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突撃! パラミタの晩ごはん

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突撃! パラミタの晩ごはん

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終章 Applause

 そして、深夜。
 ドラゴンはたらふくご飯を食べて、満足して星空へと飛び去って行った。
 ただ少しばかり度を超えて上機嫌になり、意味の分からない声を上げて走り回ったりしたので、会場は一時騒然とした。
 ドラゴニュートのブルーズ・アッシュワースによれば、あれは酔っぱらっていたのだという。
 だとしたら、あの意味の分からない声は、彼の歌だったのかも知れない。
 本来6校のレシピで仕上げる必要がある歓迎用の料理を、結果的にレシピが足りない状態で仕上げてしまった事に原因があったのではないかと、「ぱら☆みた」では分析している。
 ともあれ、半日の突貫工事で仕上げながら、酔っぱらうほど主賓に満足して帰ってもらえた事は、喜ばしいことだった。

 学生の参加者もまた、惨憺たる状態だった。
 爆食するドラゴンに釣られたのか、あるいは料理が美味すぎたのか、食べすぎでダウンする者が続出したのだ。
 夏侯淵が摂取した分消費するぞ!」と気炎を上げていたが、それに応えられたのはセレンフィリティ・シャーレットただ一人だった。
「動けなくなるほど食べるなんて、無様もいいとこだよ」
 黒崎天音がぼやいたが、調理担当の面々は満足そうな様子だった。

「えーっと、それじゃ、行きます!」
 雅羅・サンダース三世は学食の冷蔵庫の前に立ち、緊張した面持ちでごくりと唾を飲み込んだ。
「ごはんができるまでねむっててね……っと」
 そう「契約の呪文」を唱えて、古びたレシピの紙を冷蔵庫の扉に貼付ける。
「……これで、いいんですか?」
 恐る恐る聞くと、山葉涼司が黙って頷いた。
 大きくため息をついて、雅羅は脱力する。
「ご苦労様、雅羅」
 火村加夜もほっとしたように微笑んだ。
「ご苦労ついでに……」
 涼司が低い声で言った。
「もう二度と、妖しい封印をうっかり剥がしたりしないように、な」
「ああう……二度としませんん」
 雅羅は涙目になって肩を落とした。
 ……誰も信じていなかった。
 もちろん、本人も。

 「ぱら☆みた」最新号は創部以来のヒットを記録した。
 各学食のレポートは囲み記事として散りばめられ、メインはもちろん「ターゲットF・F」の来週と、それを迎え撃った食の勇者たちの、愛と勇気と友情の物語だった。
「やっぱりほら、こういうのは『ちょっといい話』に落とすと受けるのよ!」
 春日美夜は満足そうにそう言ったが、エーリヒ・ヘッツェルは特にコメントをせずに軽く片眉を上げただけだった。
 確かに、妖しいレシピを手に入れた弱小新聞部の、手に余る騒動を巻き起こして泣きながら記事をまとめてギリギリで入稿するリアルなルポなど、誰も読みたくないに違いない。
 それに、少しばかり誇張が入っても、おおまかに見ればこの騒ぎは「愛と勇気と友情の物語」だったのではないか……とエーリヒは思っていた。
 ただ、少しばかり心配事が増えた。
「でも、結局は現状維持なのよね……」
 美夜のぼやきの通りだ。
 「ぱら☆みた」の同好会への降格は避けられたが、そもそも学外の生徒である湯浅忍とロビーナ・ディーレイ、それに火動裕乃も部員に留まれる筈もなく、一方大量発生していた事象幽霊部員たちも、裕乃が去ったとたんに一人残らず何処ともなく消え去った。
 結局、狭い部室に似合いの二人だけが、ぽつんと残された結果になった。
「……現状維持でしたら、喜ばしいではありませんか」
 嫌な予感がして、珍しくエーリヒがコメントする。
 美夜は小さく「そうだよね」と呟いたが、すぐに顔を上げて、顔を輝かせた。
「うん、次はもっと上手くやろう!」
 希望に満ちた美夜の言葉に、エーリヒは陰鬱な表情でため息をついた。


 おしまい。

担当マスターより

▼担当マスター

寒月堂

▼マスターコメント

はじめまして。寒月堂と申します。ご参加ありがとうございました!

初めての担当シナリオということでたいへん緊張していたのですが、
皆さんの楽しいアクションに乗りすぎたのか、うっかり暴走気味に……。
「やらなければいけないこと」を詰め込みすぎていたため、拡大解釈とアドリブをフル活用で、
PC、LC、NPC問わず、キャラの皆さんには過酷なほど働いていただきました。
気がつけば分量もとんでもないことになって、呆然としています。
いやホント……なんだこの頁数は。
長々とおつき合いいただいた皆さん、本当にありがとうございました。

皆さんにも楽しんでいただけていたら、嬉しいのですが。
また次回があることを祈りつつ……。