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作ろう! 紙ペット動物園

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作ろう! 紙ペット動物園

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「ということで次ですぅ」
 今度は、レティシア・ブルーウォーターとアーチャー・パジーの戦い。
「真夜、かぶりついちゃってくださいですぅ」
「紙パンダ、種族で考えれば山猫に負けるはずはありません。頑張ってください」
 それぞれの呼びかけに応じ、紙山猫と紙パンダが動き出す。
 ざざっと、駆け出し、二匹は飛び上がる。 
 紙パンダは、手を振りかぶってはたこうと試みるが、紙山猫は素早い動きでかわしてしまう。 
 紙山猫が、かみつこうと飛び掛るのを、紙パンダは避けられない。
「っ!」
「勝負ありですぅ」
 エリザベート・ワルプルギスが告げるほどもなく、結果は明らかだった。
 紙パンダが転がる。胸を張る紙山猫。
「ありがとうございましたですぅ」
「こちらこそ」
 勝敗は別として、二人もお互いの健闘を讃え合った。
「さて、バトルもいよいよ最後ですぅ」
 そんな二人を横目に、エリザベート・ワルプルギスは告げる。
 最後は、滝川洋介とロイ・グラードの紙ペットの戦い。
「負けは許しませんわよ!」
 シェプロン・エレナヴェートが怒鳴るように言った。それに対抗してか、ロイ・グラードは瞳を輝かせて告げる。
「俺、このあと……この戦いが終わったら、結婚するつもりなんだ。だから……負けられない」
 ぐっと拳をつくり、静かに闘志を燃やす。
「ではー、始めですぅ」
 紙カラスが「はたく」を、紙トンビが「ずつき」を繰り出す。
 鳥同士の対決……。羽を開いて構える者と、羽ばたいて勢いをつける者の一騎打ち。
 紙トンビの頭突きは、紙カラスにひらりとかわされ、紙カラスの攻撃が紙トンビを打つその時――。
「ピンチのときは、このわたくしにお任せなさ〜い!」
 シェプロン・エレナヴェートが叫んで飛び出した。
「さぁ、わたくしの下僕たちよ華麗に突撃ですわ!」
 彼女は、動物園の小鳥たちを引き連れ、指示。小鳥たちは飛び出して紙カラスへと向かっていく。
「アァー」
 カラスは、あまりの数に逃げだしそうになり――。
「反則ですぅ」
 エリザベート・ワルプルギスはきっぱりと告げた。
「紙ペットバトルは一対一が原則ですよぅ。だから、反則負けで紙カラスの勝利ですぅ」
 二人が握手する。シェプロン・エレナヴェートは納得いかないのか、頬を膨らめている。
「これにて、紙ペットバトル終了とするですぅ。開園後新たに開催するので、是非ご参加くださいですぅ〜」
 そう言った後、パラソルに戻ろうとするエリザベート・ワルプルギス。その元に、ロイ・グラードがやって来た。
「約束通り、帰ってきた。この指輪を――」
「もらえないですぅ」
 エリザベート・ワルプルギスは、首を横に振った。
「バトルに完璧に勝ってないですぅ。もっと強くなってくださぁい」
「……そう、か……」
 肩を落とすロイ・グラード。その姿に、エリザベート・ワルプルギスは微笑みかけた。
「でも、友達ならいいですよぅ?」
「本当か!? ありがとう」
 エリザベート・ワルプルギスは、指輪を受け取ることはなかったが、ロイ・グラードの手をとった。

 バトルも終わり、建設作業も終わりを迎えた。
「できた!」
 あちこちで、歓声が上がる。できた場所に、紙ペット達がそれぞれ配置される……。どの動物も、嬉しそうに駆け回る。
「うわーん、お別れしたくないぃ〜」
 ミーナ・リンドバーグは涙をぼろぼろと流し、紙ペット達となかなか離れようとしなかった。
「京子ちゃん、これでまとまったかな」
「大丈夫だと思うわ」
 紙ペットの観察についてレポートをまとめていた椎名真が、双葉京子に問いかけた。
「じゃあ、これを飼育員の皆に届けに行こうか」
「そうね」
 微笑み合って、レポートを届けに二人は歩き始める。

 作業をしていた歓喜に沸く中、マクフェイル・ネイビーとリーフィア・ミレインは手をとって輪から離れた。
「見て回りましょう」
 優しく、手を絡めて……楽しそうで、嬉しそうな紙ペット達の様子を見て、動物園の雰囲気を楽しむ。
「皆で作り上げたこの場所が、たくさんの人の笑顔になるといいわね」
 紙ペットを撫でつつ、二人は見つめ合う。
 柔らかく温かい雰囲気が、動物園全体を覆っていた。