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リアクション
■予選 葦原明倫館
葦原明倫館にて。
「では、これより、明倫館の予選を開始するでありんす!
皆の者、日頃の鍛錬の成果を見せるでありんすよ!」
葦原明倫館総奉行ハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)が、試合開始を宣言する。
緋柱 透乃(ひばしら・とうの)と
フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)は、
それぞれのパートナーたちと視線を交わす。
2組の契約者たちは、共闘を行い、
予選を勝ち残り、最終的に、自分たちが1対1の戦いをしたいと考えていたのだ。
緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)と、ベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)が、
特に警戒していた対戦相手である、
紫月 唯斗(しづき・ゆいと)を真っ先に狙い、攻撃を仕掛ける。
「動きを封じさせてもらいます!」
陽子が、奈落の鉄鎖で、唯斗の行動を阻害しようとする。
「なんつーか見事に俺と陽子以外
肉体労働担当しかいねぇな。
……ま、あんま邪魔しねぇ程度に動くか。
特に透乃とレティシアの邪魔した日には斬って棄てられちまいそうだしな」
ベルクも、レティシア・トワイニング(れてぃしあ・とわいにんぐ)たちの方をちらりと見つつ、
覚醒マオウの魔法を放つ。
「くっ!」
唯斗は、
アブソービンググラブで魔法の攻撃を吸収するが、すべてを受け切れるわけではない。
フレンディスも、魔法で体勢を崩した唯斗に、
月影遁の術・霞月式で攻撃を仕掛ける。
(もしこの予選を勝ち抜く事が優秀な成績を修める証になるのでしたら……。
私、絶対に負けられませぬ)
「さすが、バトルロイヤルと言ったところか!
だが、俺も負けれらないんだ!」
数人がかりの攻撃を受けつつも、投げの極意で受け流しながら、
唯斗が反撃を仕掛ける。
「唯斗!」
パートナーのリーズ・クオルヴェル(りーず・くおるう゛ぇる)が、
唯斗を助けにかかる。
「リーズ、いつのまに参加して……!?」
「アンタ流石に自信過剰じゃないの?
予選は手伝ってあげるから!」
「させないわ!」
しかし、リーズの前に、月美 芽美(つきみ・めいみ)が立ちはだかる。
だが、麒麟走りの術により、
スピードに勝るリーズが、目の前にいる芽美を一気に攻撃する。
「へえ。でも、狭いリングの中、あまり走り回るのも考え物だと思うわよ?」
神速を使っているものの、
芽美は、地味な攻撃でも、着実にダメージを与え、相手を倒す戦術を取っていた。
リーズは、超高速で霞斬りを放つ。
次の瞬間、唯斗が、インペリアルイディクトを使う。
「吹き飛ばせ!」
具現したのは、大槌だった。
芽美はリングアウトさせられる。
「ふむ、しかし、我の攻撃に耐えられるかな」
レティシアが、覚醒ラヴェイジャーの剛腕で、リーズに攻撃を仕掛ける。
分身の術や隠形の術とスピードで、リーズはなんとか回避する。
一方。
瀬山 裕輝(せやま・ひろき)の前には、
霧雨 泰宏(きりさめ・やすひろ)が立ちふさがり、注意を引きつけていた。
泰宏は、プロボークにより、自分に攻撃をするよう仕向けて、
流体金属槍で少しずつダメージを与える作戦であった。
「仲間の邪魔をさせるわけにはいかないからな」
「へえ、そう言うても、
オレを倒すつもりやないんやろ?」
時間稼ぎが目的であると見て、裕輝が、七曜拳により、
泰宏の間接を狙って、動きを封じていく。
泰宏は、裕輝に倒され、競技場から落ちる。
裕輝は、さらに、リーズとの間合いを詰めて攻撃を仕掛ける。
その隙により、
レティシアの攻撃で、リーズは吹き飛ばされ、場外となる。
「ほな、一緒にやろうや……」
「ふむ、やらせてもらおう」
裕輝はレティシアと激しい戦闘になる。
どちらも、自分がダメージを受けることを気にしていない戦いであった。
そのころ、多勢に無勢で、唯斗も追い詰められていた。
マオウであるベルクを、魔力吸収の能力で無力化していたが、
ダメージは蓄積されている。
(どんだけ速くても当てに来るならソコに居るんだ)
唯斗は、フレンディスに、溜めた魔力エネルギーで一気に攻撃する。
「……!」
衝撃で、フレンディスを場外に突き落とす。
しかし。
透乃たちの攻撃で、唯斗はKOされてしまう。
他方、
裕輝と戦っていたレティシアを、ベルクが援護に回る。
「あはははっ。
なかなか面白かったで……!」
ついに、レティシアにとどめを刺され、裕輝が倒れる。
「いよいよ、舞台が整ったね」
「お主は戦いを解っている。
……そうであろう? 透乃。
故に我も殺りやすい。
さぁ、お主と我で存分に愉しく死合おうぞ」
透乃とレティシアのラヴェイジャー同士の一騎打ちが始まった。
一方、陽子とベルクも、魔法使い同士の一騎打ちを開始する。
透乃とレティシアは、お互いの肉体がどのような状態になろうと、
気にせずに、攻撃を仕掛け続ける。
やがて、すでにダメージをより多く受けていた、レティシアが倒れる。
「ふふ、楽しかったぞ……」
一方、ベルクも、我は誘う炎雷の都をかいくぐり、
陽子を倒していたのだが。
「やべっ……」
もう一人、残っていた透乃がベルクに攻撃する。
血まみれとなりながらも、最後に立っていたのは透乃であった。
■
「まるで、時代劇や、剣豪漫画の世界のようであったでありんす!」
ハイナは、命がけの戦いに、絶賛の言葉を贈った。
「それを現実で行えるのが契約者!
わっちが憧れた、サムライ・ニンジャ・ヒーローの世界でありんす!
葦原明倫館が最強ということを、世界に知らしめるでありんすよ!」
「もちろんだよ」
ハイナに、葦原明倫館の大きな旗を渡され、透乃はうなずいたのであった。