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【サルヴィン川花火大会】花火師募集!?

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【サルヴィン川花火大会】花火師募集!?

リアクション

「おっきい花火も綺麗ですぅ」
 薄紫の浴衣を纏い、手にはひまわりを象ったうちわ、足元は真っ赤な鼻緒の小さな下駄を履いたレティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)は、次々と打ち上げられる花火に歓声の声を上げた。
 花火というもの自体、見るのは初めてのミスティ・シューティス(みすてぃ・しゅーてぃす)は楽しみにしていたものの1つを目にして、ただ言葉もなく頷く。
 そんなミスティは、レティシアに着付けてもらった新緑の浴衣を纏い、朝顔のうちわを持って、水色の鼻緒の下駄を履いていた。
「変わった模様のものが上がり始めたわ」
「メッセージもあるみたいですぅ」
 学生たちの作った花火に2人は声を上げる。
「花火か……俺も花火作るんだったかな。やっぱ火薬の匂い好きだしよ」
 次々と上がる花火を見て、陣は呟く。
「そろそろユピの花火が上がる頃じゃないかな?」
 パートナーのアスティとカイルフォールに連れられて、やって来たユピリアを見つけたセシルが陣へと告げる。
「ああ。来たなら、一緒に見るか、ユピリア」
 陣も気付いて、ユピリアへと声を掛けた。
 傍に寄ろうかと戸惑う彼女の背中をアスティがそっと押す。
「言葉できちんと想いを伝えないと、相手が陣じゃ百年かかっても無理だよ」
 耳元でそっとそう告げると、ユピリアは小さく頷いて、陣の隣に立った。
 そのとき、夜空に大きなハートマークの花火が上がる。
 ハートの中には『陣』という文字が書かれ、周りにも小さなハートが舞う、そんな花火だ。
「陣……?」
 その花火を見つめる陣に、ユピリアはそっと声を掛けた。
「大きい花火だったな。あれが、ユピリアの作ったものか?」
「は、はい」
 問いかけられて、こくこくと頷きながら、ユピリアは頬が熱くなるのを感じた。
「すごい、綺麗に上がったな」
 ただ微笑む陣は、花火の内容を読み取ることが出来なかったということか。
「お前、いい加減ユピのこと少しは大事にしてやれよ。あんだけ一途に想われてんだからさ。ちゃんと話したり、笑いかけたりしてやれ。たまにでもいいからさ」
 肩を落とすユピリアを見て、セシルが陣の肩を叩きながら、声を掛けた。
「え?」
 何事かと首を傾げる陣。
(やっぱり伝わらなかった……でも、でもね、陣が傍にいてくれるだけで、十分幸せなの)
 その様子を見ながら、彼女は改めて、友と話すパートナーの顔を見つめた。