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リアクション
修学旅行の二つ目の行き先は、秋葉原である。
デンパ飛び交うこの街で、生徒たちは日頃体験できない非日常を経験していた――。
●秋葉原・中央通り
「くしゅんっ!」
「リース、風邪?」
クシャミをしたリース・アルフィン(りーす・あるふぃん)を、『さいのあな』とロゴが打たれた袋を大事そうに抱えるノワール クロニカ(のわーる・くろにか)が気遣う。
「ううん、大丈夫。誰かが私の噂してたみたい」
「そう。ではリース、次のお店に行きましょう」
「ええっ!? クロニカちゃん、まだ買うの?」
呆れるリースを置いて、クロニカが次のお店に足を向ける。
(やっぱり秋葉原、こんなにたくさんの『ヤオイ本』があるなんて! ……べ、別にこれは私が男の人同士の絡みが好きとかじゃなくて、ただちょっと興味があるだけ、そう、そうなのよっ)
自分に言い訳をしつつ、クロニカの『ヤオイ本』探しはしばらくの間続いたのであった――。
(ま、これだけ買えば大満足ね! 早く帰って読みたいわ〜)
ほくほく顔のクロニカとは対照的に、リースはすっかり軽くなった財布を見て涙を浮かべる。この手の本は薄くて高い、が相場なのであった。
「晩御飯どうするのよ……あれ? あそこにいるのは刀真のパートナーの月夜さん?」
困った顔のリースが、前方に樹月 刀真(きづき・とうま)のパートナーである漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)、それに橘 恭司(たちばな・きょうじ)とミハエル・アンツォン(みはえる・あんつぉん)の姿を認め、興味本位で近付いていく。
「『アキマス』の打ち上げか。解った、手伝おう……待て、その財布は誰のだ?」
「これ? これは刀真の黙って持って来たお財布。ロイヤルガードってすごいね! ほら、こんなにたくさん!」
一切の悪気なく他人の財布を私物化する月夜に、恭司は自分が身を削らねば友人が血の涙を流す羽目になるだろうと思い至る。
「解った、俺も出すからその財布ちょっと締まってなさい。……で、会場の手配とかはもう決まっているのか?」
「これから行くところ! 確か『お肉の萬聖』で最高級和牛のすき焼きコースだったかな?」
月夜のその言葉を聞いた瞬間、恭司は自らの財布を引っ込めた。
「……そんなプランで大丈夫か?」
「大丈夫、問題ないよ!」
キッパリと言い切る月夜に、恭司は心の中で刀真に敬礼する。
「すまない刀真……俺はお前の力になれないようだ……」
「主、諦めないで下さい。経営者であり成人としての主の底力を見せるのは、今ではないのですか?」
ミハエルがかろうじて、現実逃避を図ろうとした恭司を現実に引き留め、可能な限り予算を抑える策を考えようとする。
「何やってるんですかー?」
そこに、追いついたリースとクロニカが声をかける。
「これから打ち上げの手配しに行くの! すき焼きおかわり自由コースだよ!」
「いーなー! 私も食べたいなー!」
「じゃあ来る? 予算は刀真と恭司が出してくれるって!」
「やったー! ゴチになります!」
「えっと、私もいいのかな?」
「クロニカちゃん、こういう時は黙って「ゴチになります!」って言えばいいんだよ!」
「そ、そう……じゃあ、ゴチになります」
「あ、ああ……」(……まずは、身の確保を考えた方がいいだろうか)
(主、試練の時ですね……)
この時恭司とミハエルは、無邪気という言葉の恐ろしさを目の当たりにしたのであった――。
※この後は、元々カオスなリアクションの中でも、特にカオスな展開となっております。
事実関係を確認してない・捏造・ジョークにならないブラックネタ満載ですけど、デンパに飲み込まれたんだな……とでもしてやってください。
「あたしのマナになんてことしてくれたのよー!!」
ガンガン、と扉を打ち付ける音、同時に朝野 未沙(あさの・みさ)の抗議の声が辺りに響く。
「マナはあたしの なんだからね!
それからいくら好きだからって、これはどーなのよー!」
「未沙、気持ちは分かるけど、多分何のことだかこのリアクションの執筆者は分かってないと思うわ!」
孫 尚香(そん・しょうこう)が言う通り、もしかしたらシナリオ本編のことを言っているのかもしれないし、キャラクエのことを言っているのかもしれないが、いまいち分からない。
……いやまあ、その辺情報を共有しておくべきかもしれないし、もっとアンテナを張っておくべきなのかもしれないが。
「高木陽子さんがNPC登録されてないって嘘でしょう!? 実は『レベル:無量大数』くらいの凄まじいプロフィールがあるに違いありません!」
室内では、某チーフプロデューサーが『こんなこともあろうかと』と用意しておいた身代わり『栗たん1号』に藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)が問い詰めていた。確かに、『P−KO』の他の2人はNPC登録されているのに、彼女だけが登録されていないのは理不尽であろう。
「いや、彼女はそういうキャラなんで。後、登録しろって言われると登録したくなくなるものですから」
栗たん1号の天邪鬼っぷりと開き直りっぷりに、何かが切れる音がした優梨子が、両手に剣を抜き栗たん1号の首を刈る。ついでに何故か大量に用意されていた『新のすけC号〜I号』も同様に首ちょんぱをかます。
「うふふ、だんご3兄弟ー……あら一つ足りませんわね」
それらを順々に串に指していった優梨子が、8つ目のだんごを指した所でくるり、と後ろを振り向く。しかし、既に嫌な予感を察知したか、宙波 蕪之進(ちゅぱ・かぶらのしん)はその場を早々に立ち去っていた。
ふぅ、と息をつく優梨子は、直後何かが割れるような音を耳にする――。
「山葉ー、気持ちは分かるけど、迷惑がかかることは止めておけー。田舎のお母さんが泣いてるぞー」
その頃、山葉が『ソウクウの怖龍帝我』(『我』は『あ』で変換すると出てきた byグーグルIME)を名乗った某事務所が入っているビルには、複数の生徒たちが姿を見せていた。その一人、甲斐 英虎(かい・ひでとら)がメガホンで山葉の説得を試みる。
「ああ、でもあたしも……なぜポータラカの修学旅行で剣の花嫁がバトルロイヤルをする必要があったかは、ここにいる方々に問い詰めたい気がいたします」
横で、英虎の制服の袖をきゅっ、と握りつつ、甲斐 ユキノ(かい・ゆきの)が自身が気になっていたことをぽつり、と呟く。今は見当がつかないが、もしかしたら凄いとんでもない理由が今後『実はこういう事だったんだ!』と後付けされるかもしれない。
「組同士の抗争……思い出すなぁ〜。初めての鉄砲玉……あれは生涯忘れられない思い出や〜」
「く、組の抗争!? 鉄砲玉!? な、何の事でござるか〜?」
うんうん、と一人で勝手に納得する安西 虎治(あんざい・とらじ)の言葉に、訳がわからないといった様子で安西 兎(あんざい・うさぎ)が目に涙を浮かべる。
「よっしゃ! 手ぇ貸したるわ! ……てなわけで兎、ちょう行ってこい」
「えぇぇ!? ……いやいや、夫を信じて付き従うのが妻の役目! と、とりあえず「たのもーっ!」と言って斬りに行けばいいでござるか?」
何やら荒い息を吐く虎治に頷いて、兎がビルの中へと入っていく。急な階段を登り、鉄製のドアを押し開けた先に見えたものは――。
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