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【海を支配する水竜王】捕らわれた水竜の居場所を調べよ

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【海を支配する水竜王】捕らわれた水竜の居場所を調べよ

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第9章 進んで戻るループ

「この前はなんとか逃げ切れましたけど。今度こそタダでは・・・・・・ってニコさん!?」
 疲れきっているユーノ・アルクィン(ゆーの・あるくぃん)に追い討ちをかけるよう、ニコ・オールドワンド(にこ・おーるどわんど)がゴースト兵がいる方へ歩いている。
「ん?何だい」
「何って・・・今、いったい何をしようとしているんですか」
「もうちょっと遊びたいからちょっとね。フフフ♪」
 いい悪巧みを考えたニコは、近くにいる兵に向かってサンダーブラストを放つ。
「さぁ、これ着て」
 倒した兵から奪った服をユーノに手渡す。
「あのーニコさん、私に拒否権は?」
「そんなものあると思っているわけ?」
 彼に向かってさらりと言い放ち、ニカッと笑う。
 ユーノはニコの言う通り、しぶしぶ兵の服に着替える。
「ほら来たよ。さっさと行ってきて♪」
 ニコにドンッと背中を押され、強引にゴースト兵の前に行かされた。
「わぁっ、とっと・・・」
「何だ?」
「自分も他の兵士から聞いたんだが・・・・・・」
 仏頂面の兵に見下ろされたユーノは、慌てながらも情報錯乱で、嘘情報を流そうと喋り始める。
「外にいる兵士の頭はヅラ・・・なんだと」
「―・・・」
「(無反応!?)」
 予想外のことにユーノは慌てて他のことを言おうと言葉を探す。
「―・・・・・・ぷっ」
「ぇっ?」
 ちょっとだけうけたらしく、兵がクスッと笑う。
「あぁそうそう董天君は水虫だそうだ」
 その言葉を言うと、兵が訝しげに見る。
「綺麗好きのあの方がそんなはずはないが?」
 疑いの目で睨み、ユーノに詰め寄る。
「あー・・・それは勘違いみたいだ。支給された武器防具のどれかが粗悪品だとか・・・聞いたんだが」
「本当か?」
「―・・・本当っ、本当だ!」
「ふむ・・・後で調べてみるか」
 その嘘情報だけは流せたらしく、ユーノはほっと息をつく。
「で・・・嘘が飛び交っているので正しい情報を確認したい。水竜王の居場所と集めた魔力の保存場所を知りたい」
「嘘情報?どこでだ、どこでそんなことを聞いたんだ」
「うっ、それは・・・」
 いい案が浮かばない彼は、ニコが隠れている方を見るが、目を逸らされる。
「言えないのか・・・。本当にそんな情報が流れたのか?」
「―・・・あっ・・・あぁ、本当だとも」
「どうも怪しいな・・・」
「(ひぃっ、これ以上は無理ですニコさぁあん〜)」
 もうこれ以上話すことが出来ないと、ユーノはニコを抱えて全速力で地下5階へ逃げる。



「これだけの大きな施設、エレベーターがあってもおかしくないよな・・・」
 地下5階の廃材庫で休憩していた朝霧 垂(あさぎり・しづり)はドアを開け、施設内の者たちが使っている場所がないか探す。
「少なくとも、管理人が地上へ地下へと階段で移動するとは思えない」
「経費削減・・・とか、そんなオチないよね」
 ライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)が傍らでボソリと言う。
「まさかそんな。あいつらが費用をケチるわけが・・・」
「でも、こんな大掛かりなことしたら。どこからそんなお金を調達するんでしょう?」
 口元に片手を当て、夜霧 朔(よぎり・さく)が考え込む。
「たしかにな・・・。ゴースト兵に作らせるにしても、他のことで費用がかかっているならそうか・・・」
「この辺には特に何も無いみたいですね」
 朔はトレジャーセンスで取り残しのアイテムがないか、周囲を調べてみるが何もない。
 念のため探してみたが、専用の移動設備はなかった。
 地道に下のフロアへ向かおうと地下6階へ降りる。
「階段の前に見張りの兵がいますね」
 朔は垂たちにしか聞こえない程度の小声で言う。
 兵に追われないよう姿を隠して通ろうと、ライゼが氷術と火術で霧を作る。
 3人はその中へ飛び込み、地下7階のベルトコンベアがある場所へ行こうと走る。
 大きな扉を開けるとベルトコンベアの上をダンボール箱が流れている。
「この先に階段があるのか?」
「どうやらそうみたいだ。レバーを操作するヤツと、進むヤツと息を合わせないと進めないみたいだな」
 先にたどりついてた陣が言う。
「もー、動いてるから面倒なんだよ!動きを止めちゃえ!!」
 ライゼはベルトコンベアに向かって雷術を放ち、ショートさせようとする。
「止まらないな・・・」
 傷1つなく動いている機械を見た垂が呟く。
「むーっ、どうやって進めばいいのこんなの・・・」
「やっぱり互いに息を合わせて進まないと無理みたいですね」
 頬膨らませるライゼへ顔を向け、朔は上手く進まないとこの先には行けそうないと言う。
「とはいっても、俺たちは3人だし。どうやって進むんだ?」
「息を合わせやすい者どうしで組んで、残りの1人はベルトコンベアの上を進む人が背負う・・・とかどうでしょう?」
「そうでもしないと無理なら、そうするしかないか」
 垂はどうしたらいいもんかとため息をついた。