リアクション
3、祝、開園!
晴れ渡った空の下、紙ペット動物園のテープカットは行われた。
「園内の案内は、私にお任せあれー」
案内係を買って出たのは【ちぎのたくらみ】と【超感覚】により、幼児ネコミミメイド化した、佐々良縁だった。
そこへやって来たのは、沢渡真言とグラン・グリモア・アンブロジウス。
「折角だから、あの方に案内を頼みましょう」
「はい」
「すみません、案内をお願いできますか?」
「! まこちゃ――」
思わずいつもの愛称で呼びそうになり、ぶんぶんと首を振る。
「知り合いによく似ていて可愛らしいのでお願いしたいのですが……」
「はうぅ……りょ、りょーかい……」
顔を赤くしつつ、佐々良縁は頷いた。
「楽しみ」
瞳をキラキラさせて、グラン・グリモア・アンブロジウスが周囲を見遣る。
メルヘンチックな城の中へと入ると、紙ペット達の種類ごとの広場が広がる。
「そろそろ、ぺんぎんお散歩の時間だよ〜」
彼女が告げると、本郷涼介に連れられた、十数羽の紙ペンギンが、よちよちぺたぺた歩き始めた。
本郷涼介は彼らの後ろにつき、ペンギンたちについての説明を始める……。
「折り紙を折る紙ドラゴンや、ダンスを踊る紙クマ、歌う紙カエルなんかもいるよぉ」
ペンギンに見とれる二人を見ながら、案内をする佐々良縁。
「紙ペット同士のバトルも開催されてるから、時間があればどぞ」
動物園開園初日は、多くの人出を見込んだ。
作業に加わった者たちも数多く来場している。
「イ〜ッツ! 紙ペットさんパレードターイム♪」
昼を過ぎ、暗さを含み始めた空が現れた時、キラキラしたラメの入った服を着た、クラーク波音が宣言した。
「ふふっ、よろしければ魔女も参加するパレードをお楽しみくださいね」
魔法の箒に乗り、少しだけ上空にいるアンナ・アシュボードも言う。その姿は、魔女の姿。
おもちゃを連想させる、陽気なメロディーに乗って、紙ペット達が行進する。
「こうしーん♪」
クラーク波音の言葉に従い、紙ペット達は進む。
ララ・シュピリは、おもちゃの太鼓を叩き始めた。
赤、青、黄色の豆電球で装飾された紙のゾウが、キリンが、ウサギが……飛んだり鳴いたりして、進んでいく。
ある程度の距離を進むと、動物たちが一列に並んだ。
「ぱれーど見てくれてありがとぉ〜♪」
ララ・シュピリの合図で、紙ペット達がお辞儀する。盛大な拍手が巻き起こった。
紙ペット達ものびのびと暮らし、飼育員達も生き生きと働き、入園者も楽しげに、見て回っている。
「……大成功のようですぅ」
にんまり笑ったエリザベート・ワルプルギスが、園内を見渡した。
紙ペット達が暮らし、紙の虫までのびのびと暮らす園内は、彼女の期待以上の出来だ。
「これでまた、収入が増えますぅ〜」
不敵な笑みを浮かべて、エリザベート・ワルプルギスは身を翻した。
紙ペット動物園はにぎわい、来園者やスタッフの笑顔を乗せて、運営され始めたのだった。
終
このシナリオにご参加いただき、誠にありがとうございました。
私的な事情により、公開が遅れてしまい、申し訳ありません……。
のんびりまったり時々バトルな動物園物語、いかがでしたでしょうか。
今回時間がなかったため、称号付与は控えさせていただきました。申し訳ございません。
楽しんでいただけたなら、幸いです。
紙ペットネタはこれにて終了とさせていただきますが、小ネタとして出さないとも限りません。
とりあえずは、起木保ネタを進めていきます。
それでは、また次の機会にお会いできれば幸いです。