イルミンスール魔法学校

リアクション

　
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「ここで足止めを食っていたら、基地が持たないぞ」
　残る最後の戦艦を示して、桜葉忍が言った。
「もちろん分かっておる。そろそろ、この第六天魔王の真の力を見せてやろうではないか」
　嵐の儀式で敵にゆさぶりをかけると、織田信長が第六天魔王を敵戦艦にむけて突っ込ませていった。
「何か無茶をするつもり！？」
　さすがに、シフ・リンクスクロウが掩護射撃をする。
　ジャンプ一番飛びあがると、第六天魔王が敵戦艦の甲板に降り立った。そのまま、大上段に振り上げた第六天魔砲を甲板に突き立てる。戦端についたクラッシュバイトが、甲板を噛み砕いて砲身を敵艦深くにまで突き進めた。
「我が第六天魔王の力を喰らうがよい！」
　フルバーストで、織田信長が第六天魔砲の残弾すべてを敵戦艦の内部に直接叩き込んだ。下部イコンデッキから、ブリッジの方にむかって次々に誘爆が起きていく。フローターナセルが吹き飛び、敵戦艦が轟沈する。当然のように第六天魔王も吹き飛ばされた。幸いにパイロットは無事だが、大地の上で擱坐して動けなくなる。
　そこへ、やっと旗艦隊が追いついてきた。
　艦砲射撃とイコンの砲撃で、残る敵イコンを排除していく。
　
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「敵旗艦、接近してきます」
「ふーん、そう」
　魔道レーダーを監視していたヨン・ナイフィードの言葉に、アキラ・セイルーンがアクビまじりに答えた。
「だから、敵が来たんですよ。迎撃するのでしょう！」
　ヨン・ナイフィードが、ぺしぺしとアキラ・セイルーンを叩いた。
　ここで格好よく敵の前に現れて、要塞砲の一斉射撃で沈める予定ではなかったのか？
「今回の一番の功労者は俺計画がどうなってもいいんですか？」
「えっ、あっ、そうじゃないか。ダメだよ。すぐに浮上。敵を攻撃する！！」
　ヨン・ナイフィードに言われて、遅ればせにアキラ・セイルーンがやる気を出して命令した。
「絶対無敵要塞『かぐや』、浮上して敵を攻撃します！」
　ヨン・ナイフィードが、絶対無敵要塞『かぐや』を回転させた。上部タケノコ風ドリルみたいな物が回転して、地中から絶対無敵要塞『かぐや』がにょっきりと現れる。
「なんだ、あれは！？　回避しろ！」
　コントロールセンターをまさに攻撃しようとしていたスキッドブラッドが、いきなり現れた絶対無敵要塞『かぐや』を見てパニックになった。このままでは衝突である。
　もともとは、正面に出現して砲撃する予定だったのが、別の意味で奇襲になってしまった。
「避けろと言っている」
「間にあいません！」
　艦長の命令もむなしく、スキッドブラッドが絶対無敵要塞『かぐや』の土手っ腹に突き刺さって止まった。
「ぐはあ、何が起こった！？」
　とてつもない衝撃に、アキラ・セイルーンがあたふたする。
「いたたたたあ。これも、アキラのせいか！？」
　攻撃しようと身構えていたら、いきなり衝撃で床に投げ出されたしまったルシェイメア・フローズンが、腰をさすりながら立ちあがった。
「敵艦が、衝突しましたあ！？」
「なんだって。爆発するのか、爆発しちゃうのか、おしまいか！？」
　ヨン・ナイフィードの言葉を聞いて、アキラ・セイルーンが天を仰ぐ。
「ええい、少しは落ち着け！」
　ルシェイメア・フローズンが、アキラ・セイルーンをゴツンと殴って黙らせた。
「大丈夫です。弾薬庫は避けたみたいですから。でも、保証はできません」
「よし、脱出だ！」
　まだ落ち着いているヨン・ナイフィードとルシェイメア・フローズンの手を取ると、アキラ・セイルーンが走りだした。
　
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「敵が、宇宙港を攻撃した？　いったい、敵の目的はなんなのです。月ゲートからニルヴァーナへ逃げるのが目的ではなかったのですか？」
　ブラックバードの佐野和輝からもたらされた情報に、エステル・シャンフロウも困惑を隠せなかった。
「それも、ソルビトールを捕らえれば分かりましょう。スキッドブラッドは、ここに固定。突入隊をスキッドブラッドにむかわせろ。アイランド・イーリとツインウイングは盾となって突入隊の支援を。大型艦はかえって邪魔だ。各イコンは、敵イコンを完全に排除して、突入を支援せよ。ハーポ・マルクスは宇宙港へいき、負傷者への支援を急げ」
　グレン・ドミトリーが、各員に命令を伝えた。
　
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「ちょっと、どうして出撃できないのよ！」
　なんとか戻ってきた毒島大佐が、ウィスタリアに不時着した流星を見つけだして再出撃しようとした。ところが、被弾した流星は、修理中だ。
「えー、だって、ふりしてたらほんとに撃墜されそうになったのよ」
　ライラック・ヴォルテールが困ったように言った。
「使えない子」
　毒島大佐が、あっさりと言い捨てる。
「えー」
　そんなあっと、ライラック・ヴォルテールが言った。
　
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「我らが地で、施設の破壊をもくろむとはな。敵の狙いは、フリングホルニでも、逃走でもなかったと言うことなのか？　ならば、捨ておけんな。本隊に連絡を入れろ！」
　フリングホルニのそばに、やや傷ついた恐竜要塞グリムロックを置きながら、ジャジラッド・ボゴルがサルガタナス・ドルドフェリオンに命じた。
「はい」
　答えつつ、サルガタナス・ドルドフェリオンが、同時に国頭　武尊（くにがみ・たける）たちと如月和馬にも今が突入のチャンスだと連絡を入れた。
　
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「よし、機は熟した。俺たちの時間だぜ」
　サルガタナス・ドルドフェリオンから連絡を受けた如月和馬が、恐竜要塞グリムロックのイコン格納庫の中でイカロスにまたがった。
　イカロスは人面三頭の幻獣だ。ペガサスの胴体に、彫像のような男女と老人の上半身が生えている。さすがに今回はあからさまに恐竜騎士団の物だとばれるとまずいと思い、それぞれの顔にはタイムちゃんタワーを模したお面を被せてあった。これはこれで、異形で異様である。決して、威容ではない。如月和馬自身も、超霊の面を被って素性を隠していた。
　恐竜要塞グリムロックのイコン格納庫ハッチが開くと、外ではまだイコン戦が散発的に続いていた。危険ではあるが、それは戦場の常だ、突破できないわけではない。
「行くぜ！」
　タイミングを見計らって、如月和馬は外に飛び出した。イカロスの翼を広げて、空を駆けていく。
「敵か！？」
　さっそく、敵ヴァラヌス・フライヤーに目をつけられて、如月和馬が舌打ちした。
「戦うか！？」
　如月和馬が躊躇したとき、上空から大口径ビームがヴァラヌス・フライヤーを貫いた。半身を吹っ飛ばされて、ヴァラヌス・フライヤーが墜落していく。
「ほうら、こっちだ、こっち」
　鬼頭翔がパールヴァティー修羅モードで攻撃を仕掛けながら敵を引きつける。
「オリバー、モードチェンジ！」
「はい。ドゥルガー羅刹モード！」
　オリバー・ナイツが、イコンのモードを切り替える。機体が赤く変わり、鬼頭翔がデスサイズを取り出して接近してきたヴァラヌス・フライヤーに斬りつけていった。
「今だ」
　如月和馬が、その隙に一気に絶対無敵要塞『かぐや』に突き刺さったスキッドブラッドに急接近した。
　スモークディスチャージャーでスキッドブラッドを煙幕でつつむと。如月和馬が自称反陽子爆弾を投げた。
　爆発と共に、スキッドブラッドの船腹に大穴があいた。
「よっしゃあ。乗り込んで、親玉を捕まえるぜ」
　如月和馬は、そのまま中へと飛び込んでいった
　
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「対空砲、弾幕を張れ。味方が突入するまで、敵を近づけさせるな」
　突入隊支援を命じられた閃崎静麻が、ツインウイングを先行させて言った。
「当てる必要はありません。追い払えばいいんです。もっと密度を上げた弾幕を張りなさい」
　レイナ・ライトフィードが、砲手を務める空賊たちに命令する。
　そのそばを、アイランド・イーリがビームシールドを張りながら進んでいた。
「みんなー、無事に帰ってきてねー」
　ときおり弾丸やらビームが弾け飛ぶバリアの下の甲板上で、シャーウッドＤに乗ったリネン・エルフトが手を振った。
　そのアイランド・イーリの下を、フリングホルニを発進したセフィー・グローリィアとオルフィナ・ランディとエリザベータ・ブリュメールの小型飛空艇が通過していく。
「あのタケノコみたいな野戦築城の陰から突入するわよ」
　セフィー・グローリィアがコースを指示した。歩兵として、スキッドブラッドを制圧するつもりだ。
　アイランド・イーリの下を飛び出してから一気に加速すると、絶対無敵要塞『かぐや』の外壁に沿って煙幕の中をスキッドブラッドに近づく。
　スキッドブラッドの甲板に小型飛空艇で着艦すると、そこに小型飛空艇を乗り捨てて、三人は敵艦橋に突入していった。