空京

校長室

【2020修学旅行】東西シャンバラ修学旅行

リアクション公開中!

【2020修学旅行】東西シャンバラ修学旅行
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リアクション

 
「ピンクのブレザーってセンスは正直どうかと思うのよ。これって環菜さんの趣味? 環菜さんとかルミーナさんとか花音ちゃんとか、この制服着てるの見たコトないんだけど」
「あー、そういやそんな気もしたな。まぁ、学園建てたの環菜だし、そういう事になるのか? ……っておい、その服は何だぁ!?」
「というわけで、新しい制服のデザインを考案するわ! これは秋葉原のコスプレ屋さんでの研究を元にした試作品よ!」
「…………」(危なかったです。事前に下調べをしておかなかったら、彩がどんな怪しげな店に行っていたことか)
 一つのデスクに腰を下ろした山葉 涼司(やまは・りょうじ)へ、筑摩 彩(ちくま・いろどり)が新しい制服のデザインを採用するよう迫り、イグテシア・ミュドリャゼンカ(いぐてしあ・みゅどりゃぜんか)が呆れたようにため息をつきつつ、「穢れの無い少女に似合う色は純白です」とちゃんと主張していた。
「……ハッ! こ、これは『業界で成功するための108のテクニック』!? ……ふむふむ、なるほど……」
「それにしてもすごいですね、普段皆さんはこうして自分の分身を大勢投入して仕事をしているのですね」
 別のデスクでは、何故か無造作に置かれていたここの社員がまとめたと思しきマニュアルを皇甫 伽羅(こうほ・きゃら)が食い入るように目を通し、こんな騒動の中でも作業をこなす『新のすけ85号〜95号』の仕事ぶりに、劉 協(りゅう・きょう)が感心の眼差しを向けていた。
「ヒャッハァー! 山葉も判ってきたじゃねぇかぁ!」
「ドルンドルンドルン!! ブォォォン!! ドルンッ!!」(さっさと陽子さんのプロフィール閲覧できるようにして、お写真を用意しろ!)
 しかし、頑張って作業を続けていた『新のすけ85号〜95号』も、南 鮪(みなみ・まぐろ)の『乗り込むときは斧を持っていくのが作法』に従って持ち込まれた斧で叩っ斬られるわ、タイヤで高速回転を見舞うハーリー・デビットソン(はーりー・でびっとそん)に椅子を高速回転されてバラバラにされるわの有様だった。
 一体、一人のNPC登録を巡って何人の血が(あくまで身代わり人形だが)流されたのだろうかと考えると恐ろしい。
「俺は今まで、シャンバラでラーメンを広めるべく活動をしてきた!
 種もみの塔の中にラーメン屋を作ったこともあった!
 今度は地球に進出だ! パラミタラーメンを秋葉原に広めてやる!」

 そして事務所の一角には、渋井 誠治(しぶい・せいじ)の作ったラーメン屋が営業を開始しつつあった。
「山葉校長、この何の変哲もない一事務所を占拠する理由は? この後どうするつもりでいらっしゃるのですか?」
「……何かよぉ、ここは俺たちが守ってやらなきゃいけねぇって思ったんだ。シャンバラが危機だとかそんなんじゃねぇ、もっと大きな規模で危機が迫っている、そんな気がしたんだよ」
 ヒルデガルト・シュナーベル(ひるでがると・しゅなーべる)の問いに、山葉がフッ、と目を細めつつ呟く。
「そ、そうだったのか……てっきり個人データ漁って何か良くないことを企んでいるのかと思ってたよ」
「そんなことするわけねぇだろ。……ま、俺がいつから『メガネ』と呼ばれるようになったのかは気になったし、あわよくばその事件を無かったことにしようとは考えたけどよ」
「いや駄目だろそれも……」
「そうですよ涼司様! 涼司様がこれまで苦労なされたからこそ、今のあたしがいるんですから!」
「は、はあ……」(なんつーか教頭、いいこと言ってるような気がするけどそう思えないのはどうしてだろうなぁ)
 そんな山葉の話を耳にして、青葉 旭(あおば・あきら)が納得しつつもやっぱり呆れた様子で呟き、山野 にゃん子(やまの・にゃんこ)が肥大化してしまった胸をえっへん、と自慢する花音・アームルート(かのん・あーむるーと)に何とも言えない視線を向ける。もしデータが弄れるなら、巨乳キャラを尽く貧乳キャラにしてやりたいところだ。
「涼司くん、お茶を淹れてきま――きゃっ!」
 涼司を労おうと、多分ここに置いてあったような気がするメイド服に身を包んだ火村 加夜(ひむら・かや)がお茶を持ってきたところで、床に散らばった何かの資料に足を滑らせる。
「おっと! 大丈夫か、おい」
 涼司がすかさず身を乗り出し、お茶を片手で、もう片方の手で加夜を抱きかかえ、事無きを得る。もしお茶でもこぼしてデータを吹っ飛ばせば、大損害だ。
「りょ、涼司くん……」(ああ、涼司くんの胸板……ふ、触れてもいいかな……)
「……あたしの涼司様に気安く触れてんじゃないわよこの糞ビッチ!!」
 突然のハプニングに加夜が頬を染め、それを見た花音がとても『剣の花嫁』にあるまじき暴言を吐いて(注:普段はこんなんじゃないと思います。でも何故か言わせなくちゃというお告げが降りました)『ブライド・オブ・ブレイド』を抜き放ち、涼司ごと加夜をぶった切ろうとする。
「わあ〜、涼司おにいちゃんかっこいい〜。えへ、加夜も真っ赤、嬉しそう? よーし、ボクも頑張るぞ〜」
 花音の本気の攻撃を、加夜を抱いたまま避け続ける涼司を、ノア・サフィルス(のあ・さふぃるす)が無邪気に応援する。
「……うむ、さっぱりわからん。何がどうしてどうなれば、このような話が出来上がるのだろうか」
「さあな、校長には興味ないしな。……それより見ろ、秋葉原もなかなか面白い光景だな。ふむ、あの奇抜な格好をした者、あれはコスプレというのだろう?」
「……ネル、バッサリと切り捨てたな。しかし、よく知ってたな」
「私は、事前情報を得てから旅先を巡る方が好きなのでな。行き当たりばったりも悪くはないが」
「そうか。ではひとまず、この騒動というか何というか、それを収めてから……む?」
 背後のカオスっぷりをひとまず無視して、事務所の窓から外を眺めていた斎藤 邦彦(さいとう・くにひこ)ネル・マイヤーズ(ねる・まいやーず)は、道路を挟んで反対側の建物の屋上に、3つの人影を確認する。それだけならまあ、ありえなくはないことだったのだが、次の瞬間その人影はこちらに向かって跳躍し出した。
 
「……邪魔しに来た。
 たとえ貴公らがどんなに強大な相手であろうと、秋葉原を泣かせるヤツは許さねぇ。
 蒼空学園校長、山葉涼司、そのパートナー、花音・アームルート! 貴公らの罪を数えろ!
 ……っつーか、仮にも校長っていう責任者が率先して問題行動してんじゃねー!!」

 
「皆の栗栄帝部(くりえいてぃぶ)な夢を生み出す場所を占拠するなんて許せない!
 ボク、堪忍袋の緒が切れました!」

「海より広いあたいの心も、ここらが我慢の限界よ!」
「……あ、あれ!? カヤノ、どうしてここにいるのさ!」
「エリュシオンで誰もあたいに絡んでくれなかったから、腹いせにこっちに来てやったのよ!」
 
 窓を蹴破り、風森 巽(かぜもり・たつみ)ティア・ユースティ(てぃあ・ゆーすてぃ)、それに謎の空間跳躍を果たしたカヤノ・アシュリング(かやの・あしゅりんぐ)がヒーローorヒロインよろしく、悪の根源たる山葉と花音に止めを刺し、まああながち間違いでもないが、止めに入る。
 
「ボケ倒すのも程々にしなよ、涼司君!」
 
 そしてこの、いつまで続くのか分からないカオスな展開に終止符を打ったのは、ハリセンを手にした五月葉 終夏(さつきば・おりが)の一撃だった。
 ただのハリセンと侮るなかれ、秋葉原で売られているハリセンには『話を強引にイイハナシダナーで終わらせるかもしれない』効果があるかもしれないのだ!
「……ハッ! お、俺は一体何を……おっ、終夏、今日はヘアピン付けてきたんだな。似合ってるぜ」
「あ……、そ、そうかな。うん、ちょっとね」
 我を取り戻したらしい涼司に、こっそり付けてきたヘアピンを褒められ、終夏が気分良く頷く。
(ふ……どうやら山葉は気付いたようだな。良かったな、終夏)
 事務所の片隅で、缶に入ったおでんを頬張りながら、ニコラ・フラメル(にこら・ふらめる)が微笑ましく終夏を見遣る――。
 
 それからは、山葉の先導で事務所の後片付けが行われた。
「もう! 隼人が凄い勢いで事務所占拠の死守を懇願してくるから手伝ったけど、理由がくだらなさ過ぎたから私が止めてやったわ! さっさと片付けて秋葉原見物に戻るんだから!」
「ああ、はい、そうですね。……で、結局隼人が事務所にいた理由って何だったのですか?」
「……あれ? 何だっけ、本当にくだらなさ過ぎたから忘れたわ。いちいち覚えてられないわよ、くだらない理由なんて」
「こ、このやろー! 『ブライト・オブ・パイク』を『ブライト・オブ・バイク』と読み違えたのをそんなにくだらない言うんじゃねー!」
「あ、そうだった。……おはよう隼人、起きたなら片付け手伝いなさいよね!」
「……ま、色々あるよな」
「や、やめろー! その頭の可哀想な人を見るような目で、俺を見ないでくれー!」
 風祭 優斗(かざまつり・ゆうと)沖田 総司(おきた・そうじ)風祭 隼人(かざまつり・はやと)アイナ・クラリアス(あいな・くらりあす)がそんな会話を交わしながら片付けを進めていく。この話を聞いた誰かが『ブライトシリーズに『バイク』を追加しろー!』などと言ってきたかどうかは、神のみぞ知る。
「お仕事お疲れ様です。皆様の頑張りがあって、今の私たちがいるんですよね」
 そして、同じパラ実生の優梨子や鮪、ハーリーによってだんごにされたりみじん切りにされたりちぎられたりした『栗たん1号』『新のすけC号〜I号』『新のすけ85号〜95号』は、フィリア・グレモリー(ふぃりあ・ぐれもりー)によって見事元の姿を取り戻すことが出来た。
 流石パラ実にあって『パラ実の良心』である。
「……あら? これは……え? 『ここにある設定は、何かの拍子にぽっと出ることがあるからおいそれと公表できない』? ……なるほど」
 地面に散らばっていた資料の一つに目を通したアシーネ・パルラス(あしーね・ぱるらす)が、そんな『栗たん1号』の言葉を受けて資料を返し、ひとまず見なかったことにする。
「……よし、これで片付けは終わったな。それじゃ引き上げようぜ」
 山葉の号令で、生徒たちがゾロゾロと事務所を後にする。後で校長の奢りですき焼きとか聞こえたような気がしつつ、最後に山葉が振り向き、見送る者たちに言葉を送る。
「……俺たちがこうやって無茶できんのも、全部お前たちのおかげって聞いたぜ。……ありがとよ」
 言い終え、そして扉がバタン、と閉められた――。
 
 
 
 次から通常に戻りますよ。