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リアクション
突入、撤退 1
ダリル操るゾディアックがエピメテウスの攻撃を妨害している隙に、金獅子は最大速度で万魔殿へ突撃。轟音が空気を揺らし、獅子の牙が要塞へと喰い込む。
「周りは任せて! そのまま主砲を!」
突撃中に自分で使えるありとあらゆる力、エンペラー・オブ・エイコーン、無敵艦隊などを総動員してフォローにあたるルカルカ。
途端に金獅子の周りでは最終戦争を思わせるような攻防が繰り広げられる。
そんな思いに答えるべくクエスティーナとサイアスが動く。
「この距離から外せと言う方が難しい! クエスティーナ!」
「許可します!」
「了解だ! 星辰波動砲、発射だ!」
阿吽の呼吸でやりとりをして、遂に極至近距離で星辰波動砲が万魔殿へと炸裂する。その反動により金獅子は後ろへと押し戻される。
獅子の咆哮は、絶大な威力を誇る攻撃となり、この攻撃を受けた万魔殿の外装はボロボロになり、突入口がつくられた。
それを見た突入組が隙を見て進入、作戦は成功。
「このまま後退! あとは防衛に徹して!」
まだ油断はできないとルカが声を発し、全員を鼓舞する。
すると万魔殿の後ろに控えていた敵戦艦とイコン部隊が突如として前進。獅子を落とすつもりだ。
更に先ほどまでボロボロになっていた万魔殿の外装がみるみるうちに回復し、一瞬の間に元通りとなっていた。
「これほどの危険をおかしてまでやったのに、一瞬で傷は癒され、この量の敵に追われるか。割りに合わないな。
……しかし、巨大戦艦で突撃からの近距離射撃までする必要はあったのか?」
「だ、だって……食い破れって言われた……から」
きょとんとした顔つきで言うクエスティーナ。どうやら、本当に言葉通りを実行にうつしたようだ。
それを聞いたサイアスが一瞬だけ目を見開き、やれやれと言った感じで首をふった。
ここからは防衛ラインまで撤退戦が始まる。
「さて、金獅子の乗組員として頑張らないとね」
「ああ! そうだな!」
金獅子に乗艦していたエールヴァント・フォルケン(えーるう゛ぁんと・ふぉるけん)とアルフ・シュライア(あるふ・しゅらいあ)が気合を入れて迫り来る敵を見ていた。
自分のイコンの武装を金獅子へと換装し、更に僚機イコンに金獅子の護衛を任せて、彼らは迎撃に専念。やたらアルフのやる気が高い、その理由は。
「 『作戦が終わったら上手い飯で一緒に食いに行こうぜ』、うん、これだな!」
艦長である可愛こちゃん、クエスティーナをご飯に誘おうとしていたからだ。
「……まあ理由はともかく、やる気は十分見たいだし水を差すのはやめておこうかな」
アルフのやる気を削ぐことはない、そう判断したエールヴァントはアルフに突っ込むのをやめ、指示を出す。
「やることは一つだよ。迫ってきている敵艦隊とイコンを迎撃し、防衛ラインまで撤退すること」
「よっしゃ! お安い御用だぜ!」
「レーダーを使って敵が攻撃範囲内に入り次第、弾速が早いレーザー系の武器で攻撃して」
「任せろ! これで撃墜した数が多ければ多いほど、成功率は上がるってもんだな!」
エールヴァントは「なんの?」という言葉を飲み込んで、アルフと迎撃を開始。
いざ戦闘になった時、アルフも冷静に敵を落としていくのを見て、いつもこうならモテるかもなのに、と感じざるを得ないエールヴァントだった。
「あちらも忙しようだな」
「実際、こっちも忙しくあるからね。……でもあれだけの攻撃を一瞬で回復するとは、あの要塞、化け物じみてるよね」
「だが突入は成功した。ならば俺たちは下がればいい」
エールヴァントたちと同じく、自分のイコンの兵装を金獅子に換装した上で乗艦していたクローラ・テレスコピウム(くろーら・てれすこぴうむ)とセリオス・ヒューレー(せりおす・ひゅーれー)も敵の迎撃に全力を尽くしていた。
「クローラ、上にお腹を出した敵戦艦がいるよ」
「そうか。ならミサイルを見舞ってやるとしよう」
そう言いつつ上空をのんびりと飛んでいた戦艦に狙いを定めて、ミサイルを射出。連続で放たれたミサイルは全て命中し、敵戦艦はもくもくと煙をあげて落ちていく。
しかし、別の敵戦艦からミサイルが発射される。何発ものミサイルが金獅子を落とさんと、風を切り裂き飛来する。
「……そこだ!」
ミサイルの弾道を予測し、その地点へとレーザー砲を射出。見事にミサイルに当たり爆発、後続のミサイルも次々と撃ち落していくクローラ。
「やるなあ、クローラ」
「伊達に迅龍の砲術セクションを担当してやしないよ」
エールヴァント、クローラたちにより艦内部からの攻撃は上々。それに負けじとイコン部隊も活躍していた。
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