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これが噂のクリスタルティアーズ

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これが噂のクリスタルティアーズ

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終わりは始まり

「すごい……」
 羽入 勇(はにゅう・いさみ)は知らず口の中で呟いていた。
「……何て綺麗な世界だったんだろう……」
 さっきまで目の前に広がっていた光景を思い出して、至福の吐息をもらす。
 異常気象で発生した大きな雹の固まり、クリスタルティアーズ。
 宝石を撒き散らしたかのように広がった輝く自然の奇跡──
 たった一時でも、目に、カメラに、あの世界を焼き付けられたことが、どんなに幸運なことだったか。
 勇はカメラを持ったまま、しばらくその場から動けなかった。

 ふと視界の横に派手に動き回る人影を見つけた。
 シャッターを切りながら、徐々に近づいてくる。男はカメラを下ろすと、勇に向かって微笑みかけた。
「──素晴らしかった、ですね」
「うん」
「私はエドワード・ショウ(えどわーど・しょう)。蒼空学園の燃える記者魂を持った漢です」
「ボクも蒼空学園だよ。羽入 勇、写真を撮りまくって記事にするのが使命だと思ってる。報道カメラマンを目指しているんだ」
「いやぁ〜ラッキーでしたね、あの銀世界は」
「本当に」
「向こうでクリスタルティアーズ使ってカキ氷を作るみたいですよ……絶好のシャッターチャンスだと思いませんか?」
 顔を見合わせると、お互いに不適な笑みを浮かべる。
「いいねぇ〜」
「クリスタルティアーズに彩られた乙女たちの青春の1ページ。是非、取材させてもらおうと思うんですよ」
「乙女たちの青春の1ページってのはあれだけど……滅多に見られない現象で作ったカキ氷の記事なんて、珍しくてスクープだよね」
「でしょう? よし、じゃあ…っと、さすがに他校の私達がカメラを持って百合園の敷地内に入っているのが見つかったら、問題になってしまうかもしれませんので、許可だけはしっかりもらいに行きましょう」
「あぁ忘れてた。了解!」