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一角獣からの依頼

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一角獣からの依頼

リアクション

「いやぁ、石にされてたなんてなぁ。助かったぜ」
 石像にされた男性陣を代表して棗 絃弥(なつめ・げんや)が礼を言った。がゴミ埋め場に『隠した』からだろうか、少し腐った臭いがしたが、彼らには明かさなかった。
 男性陣を生身に戻し終えると、『ユニコーン』は森へ帰ると言った。角を求めて森に入った『乙女』たちは今はまだ治療を受けている。その中には妹が難病だと言った『乙女』も含まれているのだが、『ユニコーン』は妹の元へ向かうではなく森へ帰ると言った。
「人間を信じた訳ではない。故に特例などない」
「そんなっ」と言う夏菜の声に応えたのか、『ユニコーン』は、「妹を連れて会いに来い、と伝えるがいい。『会わずうちに』ではなく『会ってから』決めてやる」と答えてから飛び立った。
 もちろんパッフェルは、しつこい程に念を押して確認していた。事件解決の報酬『ユニコーンの縄張りでサバゲーをやっても怒らない』の確約を得た。後日決行される事だろう、その際には連絡するとパッフェルは皆に約束した。
「コイツ等は、とりあえず連行ね」
 腕を組んで朝倉 千歳(あさくら・ちとせ)が言った。捕らえたパラ実生は蒼空学園へ、そしてロイヤルガードへ連行する事とした。奴らから『乙女の石像』を高額で買っていたという『女』の情報を得るという目的もある。『石化薬』や『バイコーン』を手配した事から、今後も何か事件を起こす可能性は十分の考えられる。
 千歳はジャスティシアの誇りにかけて奴らの連行を無事に完了させる事を熱く心に誓った。



 イルミンスールの森の上空。『バイコーン』を追うナナ・ノルデン(なな・のるでん)は焦っていた。
 飼いユニコーンは全力で駆けている、それなのに、ちっとも距離が縮まらない。それどころか徐々に離されていくようだった。
「頑張って下さい」
 ユニコーンを激励したが、その差はやはり縮まらない。尾行がバレているのは明白だったが、ここで逃す訳にはいかなかった。しかし。
 前方に見えた巨大な雷雲に『バイコーン』が飛び込んだ。黒く稲光る雲の中に突入するのはさすがに危険だ。
 ナナはすぐに雲の上空へと昇らせたが、『バイコーン』の姿はない。横も下も回ってみたが、遂にその姿を見つけることは出来なかった。
ズィーベン、そっちはどうですか?」
「あんなに速く飛ばれたら無理だよ! こっちはただの馬なんだぞ!」
「………………逃げられました」
 ナナは悔しそうに雷雲を見つめた。稲光る雷光はまるで彼女をあざ笑っているかのようだった。



 森を一望できる高き地。木々に覆われた石の岬に『その女』は立っていた。身に纏いし黒き衣は、そよ風にゆらゆらと揺れていたが、『バイコーン』が降り立つと共にその動きを止めた。
「奴らが捕まる。計画は失敗だ」
 こう切り出して、『バイコーン』が状況を語った。聞いた女は一言を返した。
「なっ……そんなすぐに次の策など−−−」
 『バイコーンの口答え』を、女は首を回しただけで制した。 
 次なる狙いは同じく『乙女』か、はたまた『別の何か』であろうか。
 歪ませた口元を妖しく緩めて、『その女』は衣をなびかせて歩み去っていった。

担当マスターより

▼担当マスター

古戝 正規

▼マスターコメント

 
 お疲れ様です。古戝正規です。
 リアクションの提出が大幅に遅れましたことをお詫びいたします。
 大変申し訳ありませんでした。

 執筆を終えた感想としましては、今回寄せられたアクションはどれもとてもに魅力的だったという印象です。
 敵となる『パラ実生』はガイドには登場させないままに皆様と絡んで頂きましたが、いかがだったでしょうか。
 『俺が純潔な乙女を攫う!』というサンプルアクションに誰もノッて来なかった事が個人的には痛快愉快でした。
 
 兎にも角にも事件が無事に解決して(完結して)嬉しい限りです。
 パッフェルがサバゲーをする、という回も近日公開予定です。

 またの機会にお会いできることを心よりお待ちしております。