空京

校長室

戦乱の絆 第3回

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戦乱の絆 第3回
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宮殿内・【野戦病院】

 ギギギギギギギギギィ――……バタン……ッ。

 宮殿内に、「玉座の間」の扉のしまる音が鳴り渡る。
 
 ついで空爆の轟音。
 防御システムの、やむことのない攻撃。

「これじゃ、『玉座の間』に近づくことすらできないわ!」
 【野戦病院】の芦原 郁乃(あはら・いくの)は赤十字腕章をはめ直しつつ、舌打ちした。
「仕方がないです! 郁乃様」
秋月 桃花(あきづき・とうか)が、なく冷めるように肩に手を置く。
 負傷者に手当を施している。この時とばかりに役立った、特技の「応急手当」。
「我々は、我々に出来ることをしましょう」
「でも、『玉座の間』の中にだって、負傷者は出るはずだわ!」
 桃花は郁乃から手当ての終わった患者達を受け取ると、肩に担いで、出口に向かう。
「大丈夫さですよ、きっと。
 今は信じるしかありません。
 だから次に扉が開け放たれた、その時こそ!
 2人で一緒に向かうことにしましょう」
 さ、と郁乃を促す。郁乃はうんと頷くと、後方への搬送を続けるのだった。
「そうね、今は出来る限りの、精一杯の事をするしかないわね……」
 
 別の場所では、都筑 優葉(つづき・ゆうは)ニレ・グランツ(にれ・ぐらんつ)の2人が負傷者の手当に当たっていた。
「たかが特技、と思っていたけど。されどなのだな」
 感心して、されど溜め息をつくのはニレ。
 感心したのは、「応急手当」の技が役立ったことに。
 溜め息は、負傷者の多さに。
「ボヤかない、ボヤかない、ニレ君」
 優葉はやはり「応急処置」を駆使しつつ、ニレに憎まれ口をたたいた。
「自分達の手を求めている人は、ここだけじゃないんですからね!
 さ、次に行きましょう!」
「そうであったな、ユウハ」
 【至れり尽くせり】で優葉の処置を手伝うと、次の負傷者へと向かうのであった。

 ……こうして4名の勇敢な「救世主」達は、東西の怪我人達を分け隔てなく救い、宮殿外に設けられた「施設」へと送りとづけることに成功したのだった。
 彼等の働きは、「【野戦病院】の鑑」として、後々まで伝えられていくこととなる。