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ゆきやこんこんはいきんぐ

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ゆきやこんこんはいきんぐ

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○12月19日
今日も朝から吹雪。今日も1日待機かな。だんだん配給食が残り少なくなってきました。帰りまで持つか心配です。
―――――――――
 一部の生徒たちはあらかじめ予備の食料を持ち込んでいたり、少なめに食料を食べるなどの工夫をしていたが、中隊全体としての食料は底を尽きつつあった。だが吹雪は昨日よりさらに激しさを増し、視界はほぼゼロメートルと言っていい。
 待機すべきか、強行下山すべきか。中隊は決断を迫られていた。

 アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)はかまくらの中で寒さと恐怖に震えていた。同じかまくらには神野 永太(じんの・えいた)とそのパートナーの機晶姫、燦式鎮護機 ザイエンデ(さんしきちんごき・ざいえんで)がいた。そのふたりの奇っ怪な行動がアリアをますます不安にさせた。
「ザイン、しようっ! このままじゃ死にきれないっ!」
 永太がとびかかる。
「イヤです」
 ザインが右フックで迎撃する。
「いちゃいちゃラヴラヴだぁっ。まずはキスからだっ」
「理解不能です」
 キックが炸裂する。延々とその繰り返し。
「このふたり、なにがしたいんだ……雪山で狂ったのか? も、もしかして私、死亡フラグ?」
 と、一瞬の隙をついて永太はザインに抱きつき
「好きだ! 結婚してくれ!」
「え……」
 ザインの動きが止まる。――何故だ? 何故人間が機晶姫に求婚する? それに何だこの感じは? 内部機関温度上昇中。コントロールできない……。
「永太は、永太はなぜ私に求婚する?」
「ノリで」
 ガンッ! とザインの頭突きが炸裂する。ザインは昏倒した永太を背負ってかまくらを出て行ってしまった。
「お、置いてかれた……。意味わかんないよ……。これって死亡フラグふたつめ? いや、先に出ていく人が死亡フラグなんだっけ?」
 簡単な山歩きのつもりで来たアリアにはここ数日の体験は強烈すぎた。
「とにかくビギナーズラックに賭けるしかないわね。あと注意事項は、雪山で寝ないこと、基本よね。あとは間違っても『ここは公平にクジで決めようぜ』とか『おまえのこと、嫌いじゃなかったぜ』とか言わない事とかかな……」
 と、そこへ。
「HAHAHAHA! この世に悪があるかぎり、俺はいつでもやってくる! シャンバランダイナミィィック、パラミタ刑事シャンバラン!」
 特撮仮面を被ったひとりの青年、神代 正義(かみしろ・まさよし)がアリアの前に現れた。
「俺を呼んだな?」
「いいえ……」
「怖がらなくてもいい。俺が来たからにはもう安心だ。お腹が空いているだろう、じゃあこれだ」
 シャンバランはザックからハバネロ激辛チップスをとりだした。
「大丈夫。これで体も温まる」
「いや、いいです……」
「ならこれはどうだ」
シャンバランはザックからマッチ箱を取り出した。
「これでマッチ売りの少女ごっこをするといい」
「だれかタスケテ……」
―――――――――
今夜の乾パンで食料はおしまいです。少しとっとけばよかったな。シモヤケも痛いし、早く帰りたい。