る場所はなし、ってコトワザの通りだよ〜」
 白い餅と温かな汁のハーモニーで胃の腑を満たすと、博季は風呂の様子を見て戻ってきた。
「いい湯加減みたいだ。さ、リンネさん、一緒にお風呂入って温まりましょう。冷えた体を温めないと……さすがに一日出歩いてたから冷えちゃったしね」
「さんせーい♪」
 彼ら夫婦はもっぱら、一緒に風呂に入る習慣にしている。
 肌と肌の触れあいは、二人にとって大切な『会話』なのだ。
 ばしゃ、と水音立ててリンネが湯につかった。
「生き返るね〜!」
 博季もつづいて広い湯船に身を沈め、骨にしみるような熱を味わう。リンネと肩を合わせ大きく息を吐いた。
 雲とみまがうほどの湯気の中、力を抜けば浮力がかかり、なんだか無重力空間にいるような気持ちになる、目を閉じればますますその印象は増し……。
「寝ちゃダメだよー」
 リンネの声を聞くと、博季は首を振って目を開けた。こっくりこっくりと船を漕いでいたのだ、
「あはは、お風呂で眠ったら風邪引いちゃうし、体洗ったらすぐに出て、ゆっくり眠らないとね」
 旅行の話は当分尽きることがなさそうだ。見たもの、食べたもの、初めて目にした未知のもの……一日の思い出を語らいながら背中を流し合ったり、髪を洗ってもらったり。
 お礼にリンネの髪を丁寧に洗いながら、たとえようのない充実感を博季は感じていた。
「どうしたのー?」
 シャンプーで頭が泡の塊のようになったリンネが、お湯かけてーと博季ににねだった。
 風呂から上がって着替えれば、こんどは毛布が二人を待っている。
「もう寝なきゃ……でも、話したいことがまだ、いっぱい、いーっぱいあるよ♪」
「なら、うんとおしゃべりしちゃいましょうか。眠くなるまで」
「朝まで話こんだりして〜」
 と笑ったリンネだが、はしゃいでいたのはほんの短い間にすぎなかった。いつのまにか言葉が途切れ途切れになり、完全に消え、やがて静かな寝息を立て始めたのだ。
 博季は微笑した。
 彼女の寝顔は天使のようだ。あどけなくて、無垢で、美しい――いつまでも眺めていたくなる。
「ね、リンネさん。幸せなお正月をありがとう」
 博季は小声で彼女に語りかける。
「僕、最高に幸せだよ」
 と。

 
 真夜中の空には、輝ける満天の星々……。



 ――『冬空のルミナス』 了




担当マスターより

▼担当マスター

桂木京介

▼マスターコメント

 マスターの桂木京介です。
 事情があって久々のシナリオガイド公開となってしまいましたが、多くの皆さんにご参加いただくことができ、しかもこんなにバラエティ豊かなアクションをお寄せいただいたことに、ただただ、感極まっております。
 本当にありがとうございました。いいお正月がすごせましたか?

 それでは、また、新たなシナリオでお目にかかりたく思っております。
 次はシリアスなお話です……多分!

 桂木京介でした。


―履歴―
 2014年1月25日:初稿
 2014年1月29日:誤字など修正。二稿。
 2014年2月 3日:誤記修正。ご迷惑をおかけしました。三稿。
 2014年2月11日:誤記修正。ミス多すぎ……四稿。