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地球とパラミタの境界で(前編)

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地球とパラミタの境界で(前編)

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終章


 海京北地区。
 深夜の沿岸部を、海京警察が巡回していた。船舶に乗った密航者が、深夜のうちに海京入りすることを防ぐためだ。
 メガフロートである海京へ来るには、船か飛行機しかない。
 普通に考えれば。
「おい、何かいるぞ」
 海水が揺れたのが見えたため、懐中電灯の光を向けた。
「……気のせいか」
 そう漏らした瞬間。水の中から人が飛び出してきた。スポーツバックを持った、全裸の女性――いや、十七、八くらいの少女だろうか。
「とうちゃーく」
 この冬の海を、日本から泳いできたとでもいうのか。
 あり得ないことではない、特に契約者であれば。
 正規のルートで来たわけではないため、二人の警官がすぐに取り押さえようとした。二人は、パートナー契約を交わした契約者である。
「遅いヨ」
 取り押さえるどころか、一発で沈められた。
「おやすみ、警官さん」
 周囲に、他に人はいない。
 防水加工が施されたバッグの中から、着替えを取り出す。チャイナドレスだ。それを纏い、バッグを海へと放り投げた。

 ただ妖しい微笑みを浮かべ、少女は夜の闇へと消えていった。