リアクション
陸路 3 ヴァイシャリー 「ここが、ヴァイシャリー!」 さて、こちらはヴァイシャリーにやってきた騎凛先生たちご一行。騎凛は琳 鳳明(りん・ほうめい)と交渉のために訪れたわけである。教官に付いて、第四師団のやり方について学ぼうという魏 恵琳(うぇい・へりむ)も一緒だ。「なるほど、綺麗な街ね。師団長。では早速」「ええ。そうですねまずは」 久多、ユウ、ミヒャエル、プリモ。護衛にメイドに博士に温泉開発者らが、更に付き従っている。しかしとりあえず今やることは…… 「わぁ♪」 水上を走る遊覧船を見て、駆けていくプリモ。「コンロンでの温泉開発に、あれを……」。ルゥ、三厳もプリモに続いてきゃぴきゃぴと駆けていった(ユウ「……」)。 ――観光。 「ヴァイシャリー。そしてあれに見えるは、百合園女学院。 シャンバラでもっとも大きな湖に浮かぶ優雅な街……ヴァイシャリーの一角に百合園女学院は建てられたのです。この街にはシャンバラの離宮があったとされ、ヴァイシャリー家はこの街と百合園女学園を誇りとし……」 観光案内。を始めるミヒャエルに、ラテンノリでダンスをしながら辺りを見回すロドリーゴ。「はしゃぎすぎだよ!」アマーリエが二人をぶん殴る。 「ふむ、ここが水の都ヴァイシャリーか。南部では見られぬ風光明媚な土地よな! ぬ、主人や、このゴンドラ饅頭1箱くれ」 ヒラニプラ南部から琳に付いてきた地祇の南部 ヒラニィ(なんぶ・ひらにぃ)。 「ちょ、ちょっとヒラニィ……」 琳鳳明はこれからの交渉を控え、皆のように観光気分ではいられない。 「……」 魏恵琳は反応に悩んでいた。「とにかく、麒麟師団長。まずは……あれ? 師団長どこに」 むぐむぐ。ヴァイシャリー名物饅頭を手に、ヒラニィが琳のところへ戻ってくる。 「……にしても話に聞くに、最近やってきたとかいうエリュシオンの使節団がデカい顔をしておるとか。 元々ここを取り仕切っておったヴァイシャリー家としてはいい迷惑だろうのぅ。 街の主導権に関して譲れぬ物があるだろうし、一度不干渉を認めさせれば、ここを通り抜けるまでの間くらいは睨みを効かせてくれるだろうて」 「う、うん。……」 交渉が上手くいけばいいのだけど。「じゃあ、キリン先生。行きましょうか……って」 騎凛は、プリモ、ルゥ、三厳らと川べりで遊覧船に手をふっている。 「キリン先生……」 琳は、そんな騎凛だけど以前より親しみを感じていた。というのも、 「キリン先生の中にジャレイラさんがいる……。 あの夢の中で先生はそう言ってた。その意味は正直判らないんだけど、今はとりあえずキリン先生の側にいようと思うんだ。一緒にいればおのずと意味も判るだろうし、何よりまたジャレイラさんに会えるのなら……」 騎凛はそれにしても何が変わったのだろう。南部平定戦、十二星華との邂逅、パートナーの死、夢、……それらは今は一度、すべて騎凛の内側に。 「うーん、未練がましいのかな?私。 まぁ、夢から連れ出してくれた後も、第四師団に残れるように取り成してくれたって恩もあるし、頑張るよ!」 騎凛が戻ってくる。 「ごめんなさい。行きましょうか」 「キリン先生」 「ふむ。(……キリンとやらの内にジャレイラ含めおるというのはどういう事だろうの……?)」 ヒラニィは主に胸を見つつ。 「騎凛師団長。その前に、まずはここでイルミンスールからの協力者の方々と合流する予定だったのでは?」 魏恵琳が、ようやく騎凛に発言する。 「そうでした。いきなり、私たちだけで観光しちゃいましたね」 じー。 もう一人、騎凛の胸を見つめる人がいた。 悩める男のようだ。 「(俺も教導に入って、セイカの傍で頑張っていこうと思ったが……)」 久多だ。 ――ただ、傍にいるだけじゃあ駄目だ。俺も成長していかなくちゃあいけねぇな。 何よりもアイツの力になりたいし、アイツを支えられるような人物に俺はなりたい。その為にも、今回は頑張らないとな。 などと思いつつ、騎凛につい目がいく久多。それも仕方ないかもしれなかった、 「ところで、似合ってるけどなんで水着なんだ……。 ……でもまぁ、なんで水着姿なのかは、突っ込むのはやめておこう。うん。 可愛いし、眼福だしな」 じーっ 「久多さんっ。なにか、ありますか?」 「セイカ。いやその、……(胸が)」 「ありませんね、ですか」 「……はい」 そこへ、 「あ。来ました来ました。 イルミンスールから協力を申し出てくださった、魔王軍ご一行様です」 |
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