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第2章 屋台を回ろう
花火作成も滞りなく終わり、花火大会当日。
サルヴィン川の河川敷のある場所では、屋台が立ち並び、櫓が組まれ、賑わいを見せていた。
ルースとウォーレン、紅月の3人は屋台を回っていた。
まずはルースの希望する型抜きの屋台を探す。探し回っている間にも、花火に向けて食料調達だと、ウォーレンは食べ物の屋台に目を向けていた。
「焼いてあるものが好きなんだぜー!」
そう言って買い求めているのは焼きイカに焼き蕎麦、たこ焼きと焼いてあるものだらけだ。リンゴ飴も混ざっていたけれど。
「射的やろうよ」
型抜きより先に射的の屋台を見つけた紅月がそれを指差して言う。
「悪いが負けないぜ! 兵卒だしな♪」
「オレだって負けませんよ!」
ウォーレンの言葉に、喰らい付くようにルースが構える。
「最初は、あの人形で」
紅月が指差すのは大きめの人形だ。面積は大きいが、重さがあり、前の客が苦戦していた。
「任せろ!」
告げて1発目を放ったのはウォーレンだ。難なく、倒すことが出来、最初から店主を、周りの客を、驚かせる。
「次はあっちの小さいの」
紅月の次の言葉に応えたのはルースだった。
その後もいくつか目標を打ち抜き、称賛の嵐を浴びながら、3人は屋台の前を後にした。
漸く見つけた型抜きの屋台も賑わいを見せていた。
「2人もやりますか?」
ルースの誘いに、頷く紅月とウォーレン。
まずは試しにと簡単そうな型を選んで始める。けれど、力を入れすぎたり、上手く抜けそうなところで細い部分が折れてしまったりして、綺麗に抜くことは出来なかった。
3人は一通り楽しむと、改めて食料調達をし直して、花火を見るに良さそうな場所を取りに向かう。
「わらわはリンゴ飴が食べたいのじゃ」
「それなら、まずはリンゴ飴の屋台を探さないとね!」
ミアの言葉に、レキが告げて、2人は向かい合って並ぶ屋台の左右を手分けして確認しながら、歩いた。
程なくしてミアが見つけて、屋台へと駆け寄る。
「大きいのがよいのじゃ」
ミアは、一番大きなリンゴ飴を求め、受け取った。
その後もいくつか食べ物を買い、2人で分け合いながら、花火の開始時刻を待つ。
浴衣を纏った加夜は、待ち合わせの場所に山葉 涼司(やまは・りょうじ)の姿を見つけると、歩きにくそうにしながらも駆け寄った。
「いつもと違う姿だから見違えたかと思ったぜ」
「着慣れないから歩きにくいんですけど……たまには、こんな格好もするんですよ。似合い、ますか?」
涼司を見上げながら加夜は訊ねる。
「ああ、似合ってる」
頷く涼司は手を差し伸べた。加夜はその手に己の手を重ね、しっかりと繋ぐと花火の時間まで、屋台の間を歩き始める。
「ん……このたこ焼き、美味しいですね。あ、あっちの焼きソバも食べましょうか……」
きょろきょろと辺りを見回しているのはゼロだ。彼女は屋台の間を歩きながら、調達したものを食べていく。
いくら食べても飽きないものだ。
「あちらからも美味しそうな匂いがします!」
通りの先から漂う匂いを嗅ぎ取って、ゼロは銀色の長髪を揺らしながら、駆け寄っていった。
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