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第二章 落ちた先に

 「なんでなの! また私の災厄体質のせいなの!?」
 雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)の叫びが遺跡内に木霊した。
「雅羅ちゃん! 今、傷を治療します」
 着地に失敗し、足を怪我した雅羅の元に着地に成功した杜守 柚(ともり・ゆず)が急いで近づき、歴戦の回復術で雅羅の傷を癒した。
「柚、雅羅、二人とも大丈夫?」
 杜守 三月(ともり・みつき)が二人に近づき声をかけた。
「ええ、柚のおかけで大丈夫だわ」
「皆、敵に囲まれている、瓦礫を盾に!」
 お礼を言っている雅羅の元に召喚獣:不滅兵団を引き連れたリリ・スノーウォーカー(りり・すのーうぉーかー)ララ・サーズデイ(らら・さーずでい)が駆け寄り、瓦礫を指差し、三人にララが声をかけた。
 その呼びかけに応じた三人は、瓦礫の元に移動した。

「全員、無事か! リブロ様怪我はありませんか、雅羅が罠を踏んだようです」
「私は、大丈夫だ。やられたな……しかたがない、エーリカはスナイパーを撃破に迎え。お前の俊敏さなら、敵の包囲を突破出来るはずだ」
 レノア・レヴィスペンサー(れのあ・れう゛ぃすぺんさー)は、狙撃手の攻撃に対して、チェンタウロ戦闘偵察機空挺を操作しながら避けていたリブロ・グランチェスター(りぶろ・ぐらんちぇすたー)の元に来た。それを確認したリブロはエーリカ・ブラウンシュヴァイク(えーりか・ぶらうんしゅう゛ぁいく)に指示を飛ばし、エーリカは頷いた。
「レノアとアルビダは機晶姫の殲滅。私は後方で援護する」
 レノアとアルビダ・シルフィング(あるびだ・しるふぃんぐ)は頷いた。
「テロリストに死を! 我らに正義と栄光をグローリアっ!」
「「「グローリアっ!」」」
 リブロの掛け声に三人は答え、それぞれの行動に移った。

「レナさん、ボクが盾になりましから、機晶姫を壊さない程度にお願いします」
 神崎 輝(かんざき・ひかる)は殺気看破とイナンナの加護を使い全方向に警戒を発し、アイスフィールドを構え龍鱗化とディフェンスシフトで防御姿勢をとり、レナ・メタファンタジア(れな・めたふぁんたじあ)に声をかけた。
「輝、分かったよぅ。終わったらご飯、一緒に食べようね」
 レナは、輝の盾に銃撃を行っている飛行型機晶姫に雷術を浴びせ機能を停止させた。
 輝はレナに向かう攻撃をしっかりと見定めて、盾を攻撃の射線上に置きレナに攻撃が当たらないようにした。近づいて輝を攻撃しようとする人型機晶姫には、ティアマトの鱗で顔のセンサーを狙った面打ちをして機能停止させた。
「しまった!」
 機晶姫を壊さないように攻撃していたレナは、つい機晶姫を破壊しかねない出力で火術を放ってしまい、当たらないように制御した結果、機晶姫の動きを阻止する事に失敗した。
 人型の機晶姫は別の攻撃の対処に追われていた輝に攻撃しようとした。
 そこへ、機晶姫にワイヤーが絡みつき、別方向から現れた瀬山 裕輝(せやま・ひろき)のパートナーであるヘンゼル・オルバーツ(へんぜる・おるばーつ)の元に飛んでいった。
 ヘンゼルはワイヤークロー【剛神力】で引き寄せた機晶姫に聖杭ブチコンダルを当て、機晶姫を粉々にした。
「ここは戦場です。戦場である以上、手加減は自分だけではなく仲間の死に繋がります……それに自分と同じ雰囲気がする、破壊するのに躊躇をする事はないと判断する」
 ヘンゼルはレナに向かって声をかけた。
「レナさんはあなたと違って、敵でも破壊するまで容赦なく攻撃する人じゃありません。それにここには、利用されただけの機晶姫もいます。あなたも壊さないように攻撃してください」
 輝は敵の攻撃を防ぎながらヘンゼルに向かって声を返した。
「解りました……しかし、敵が攻撃してくる以上、自分は容赦なく攻撃します」
 そう言うと、ヘンゼルは加速ブースターで近くの人型機晶姫に向かって特攻して、足に付けていた六連ミサイルポッドを手に取り殴ると爆発する前に離れ、別方向から来た機晶姫に向かって機晶ロケットランチャーを放った。
 二体の機晶姫の破壊を確認するとヘンゼルは加速ブースターで次の機晶姫破壊に向かった。
「レナさん、大丈夫? あの人の言葉、あんまり気にしなくていいと思います」
「……うん、ありがとう、輝」
 輝はレナに一言声を掛けるとまた、敵の攻撃を防ぐのに力を入れた。
 レナはハーフムーンロッドを壊しかねない程、握っていた力を緩めて再度、機晶姫の機能だけを停止させる魔法を放った。

レノアはトゥーハンディッドソードをアルビダはバトルアックスと禍心のカーマインを構えて、それぞれ機晶姫の配線や神経センサーだけを切断し、次々と機晶姫を無力化していた。
「雅羅には困ったものですね」
「いいや、案外ビンゴだぞ雅羅は。おかげで奴等を探し回る手間が省けた……っと」
 周辺にいた機晶姫を無効化したレノアはアルビダに声をかけた。
 アルビダはレノアと話しながら、微かに感じた殺気の方向に顔を向けながらガントレットを構えた。
 アルビダが構えたガントレットに吸い寄せられるように銃弾が飛んできて、ガントレットが銃弾を弾いた。
 アルビダはガントレットを下ろすと、驚いている人物に向かってニヤリと笑みを見せた。
「あの女、良い腕をしてるな」
 そう言うと、アルビダとレノアは動き出し、アルビダに飛んでくる銃弾を予想しているかのように二人は軽々と剣または斧でいなしていった。

リリは召喚獣:不滅兵団を操作して、柚はフロンティアスタッフを空にかざして轟雷閃で、雅羅はバントラインスペシャル雅羅式を使ってシャープシューターでそれぞれ機晶姫の無力化を行った。
「っく!」
 アルビダを狙撃するのを諦めたテロリストは、別の方向を向いていたリリに向かって狙撃した。
 リリは当たる瞬間気づいたものの、急所を避ける事しかできず肩を打ち抜かれて倒れてしまった。
「大丈夫!」
 雅羅がリリに駆け寄ろうとすると、ララが雅羅を押し倒した。
 その瞬間、雅羅が今まさに立っていた場所に銃弾が通過した。
「戦場で敵に背中を見せるなっ!」
 ララが雅羅を起こしながら怒鳴った。
「今、回復します」
「……心配ない。真の魔法使いは手足をもがれようと術を解きはしないのだ」
 半身を起こしたリリの元に駆け寄った柚をリリは手で制しながら、サラマンダーで傷口を焼き、止血した。
「私が行こう」
「うむ、奴はララに任せるのだよ」
 顔を顰めるリリにララが声をかけた。ララの傍にいた三月が、
「僕も行きます」
 ララに声をかけ、
「分かった、先に行くから付いて来い」
 ララは答えるとペガサス:ヴァンドールに乗ると、三月は追いかけるように走っていった。
 チェンタウロ戦闘偵察機空挺を操作しながら対物ライフルで機晶姫を無効化していたリブロが雅羅達の元に来た。
「大丈夫か? こちらは一人、狙撃手の元に行かせている。そちらは?」
「今、二人行ったのだよ」
 リブロの質問にリリが答えた。
「先程の二人だな。分かった、私は狙撃手の元に向かった者達を援護する」
「私達も援護しますわ」
 雅羅達がそう言った時、
「ボク達がみんなを守ります」
 盾を構えた輝達が雅羅達の元に来て防御を一手に引き受けた。

狙撃をかわしながら移動するララと逆方向からエーリカが航空戦闘飛行脚【Bf109G】で移動し、道を塞ぐ機晶姫を機関銃でのシャープシューターと雷術で無力化しながら狙撃手に向かって移動していた。
 白髪の狙撃手に同時に着こうとしていたララがエペをエーリカが機関銃で攻撃しようとした時、突如、二人に重圧がかかった。
「「っく!」」
 ララは動けず、エーリカは機関銃で放った銃弾は狙撃手に当たらず地面に落ちた。
 狙撃手は安堵し、銃口をララに向けた。
「させないよ!」
 遅れてやって来た三月が百獣の剣を構えながら走り、奈落の鉄鎖で動きを封じた狙撃手に脇を払い、斬った。
「……っつ!」
 油断していた狙撃手は三月の攻撃をまともに受け、ララとエーリカにかかっていた術を解いた。
「大人しく銃を下ろして投降してください」
 エーリカが機関銃を構え、狙撃手の前からララが後ろから三月が剣を構えながら近づいた。
「……すみません、……様」
 狙撃手は小声で何か言うと、銃を下ろした。
 ララが警戒しながら狙撃手を捕まえようとすると、
「危ない!」
 突如、動き出した狙撃手の行動にいち早く気づいたエーリカがララと三月に声を掛け、二人が飛び退くと狙撃手は懐から取り出したスイッチのボタンを押して自爆した。
狙撃手の自爆と同時に、動いていた機晶姫と奥に進む通路も爆発した。

「大丈夫ですか!」
 柚達は狙撃手がいた場所に駆け寄り、三人の安否を確かめた。
「ボクは大丈夫だよ柚」
 三月を含めた三人は、怪我があるものの無事だった。
「全員、無事か!」
 機晶姫の無力化をしていたレノアとアルビダはかすり傷があるものの、みんなの元にやって来た。
「全員、大丈夫だ……が、怪我人も出た」
 リブロは三月達を見ながらレノアに言葉を返した。
 三月は柚から、エーリカは雅羅から、ララは自分で傷を癒していた。
「しかし、自爆か……本当にただのテロリストなのか?」
「分からないのだよ、でも、道が塞がれてしまった以上、別の道から行った人達を待つしかないのだよ」
 アルビダの疑問にリリが答え、皆、塞がった道を見つめた。