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ゴチメイ隊が行く5 ストライカー・ブレーカー

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ゴチメイ隊が行く5 ストライカー・ブレーカー

リアクション

 
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「侵入者か。相変わらず、どうしてこのタイミングでというようなときに邪魔を入れてくる。つくづく、俺たちとは相性が悪いらしいな」
 制御室で館内モニタを見ながら、オプシディアンが言った。セキュリティーが甘かったと多少反省もするが、もともとが遺跡級の施設を復旧して使っている物なので、あちこちに抜けがあるのは致し方ないといったところだ。
 自然の島であるこの浮遊島は、長い年月の間パラミタ大陸の周りを何周もしてきている。その都度、その年代、そのときの国家、組織、個人などが探検に来たり、何かの基地として使用しようとしたり、資源の採取などに利用しようとしてきたのだろう。
 だが、この島の性格上、時間が経てば自分の本拠地から遠く離れていってしまう。孤立無援でも時給自足を確立して独立国家にするのであればいいが、現実にはこの程度の小島でそれを確立させることは不可能だ。
 まして、コースの関係で、かなりの期間雲海の中に没することもある。そうなってしまえば太陽光はなくなるし、雲海の中にすむ生物などが表面部分を闊歩することになる。人が住む環境としてはこの上もなく劣悪だということだ。
 もちろん、この施設のように地下に居住区を設けていれば、ある程度は耐えられるが、自給自足の態勢が整わない限りは自滅するだけである。
 結局、それらの問題を解決した者が過去いなかったために、いくつのか施設が放棄されている状態で残されているだけなのであろう。そういう意味では、用途の分からない空洞部分が、島のあちこちに存在していた。オプシディアンたちは、それらのスペースにエンジンと制御装置を運び込むことにより、浮遊島を人為的に移動できるような改造を成功させていたのである。
「まったく。そろそろ空京のビーコンに合わせたオートパイロットですまそうと思っていたのに、よけいな手間をかけさせてくれる」
 オプシディアンは、コンソールを操作すると施設内の隔壁を可能な限り下ろしていった。防火防水の物なので完全な隔離ができるわけではないが、足止めとしてはないよりはましだろう。その間に、防衛用のメイドロボたちの配置が間にあうはずだ。
 
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「何ですか、いきなり壁が……。ですが、この程度でヒーローである私の前進を抑えることなんてできませんよ。きっと、この奧に何か凄い物を隠しているに決まっています」
 わくわくとしながら、クロセル・ラインツァートは進める道を探していった。
「おお、何か、怪しげな小部屋が♪」
 そう叫ぶと、クロセル・ラインツァートはその部屋に入っていた。
「お掃除部屋?」
 散乱する箒やちりとりを見て、クロセル・ラインツァートはがっくりと肩を落とした。
 そのころ、隔壁でクロセル・ラインツァートと分断されてしまったマナ・ウィンスレットたちも、これ幸いと独自に進んでいた。
「ますます秘密基地らしくなってきたのだよ」
 マナ・ウィンスレットがわくわくしながら言った。まだ、敵の本拠地に突入したというよりも、単なる遺跡探索程度にしか思っていないようだ。
「よし、解除できた」
 隔壁を操作するパネルをシャーミアン・ロウらと協力して解除した三船敬一が言った。
 コントロールを解かれた隔壁があがっていく。もともとが雲海の雲の流入を防ぐための物なのか、侵入者を防ぐという感じの作りではない。そのため、個別コントロールのコンソールは、隔壁の横についたままで、ピッキングの能力をもつ物にとってはロックを外すのは簡単なことであった。
「こんな物で、我らの行く手を阻もうなどとは、笑わせますな」
 問題ないと言いたげに、コンスタンティヌス・ドラガセスが笑った。
「だが、充分な時間稼ぎにはなるぞ。急いで進もう」
 三船敬一が、状況を判断して言った。
「ちょっと待ってねぇ。あー…ヤバイかも。この扉のむこうで、微かにゴパゴパ聞こえるよぉ」(V)
 清泉北都が、獣耳をひょこひょこさせて言った。次の扉のむこうに、敵が集結しているようだ。
「さすがに、無抵抗ということはなかったか。さて本気を出すぞ」
 攻撃の綿密な打ち合わせをし、禁猟区やパワーブレスで充分に強化すると、三船敬一が隔壁をあげた。ゆっくりあがり始めた隔壁を、白河淋と清泉北都がサイコキネシスで一気に持ちあげる。隔壁の上がるスピードを計算に入れていたメイドロボやメカ小ババ様のタイミングが狂って混乱を起こした。そこへ、一気にコンスタンティヌス・ドラガセスが飛び込んで、整列していたロボットメイドたちの隊列を乱す。素早くコンスタンティヌス・ドラガセスが壁際に移動するのを待って、白河淋が機関銃で敵を掃討した。
「よし、先に進……」
「進むのである!」
 敵が全滅したのを確認した三船敬一の台詞を、マナ・ウィンスレットが横取りして言った。
 
    ★    ★    ★
 
「なんで、こんな所でメカ小ババ様たちに襲われたんだ?」
 とりあえず敵を退けた神和 綺人(かんなぎ・あやと)が先へと進む。近くでも戦闘の音が聞こえたので、他にも誰かいるようだ。
「この先に何があるん……」
 霧と化した雲の波をかき分けて進んでいったユーリ・ウィルトゥス(ゆーり・うぃるとぅす)の鼻先に、いきなり銃口が現れた。
「ストーップ! それ味方だよ!!」
 カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)の叫び声に、ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)が間一髪レールガンの銃口を真上へむけた。止めるのが間にあわず発射された弾丸が周囲の霧を吹き飛ばす。
「大丈夫、ユーリ?」
 さすがに尻餅をついたユーリ・ウィルトゥスに神和 瀬織(かんなぎ・せお)が駆け寄る。もうちょっとで、頭が吹っ飛ばされるところだ。
「大丈夫だった? メイドロボと間違えちゃって。ジュレ、ごめんなさいは!」
 カレン・クレスティアが、思いっきり謝る。
「すまなかったのだ」
 ジュレール・リーヴェンディが素直に謝ったが、どことなく残念だったという雰囲気が漂っている。
「あそこを見てください」
 クリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)が、蔓草に被われた場所を指さした。ぱっと見はよく分からないが、よく見ると金属的なきらめきが垣間見える。
「何だろうね」
 近づいていく神和綺人を、パートナーたちがいつでもサポートできるようにする。
「何かの入り口みたいだ」
 言いつつ、神和綺人が扉を開けた。
「入ってみる?」
「もちろんであろう」
 訊ねるカレン・クレスティアに、ジュレール・リーヴェンディが一つ返事で答えた。
 
    ★    ★    ★
 
「騒がしいと思ったら、こいつはラッキーだぜ」
 騒ぎを聞きつけてやってきた国頭 武尊(くにがみ・たける)が、カレン・クレスティアたちが何か遺跡らしき物の中に入るのを見てほくそ笑んだ。
「島に着くなりココたちとはぐれて困ってたが、これで挽回できるな」
 さっきからいろいろと島全体がゆれているような気もするが、きっとこの遺跡が目覚めたせいなのだろう。だとすれば、すっげーお宝が眠っているかもしれない。それをココに持っていってプレゼントすれば好感度アップ。うまくすれば、パンツビデオへの出演もオッケーかもしれない。
 ものすごく勝手な今後のビジョンを妄想しながら、国頭武尊は先行した神和綺人たちに気づかれないようにそっと遺跡の中へと入っていった。
 
    ★    ★    ★
 
「発見しました。周囲にいた者たちが、内部に入ったようです、メニエス様」
 様子をうかがっていたミストラル・フォーセット(みすとらる・ふぉーせっと)が、隠れていたメニエス・レイン(めにえす・れいん)に報告した。
「うむ。――それで、あなたたちはどうするの?」
 メニエス・レインが、そばにいる日比谷 皐月(ひびや・さつき)の方を振り返って訊ねた。
 日比谷皐月はすでに鎧に戻った翌桧 卯月(あすなろ・うづき)を装備しているところから見て、雨宮 七日(あめみや・なのか)と共にメイドロボたちを突破してきた直後のようだ。
「よろしいのですか、共闘だなんて……」
 翌桧卯月が、日比谷皐月にだけ聞こえる声でささやいた。
「ああ。初めてじゃないからな。こんな状況だ、共通の敵に対しては手を結ぶのがセオリーだろう」
「ええ。現在位置の推移から、この島が人為的に動いているのはほぼ確実ですから。それも、空京の方にむかって移動していると考えられます」
 銃型ハンドヘルドコンピュータのデータを再確認しながら雨宮七日が言った。方位磁針の変化や振動から、島が急激に回転したのは間違いない。
「その通りよ。この島は面白いわ」
 そう言って、メニエス・レインは日比谷皐月たちと顔を見合わせた。
 もちろん、現時点では双方の利害が一致したということでしかない。もしも、この島を完全にコントロールできるのであれば、マ・メール・ロアを遥かに凌ぐ浮遊要塞を手に入れたに等しいかもしれないのだ。それゆえに、メニエス・レインも、雨宮七日も、この島を自分の物にしたがっていた。だが、島が空京にむかって進んでいるとあれば、まずはそれを阻止することが最優先だ。もし衝突でもしようものなら、空京もこの島もただではすまないし、当然空京の方でも迎撃態勢をとるだろう。それでは、せっかく島を手に入れても、島自体がお尋ね者となって結局は隠れ家としての意味がなくなる。
「だったら、急ごう。こうしている間にも、島は破滅に近づいているんだろう」
 日比谷皐月が、皆を急かして入り口へとむかった。