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白銀の雪祭り…エリザベート&静香

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白銀の雪祭り…エリザベート&静香

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第3章 料理にこれがないと始まらない! 美味しいドリンク

-PM15:00-

「ついに完成したぞ!」
 四条は雪でサンタの帽子と特大雪だるまに被せ、『Merry X’smas』と文字を書いた雪の看板を持たせた。
「はーっはっはっは、どうだこの大きさ! パーティーにふさわしく、中々見ごたえがあるだろう・・・」
「ダディ・・・あれはいったいなんなのだ?」
「雪像なんじゃないですか?それにしても、あんなところにどうやって作ったんでしょうね・・・」
 高笑いしている四条がいる雪山を見上げ、リムとルイは目を丸くする。
 何事かと他の生徒たちも彼の方を見つめていた。
 山といっても大木が四条に大量の雪を被せられ、雪山となってしまっていた。
「ところでだれかハシゴなど持っていないだろうか、これでは降りられぬ・・・。それと温かい茶をくれないか、寒さでしもやけになってしまった」
 大木になんとか登ることは出来たが、降りられなくなった四条はハシゴを求めて叫ぶ。
「ハシゴの長さが足りませんね」
「うぅっ寒い・・・。仕方ない・・・このままでは風邪をひいてしまう。―・・・とぅっ!」
 助けを待って高熱で倒れるよりかはマシかと、覚悟を決めた四条は山から飛び降り、なんとかハシゴを両手で掴んだ。
「は・・・はぁああくしょんっ。あ・・・あわわっ、ぉおお落ちるぅうううー!」
 クシャミをしてしまった反動で手を滑らせてしまい、雪の上でドスンッと落下してしまう。
「大丈夫ですか・・・?」
「あぁ・・・なんとか・・・・・・」
 雪の中に半分埋もれてしまったが、自力で這い出した。
「誰か暖かいお茶をくれないか」
「紅茶や緑茶があるが、どれがいい?」
 トレイに温かい飲み物を乗せた玲が四条の方へやってきた。
「何でもいいからとりあえずくれ!」
「―・・・本当に何でもいいのか?」
 寒さのあまりブルブルと震える四条にダージリンティーを手渡してやる。
「はぁー・・・温まる〜。パーティーが始まる13時間前からいたからな・・・」
「それはよかった。(よく風邪をひかなかったな)」
 紅茶の入ったカップで手を温める四条に、玲は思わず苦笑してしまう。



「フルーツカクテルいかがー?お酒もありますよ〜」
 可愛らしいメイド姿のどりーむ・ほしの(どりーむ・ほしの)は、飲みのを乗せた銀の丸いトレイを片手に生徒たちへ配っている。
「コップがワイン、グラスがジュースですよ〜・・・・・・・・・あれ? 間違えました、逆です」
 ずっと声を出しながら歩いていたほしのは、うっかり言い間違えてしまう。
「みんな楽しそう・・・がんばろうね」
 生徒同士で会話している様子を見ていたふぇいと・たかまち(ふぇいと・たかまち)はほしの方へ顔を向けて笑いかけた。
「せっかくのパーティだもの、めいっぱい楽しんでもらいたいからね♪」
 ふぇいとへニコッと微笑み返す。
「頑張って照明設置してた人にも配らないとね。お飲み物いかがですか?」
「ノンアルコールカクテルがいいんだが」
「じゃあこれですね、どうぞ♪」
 ほしのからアルカリリィが作ったフルーツカクテルを受け取り、リアは“美味いな”と言い飲み干した。
「校長たちのにも配った方がいいんじゃないですか?」
「あっ!そうね」
 パイプ椅子に座っている校長たちの方へ近寄る。
「ジュースいかがですか? 今なら出血大サービス、あたしの口移しで飲ませてあげますよ〜」
 ほしのは校長たちへ冗談混じりに言うが、苦笑されて断られてしまう。
「冗談はさておき・・・どれにしますか?」
「どれも美味しそうだね。うーん・・・そのフルーツのがいいな」
 トレイの上に並んでいる飲み物を見ながらどれにしようかと悩み、桜井 静香(さくらい・しずか)カクテルジュースを指差す。
「私もそれがいいですぅ〜♪」
 エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)は静香が選んだジュースに目を輝かせる。
「これですね、は〜いどうぞ」
「ありがとうございますぅ〜。んぐんぐ・・・」
「口から零れてますよ」
 駆けつけた祥子がエリザベートの口元をハンカチで拭いてやる。
「ぽてとやぽてちはいかがですか?」
「うーんどうしようかな。(ぽてととぽてちってどう違うのかな?)」
 料理を勧めるふぇいとに静香は首を傾げた。
「さらだもありますよ? どれっしんぐはどれにしますか?」
「じゃあ・・・それもらおうかな」
「あ、どれっしんぐがかかっちゃいました。申し訳ありません」
 ドレッシングの入った器を手から滑らせてしまい、静香の顔にかけてしまう。
「大丈夫だよ・・・」
 ふぇいとはポケットからハンカチを取り出し、謝りながら静香の顔を拭く。
「服にもついてしまっていますね」
 至れり尽くせりによって祥子は着替え用の簡易個室を用意してやり、着替えを渡してあげた。
「ピッタリのサイズだね」
 もらった着替えのサイズは静香の身体にピッタリだった。
「メイドですから」
 目を丸くして驚く静香に祥子が可愛らしく笑いかける。
「出来立てのクレープ食べてみませんか?」
「きっと美味しいよ。(たぶんだけどね)」
 果物やアイスを包んだ生クリームたっぷりのクレープを、ナナとズィーベンが可愛い紙で包んで持ってきた。
「デザートですかぁ!食べたいっ食べたいっ、いっぱい食べたいですぅ♪」
 エリザベートは差し出されたクレープに目を輝かせてはしゃぐ。
「はむ、あぐあぐっ」
 静香よりも先に手をつけ、美味しそうに頬張る。
「ボクも1つもらうね」
「―・・・お味はいかがですか?」
「とても美味しいよ」
「(失敗したかと思ったけど好評みたいですね)」
 ニコッと笑いかける静香にナナはほっとする。
「美味しい?」
 感想を聞くズィーベンに、エリザベートはコクコクと頷く。
「そんなに急いで食べなくてもまだありますから・・・。まったくもう、口にいっぱいクリームついてますよ」
 ナナはクスリと笑いエリザベートの口をティッシュで拭いてあげた。



「スケート以外に釣りしたい人もいるんですね」
 ルイが湖面の方へ視線を移すと、クーラーボックスと釣り道具を持った生徒がその上を歩いていた。
「結構広いなー・・・ここの岸から向こうまで300mくらいありそうだな。静かな場所にいるっていうから、あの辺にしよう」
 ワカサギ釣りをしようと雪合戦の場所から移動してきた和原 樹(なぎはら・いつき)は、先に刃がついているドリルを力いっぱいグルグル回し氷を削り穴を開けた。
「―・・・そのやり方であっているのか?」
 傍から覗き込みフォルクス・カーネリア(ふぉるくす・かーねりあ)が不安そうな顔をする。
「ちゃんとワカサギ釣りの仕方が書いてある本を読んできたから大丈夫だって。大きな物音とか立てると逃げちゃうから、静かにしててくれよ」
「あぁ・・・」
「よしっ開いた!後は網で氷の破片を取り除いてっと・・・」
 水に浮かぶ氷の破片をすくい、氷の上へ捨てた。
「箱から餌を取ってくれ」
「餌って・・・この小さなワームのような虫か?」
 ウニョウニョと箱の中で蠢く虫を素手で渡す勇気がないフォルクスは、そのまま箱を樹に手渡してやる。
「難しいな・・・」
 受け取った彼は餌の赤虫を不慣れな手つきで、重りのついた手バネ竿の針につけ、そっと穴を開けたところへ静かに落とす。
「やはり簡単に釣れないようだな」
 30分経ってもまったく釣れる様子がない。
「―・・・むむ〜っ。まだまだこれからだ!」
 樹は湖の中を睨むように覗き込み、魚がひっかかる瞬間を辛抱強く待つことにした。