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【借金返済への道】眠れるアイスタイガー

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【借金返済への道】眠れるアイスタイガー

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「お前ら!! 俺達ゃパラ実の蛮族だ! まだまだ諦めんじゃねぇぞ! 最後に俺も出る! 動ける奴はこいやぁ!!」
 ついに蛮族の長が出撃する。
 後ろには魅世瑠とフローレンスもいる。
 目指す場所は洞窟の前でかたまっている洞窟組。
 クーラーボックスもそこに見える。
「行くぞぉ、野郎共!! ヒャッハー、ヒャッハー、ヒャハヒャッハー!」
「ヒャッハー、ヒャッハー、ヒャハヒャッハー!」
 掛け声に合わせてコマネチをする。
 蛮族達の士気を高める方法なのだ。
「この掛け声だけは付いていけないぜ……」
「同意だ」
 魅世瑠とフローレンスはソレを見るだけ。
「よっしゃ! 突っ込むぞー!」
 長の言葉で20人ほどの蛮族が一気に洞窟入り口へと駆け出す。
「うおぉぉぉぉ!!!!」
 洞窟組がよろよろしながらも戦闘態勢をとる。
 あと2メートル。
 あと1メートル。
「レッツパーティィィィィィーーー!!!!」
 ヴォイドが不敵に笑いながらそう叫ぶと、蛮族達は一斉に――コケた。
 蛮族の足元では何か細長いものがキラリと光っている。
 良く見るとピアノ線のトラップが幾重にも張り巡らされていた。
 先ほどヴォイドが仕掛けていたはこれだったのだ。
「それじゃあ……かかれー!」
 ホイップの号令でまだ気力のある人達が蛮族に襲いかかる。
 それまで1度も口を開かなかったニコラ・プリンシバル(にこら・ぷりんしばる)とパートナーのリリル・リーフェンシュタール(りりる・りーふぇんしゅたーる)が見合わせる。
「リリル……、私に光を!」
「君に……光を!」
 リリルの胸のあたりからパッシブ式赤外線スコープ搭載の対物狙撃銃が現れる。
 こけている相手に対して容赦なく銃弾を浴びせ、もう戦えないようにしていく。
 逃げようと慌てる為、ピアノ線から余計逃げ出せなくなっている。
「いきますよ。覚悟して下さいね」
 そこにルイセ・ヴァレンス(るいせ・う゛ぁれんす)が火術を連発していく。
 慌てる者がまた増える。
「真夏に凍るなんて涼しいだろう?」
 芳樹が5人固まっている場所へと氷術を放つ。
 確かにこの炎天下の中では涼しい……凍らされている者の周りは。
「早く気絶してよ!」
 アメリアがカルスノウトで切り付け追い打ちをかける。
「これくらいじゃ死なないだろ。安心して意識を手放せ」
 他の場所では星次郎が雷術を連発。
「こいつの威力は強力だぜ!」
 そこにケイが笑顔でサンダーブラストをぶち込む。
「まだまだ元気ですね」
 さらに佐々木 真彦(ささき・まさひこ)がツインスラッシュで動けそうな蛮族を個別に撃破していく。
「これで懲りて下さいね」
 とどめはソアのアシッドミスト。
 蛮族達の上にのみ雲が発生し、酸の雨が降り注ぐ。
 立ち上がれなくなったところをみんなで服を縄代わりに縛り上げていく。
 蛮族達は一網打尽となったのだ。
 気絶寸前の蛮族の長と魅世瑠達を発見したバウエル・トオル(ばうえる・とおる)はきつく縛り上げる。
 そこへ棚畑 亞狗理(たなはた・あぐり)がこっそり声を掛ける。
「助けてやるきに、貴様らの持ってる解毒剤とオオカミの毒を採取させるのじゃ」
「もう……あぐりる何言ってるの! あんた達、命が惜しかったら金目のものを全部出しなさい!」
「おお〜。素晴らしい悪党ぶりじゃのう」
 美羽の言葉を聞いて震えあがる蛮族達。
「薬持ってるんでしょ!」
 勝手にごそごそと探りを入れる。
「俺様も参加するきに」
 亞狗理も一緒になって身ぐるみ剥いでいく。
 バウエルはバウエルでオオカミの毛を綺麗に剥いでいる。
「さて、あんた達も……って、何その恥ずかしい格好」
 美羽は魅世瑠とフローレンスの限りなく裸に近い服装に目をそらす。
「恥ずい? あたし的にはこれが自然なカッコなんだけど?」
「まったくだ。この格好になにか問題が?」
「いや……目のやり場に困るんだけど……」
 この2人から身ぐるみ剥ぐのは断念となった。
「もっと効率よく稼いだらどうでしょう? 平原を通る人たちに解毒剤を売ったりして。オオカミを手なずけてペットとして売り出すのも良いんじゃないですか?」
 長に近づいた真彦が提案をする。
「けっ! そんな真面目な仕事…………良いかも?」
「ええ〜!?」
 その場にいた全員が長の手のひら返しに、声を揃えて叫んだのは言うまでもない。
「次は襲ってこないで下さいね」
 縄を解く前に怪我をしている蛮族にハンス・ティーレマン(はんす・てぃーれまん)がヒールをかけ、回復してやる。
「俺達に回復なんて良いのかい?」
「ええ」
 笑顔で蛮族達を回復していく。
 文乃はまだ倒れているオオカミの皮をいそいそと剥いでいる。
 こうして、草原での戦闘も無事に終了となったのだった。