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アーデルハイト・ワルプルギス連続殺人事件 【後編】

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アーデルハイト・ワルプルギス連続殺人事件 【後編】

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 第3章 戦隊MK5、魔法少女、そして怪人達! ヒーロー大決戦のこと

■□■1■□■

 そんな騒動が繰り広げられる中、ウィニングに迫る、5つの影があった。
 ウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)が、宣言する。
 「そるじゃ子が抜けた今、テメーらは4人しかいない! よって、MK5を名乗る資格はない!! どうだ、いきなりテメーはアイデンティティーを喪失した筈だ!!!」
 「な、なんだとおおおおおおおおおお!?」
 「俺らが、MK5だァアアア!!!」
 登場シーン用のフラッシュが轟く。
 「MKブルーこと【マジで空気読まない】ウィルネスト参上ッ!! ココで俺様が口上中……と見せかけて轟け、雷ぃ!!」
 「ぎゃあああ! 全員分やってからにしろよ!」
 続けて、志方 綾乃(しかた・あやの)が、前回に引き続き、黒子衣装で、しかも、「ロリコンでお金好き」という札を下げたままで、叫ぶ。
 「黒子なのにレインボー【マジで金くれ】志方綾乃! ロリコンでお金好きしかもネクロフィリアだけど志方ないよね!!」
 戦隊ヒーローにあるまじきリアルなハンドガンを手に、綾乃が、アーデルハイトに向かって発砲する。
 「前回の失敗は、「他人が殺した超ババ様の死体を強奪しようとした」ことに原因があったんですよ。なのでMK5になれば合法的に超ババ様を殺せる上、その場で死体をゲットできるはず!」
 「なにす……うあ!?」
 アーデルハイトが殺される。
 「こらあああああああ!! 俺がビーム撃つ前に殺してんじゃねえよ! だいたい、戦隊なのにレインボーとかないわ!」
 「邪魔じゃ!」
 綾乃のパートナーの英霊袁紹 本初(えんしょう・ほんしょ)が、ヒロイックアサルトとチェインスマイトを使用して、ウィニングをぶっ飛ばす。
 「MK5の登場シーンじゃろ! 邪魔するんじゃない! 空気読め! ……しかし、わらわは王侯貴族に属する身分だったのに、何か最近どうにも仕事が雑用っぽいのう」
 袁紹がぼやく。
 黒衣の仮面男、クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)が、ぶっ飛ばされたウィニングをさらに真後ろから襲う。
 「【桃栗三年柿八年】……【待てば海路の日和あり】……隙ありッ! 【真後ろから強襲】するは、MKブラックこと【毎日健康】クロセル、【満を持しての見参】ッ! 旧MK5メンバー討伐の手柄にて、新MK5のリーダーの座は俺がいただきます!」
 「ぐはあ!?」
 「いいぞ、クロセル、世のため人のため、悪党共を懲らしめてやるのだ!」
 パートナーのドラゴニュート、マナ・ウィンスレット(まな・うぃんすれっと)が、クロセルの頭の上でマスコットキャラっぽく言う。
 譲葉 大和(ゆずりは・やまと)が、ぶっ飛ばされたりしているウィニングは無視して言う。
 「MKブルー【マジで空気読めない】譲葉大和推惨! ブルーはかっこよくて頭のいいクールキャラポジションなんです! 放火魔でチビなウィル君はレッドでも名乗ってなさい!」
 「うるせー! キモメガネは欲求不満紫でもやってろ!」
 ブルーの座を争い、大和とウィルネストが小競り合いを始める。
 「ええっ、レッドは自分だよ!」
 ケイラ・ジェシータ(けいら・じぇしーた)が、現れ、ポーズを取る。
 「MKレッド【マジで空気】ケイラ・ジェシータ! 学校の平和は自分達が守る! 前編空気だったのと「レッドカード」って言ってたのは実は伏線だったんだよ」
 ケイラのパートナーの機晶姫御薗井 響子(みそのい・きょうこ)が、サーチライトで、MK5を照らす。
 しかし、ライトが4つしかなく、ケイラを照らせない。
 「あ……ケイラいたの?」
 「ううっ!!」
 そこに、ざんすかが追いつく。
 「やっとウィニングを探し出したざんす!! はやくぶっ殺すざんす!!」
 「おお! 見ててくれよざんすかたん、俺の勇姿! 俺はキミの為に戦うからな! ってことで、俺がブルーだあ!!」
 「何言ってるざんすか?」
 「いえ、俺がブルーです!」
 ウィルネストと大和が小競り合いを再開する。
 「み、皆喧嘩は駄目だよ。学校の為に敵を倒さなきゃ駄目だって思うな!」
 ケイラが必死に仲裁しようとする。
 「ふっふっふ、レッドの座は、一番活躍した俺のものですッ! というわけで、【もはや空気】ウィニング! 例えどのような設定が加えられようとも、俺の最大のアイデンティティたる仮面さえ無事ならどうとでもなります。
 設定崩壊ビーム、恐れるに値せずッ!」
 クロセルがウィニングに突撃する。
 「ウィニイイイイイイイイイイイイイング!!」
 ウィニングの反撃ビームを、クロセルは思いっきりくらう。
 「なっ!? 仮面を外されてしまった!? これでは【もしかしてクロセル?】なMKブラックに!?」
 響子が、サーチライトで、クロセルの顔に光をあて、直視できないようにする。
 「んむ、クロセルよ、キミの無念は私が晴らそう! 【マジでカワイイ】MKブラック2号見参! カワイイは正義だと、昔の偉い人も言っていた気がする!」
 「な、レッドの座を狙っていたらブラックの座が奪われた!?」
 マナにMKブラックの座を奪われ、クロセルがわめく。
 ウィルネストのパートナーの吸血鬼シルヴィット・ソレスター(しるう゛ぃっと・それすたー)と同じくパートナーのアリスミーツェ・ヴァイトリング(みーつぇ・う゛ぁいとりんぐ)が、イルにゃんスールの格好で解説する。
 「せつめいしよう! 出番を狙ってると足元をすくわれたりするのである! ですよ!」
 「これで、もはやMK6ですー」
 ケイラが、あわてて突っ込む。
 「ちょ、戦隊なんだから、チームワークを大切にしようよ!」
 「ちょっと待ったー!!」
 アルシェ・ミラ・オリヴィラ(あるしぇ・みらおりう゛ぃら)が、サンタのように改造したミニスカセーラー服で現れる。
 「【目立つ為なら空気読まない】アルシェ・ミラ・オリヴィラ! 校内シナリオに初☆登場ッ!」
 アルシェが思いっきりポーズを取る。
 「というわけで、ケイラさんがレッドだったなんて、衝撃の事実が発覚だよー! うーん、友達に迷惑を掛けるのは不本意だけど、僕は目的の為なら手段を選ばない主義なんだよねー……。レッドの座をかけてデュエルだよっ!」
 「ええっ、何言ってんの!? はうっ!?」
 「いっけええええええ!!」
 アルシェは、ケイラに思いっきり突っ込んでいき、メイスを振りかぶる。
 追いかけてきた、アルシェのパートナーのヴァルキリーフラン・ウェラヴィース(ふらん・うぇらう゛ぃーす)が、慌てて叫ぶ。
 「あのバカ! 何女性に殴りかかってるんだ……! あとで説教だ……!」
 「せつめいしよう! とはいえ、ケイラ・ジェシータも、アルシェ・ミラ・オリヴィラも、女装っこなのですよー」
 「更に追加入りましたですー! もうMK7ですー」
 シルヴィットとミーツェが実況する。

 そんな様子を、四方天 唯乃(しほうてん・ゆいの)と、パートナーの機晶姫フィア・ケレブノア(ふぃあ・けれぶのあ)が、隠れて撮影していた。
 「新MK5、今流行り? の特撮ヒーロー風に編集してイルミンのチビっこ達に見せたら喜ぶかしら?」
 「設定崩壊ですか……唯乃なら、やはり貧が巨という感じでしょうか。それはそれで……、こう……もふもふと……ハッ! いけません! やはり唯乃は今のままが! 他にも色々考えられますね、妄想が広がります……」
 唯乃は、アーデルハイト殺人事件の映像と、一緒に編集して特撮番組を作ろうとしていたが、フィアはこっそり妄想している。

 「ウィル君、ブルーを譲ってくださるならプロデューサー権限でざんすかたんとユニットを組ませてあげますよ? いつまでもジャーマネに甘んじる気は無いのでしょう?」
 「な、なんだと!?」
 「ガチ百合ユニット『イルミン姉妹(スール)』デビュー曲はアイドル業界で生き残りを賭けた命がけの二人が歌う『雷音(らいおん)』です。そうですね、ウィル君の芸名ですがアーカイヴスからとって『いんでっくす』と名乗っていただきましょうか。仕事中はもちろん移動、地方営業での宿泊も同じ部屋ですよ? もちろんいんでっくすたんには女装してもらいますがね」
 「な……歌が下手な俺の設定を崩壊してもらって、ざんすかたんをエレキでソロデビューさせようと思っていたが! そのほうがいい気がする! でも、しかしッ!!」
 「ユーたち、何、勝手に話進めてるざんす!?」

 「ウィニイイイイイイイイイイイイイング!!」
 そんな間にも、ウィニングが設定崩壊ビームを放つ。
 「ウィニングのビームを鏡で反射させミラに当てることが出来れば、きっと常識人として行動するハズだ!」
 フランが、鏡でビームを反射させる。
 「ドーン」
 「え? ちょ!?」
 しかし、その線上に、フィアが唯乃を突き飛ばす。
 「ちょ、なんで縮むのよ!?」
 「計画通り」
 パートナー達の中で最高身長の唯乃は、一番小さくなったのであった。
 ビームは、ケイラとアルシェにも思いっきりあたり、2人は吹っ飛ぶ。
 「僕、友達に殴りかかるなんて……なんて非道な事を……!! ごめんね、ケイラさん! 僕も一緒に戦わせて!!」
 「うん、【ふたりはイルキュア】! ウィニを倒そう!」
 「マイペースでロクデナシ」という設定が崩壊したアルシェとケイラは手を取り合う。
 「ミラ! これを使え! 常識的行動は記念に撮影しておいてやるから、たまには人の役に立ってみせろ!」
 フランが、手鏡を、イルキュアの2人に渡す。
 「希望の力よ! 光の意志よ!」
 ケイラが、手鏡をかざす。
 「未来へ向かって、突き進め!」
 アルシェも、手鏡をかざす。
 「「イルキュア・Wレッド・シャイニング・ストリーム!」」
 「うおっまぶしっ!?」
 ウィニングが、鏡によって反射した光に目をくらませる。

 一方、志位 大地(しい・だいち)は、姿を隠しつつ、復活して走ってきたアーデルハイトの前にこっそり手紙を投げた。
 「なんじゃこれは。『設定崩壊ビームが当るように影ながら協力します。ウィニングに協力を求めてきます。追伸:作戦成功の暁には、そるじゃ子さんを許してあげてください』じゃと!?」
 「さあ、ウィニング、サングラスをかけるのです! でこ校長カンナ様ばりのサングラスで、イルキュアの技を破るのです!」
 「な、なんだと!? 誰だ、おまえは!?」
 「俺は『ガイア』! 設定崩壊ビームを応援する者です!」
 大地は偽名を名乗り、サングラスを渡す。
 「さあ、今こそ、アーデルハイトさんにビームを浴びせるのです!」
 「ウィニイイイイイイイイイイイイイイング!!」
 サングラスをかけたウィニングが、アーデルハイトに設定崩壊ビームを放つ。
 「待てー! ここは魔法学校。魔女を殺すなんて俺がゆるなさいよ!」
 愛沢 ミサ(あいざわ・みさ)が現れ、ウィニングに踊りかかる。
 「うお!?」
 ミサが立ちふさがったため、ビームは思いっきりミサに命中した。
 「お兄ちゃん、そのウィニングはMK5なのよ?」
 電波っ子になったミサが、大地に向かって叫ぶ。
 ウィニングに立ち向かうという気持ちだけは崩壊しなかったのだ。
 「そういうわけにはいきません。俺にも目的があるのです!」
 大地が、ウィニングをかばって飛びすさぶ。
 「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!」
 ミサが、「前世からの約束」で大地のことを「お兄ちゃん」と思い込み、電波発言をする。
 「なんだか知らないけど、ユーにはラリアットしなきゃいけない気がするざんす!!」
 「ぐはあっ!?」
 ミサは、ざんすかのラリアットによりぶっ飛ばされた。