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白銀の雪祭り…エリザベート&静香

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白銀の雪祭り…エリザベート&静香

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第5章 勝つのは誰だ!? スケート競争!

「ねぇねぇ、せっかくだから皆でスケートしない?」
 凍った湖面をタンタンと踏み、クラーク 波音(くらーく・はのん)はパートナーたちの方へ顔を向ける。
「こんなに広いんだし、どうせなら競争しようよ!」
 スケート靴を履いたプレナ・アップルトン(ぷれな・あっぷるとん)が一緒に遊ぼうと声をかけた。
「それじゃあ私は審判をやりますね」
 レースクイーンのようにアンナ・アシュボード(あんな・あしゅぼーど)は旗を持ちスタンバイする。
「楽しそう〜マグもやるー♪」
 先に滑っていたマグ・アップルトン(まぐ・あっぷるとん)が寄ってきた。
「僕はここで見守っていますね」
 ソーニョ・ゾニャンド(そーにょ・ぞにゃんど)は救急箱を抱えてマグの頭の上へ飛び乗る。
「よし、ソーニョちゃん。しっかりつかまっててねぇ〜!」
「ララも一緒にスケートで競争するよぉ!」
 参戦しようとララ・シュピリ(らら・しゅぴり)が走り寄る。
「(にゅっ・・・! マグちゃんスケート早そぉ・・・ララ負けないよぉ!)」
 やる気満々のマグを横目に、ララは闘志を燃やす。
「それではいきますよ。レディー・・・ゴーッ!」
 アンナの合図で選手たちはいっせいにスタートした。
「うぁーん、プレナお姉ちゃんたち早すぎるよぉおー」
 スタートから数秒後、波音はプレナたちからかなりの距離を離されてしまう。
「追いつけないー・・・あきゃっ!」
 滑っている途中で足がもつれてしまい、こけてしまった。
「痛いよぉ・・・ぐすっ。でも負けないもん!」
 泣きそうになりながらも立ち上がり、再び湖面のリンクを走り始めレースを続行する。
「あっ・・・むむっ、ララちゃんにちょっと抜かれたっ・・・!?」
 マグはラらに数センチ抜かれてしまう。
「一世一代の大勝負。ララちゃん、勝負だよっ!」
「わわ、あぶない〜っ!」
 めいっぱい両腕を振りぐんぐんと進むマグの頭の上にいるソーニョは振り落とされそうになっていた。
「ぁあーっ、落ち・・・・・・・・・た」
 プチッ。
 ソーニョはマグに踏まれてしまい潰れてしまう。
 ペッタンコにされた彼はヒラヒラとそよ風に飛ばされ、アンナの両手の上へ飛んでいく。
「たが勝つよりも華麗に勝ちたいよね。ここはやっぱりフィギュアスケートの技で勝負!」
 トップを独走しているプレナは連続回転ジャンプに挑戦し、身体をひねって回転をかける。
「やったぁー成功・・・んきゃぁっ!?」
 着地に失敗してしまい氷の上へ顔面直下してしまう。
 ララとマグがほぼ2人同時にゴールへたどりつき、審判のアンナが判定をくだす。
「トップは・・・」
 彼女たちは固唾を呑んで結果を待つ。
「―・・・マグちゃんですー!」
「あぁ〜負けちゃった・・・」
 へにゃへにゃと力なくララはペタンと氷の上に座る。
「わーぁいごぉーる♪」
 途中でこけたプレナを追い抜いた波音が3位になった。
「痛いよー・・・」
「幸い顔に怪我がないようですね。膝をちょっとすりむいた程度でよかったです」
 プレナはすりむいたところをソーニョに手当てしてもらう。
「ちょっと技を試してみようかな♪さぁあ、いくよぉお・・・てぇえいっ!―・・・あうっ」
 フィギュアスケートの技トリプルアクセルを挑戦するが、波音は足を滑らせてこけてしまった。
 その後、何度も挑戦してみるものの、失敗し続けてしまいけっきょく成功できなかった。
「お茶をどうぞ」
 魔法瓶に入れてきた温かいジャスミン茶を波音たちに配る。
「温かい〜♪」
 波音はカップを両手に持ち、手を温めながらお茶を飲んだ。



「スケートの競争ですかぁ。面白そうですねー・・・」
 レースの様子を見ていたメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)が自分もやってみたいという顔をする。
「エリザベート校長と静香校長を誘ってみない?」
 セシリア・ライト(せしりあ・らいと)はパイプ椅子に座り、祥子が作ったシチューを食べている校長たちをスケートに誘うと言う。
「わたくしが呼んできますわ」
 2人の校長をフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)が呼びに行く。
「よろしければ一緒に遊びません?」
「うんいいよ」
「ローストビーフ食べながらでよければ行きますよぉ」
 エリザベートは目当ての料理があるテーブルの方へ全力で駆ける。
「私のローストビーフどこにあるんですぅ〜!?」
 正確に言えば“パーティーの参加者、皆の・・・”だが、彼女はおかまいなしにテーブルの周りをちょろちょろと探し回った。
「ありました〜♪」
「私が切り分けてあげよう」
 涼介が包丁でビーフを切り分けてやり、皿に盛りつけてあげた。
「ビーフと同じお皿にソースかけてくださぁい。食べながらスケートするんですぅ」
「食べながらって・・・危なくないか?」
「大丈夫ですよぉ」
 料理を食べながらスケートをすると言うエリザベートを止めようとするが、注意をまったく聞かない。
「そっちのフルーツサラダも美味しそうですぅ・・・」
「あ!それ私が作ったんだよ。よかったら食べて♪」
「遠慮なくいただきますぅ」
 クレアからフルーツサラダを受け取ると、エリザベートはメイベルたちの方へ向かった。
「あれっ校長・・・凍った湖の方へ行ったけど、その上で食べるの?」
「スケートしながら食べるようだ・・・」
「―・・・なんかいろんな意味で凄いね」
 食べ物に対する校長の執念にクレアは唖然とする。

-PM17:00-

 時刻は夕方を回り太陽の日が沈み、ルイたちがセッティングしたイルミネーションに灯りが点いた。
「エリザベート校長やっと来ましたね」
 スケート靴を履いて氷の上で待っていたメイベルが走ってくるエリザベートの姿を見つけた。
「ねぇ・・・スケート靴は?」
「あ・・・」
 料理を取って来たはいいが、肝心のスケート靴を履いていなかった。
「うぅ・・・両手塞がってますしどうしましょう・・・」
「おやおやまたですか、仕方ありませんね」
 気づいた祥子が手早く履かせてやる。
「ありがとうございますぅ〜」
「メイドですから」
 それだけ言うと祥子は傍を離れていった。
「それではいきます、よーい・・・どん!」
 メイベルの合図でいっせいにスタートした。
「食べながらなのに意外と早いですわね」
 フィリッパはトップを滑るエリザベートの背を見ながら呟く。
「余裕でいられるの今のうちですわ!」
 ぐんぐんと追い上げ、小さな校長の隣に並ぶ。
「うわぁフィリッパちゃん早っ!」
「全然追いつけないですー・・・」
 パートナーたちに追い抜けれたメイベルはビリになってしまった。
「ふぇふぁ・・・あわしをぬこうはんてふゃくねんふぁあうでふぅ!(訳:フフ・・・私を抜こうなんて100年早いですぅ!)」
 絶対に負けないとエリザベートは、口の中いっぱいにローストビーフを頬張りながら喋る。
「負けてしまいましたわぁっ!」
 2番着になってしまったフィリッパは悔しそうに声を上げる。
「ボクだって負けないよっ」
「最後はイヤですー!」
「えぇっ、そんなぁ・・・。僕がビリ・・・・・・」
 静香とメイベルは同着、途中で追い抜かれたセシリアはビリの結果に終わった。
「このわたくしが負けるなんて・・・」
 料理を食べながら走る相手に負かされたフィリッパは、ショックのあまり雪の上に両手をついてしまう。
「大丈夫ですかぁ?」
 メイベルは心配そうにフィリッパ顔を覗き込むと、へこんでいる彼女の口から魂が抜けかかっていた。