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新春ペットレース

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新春ペットレース

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
『一波乱も二波乱もあったようですが、いよいよ、ゴールが近づいて参りました』
 
98 フォルテシモ
95 ミヤルス
94 ちりめんじゃこ
92 クトゥグァ・イタクァ
90 新生ゆるゆるパイレーツ
86 セッキー
   納羽
85 ミーシャ
84 レイストリオ
83 小雪αβγ
79 旭
77 右介・左介
74 テオル
72 ダイヤ
70 むるん
69 ディエゴ
67 小ババ様
   コットン・ラビー
66 レイちゃん
65 ミィ
   影虎
63 うたまる
   村雨丸
62 パラミタペンギンズ
61 ネコ軍団
60 はやぶさ
57 白・雪
53 ローゼンクライネ
49 シルヴァーナ
47 ゲリ・フレキ
46 コト
45 垂うさ
44 ヨルムー
42 マカロン
 
 

08

 
 
『さあ、ゴール地点です。ただいまトップの選手が入ってきました。はたして、誰でしょう。
 フォルテシモ選手です。トップをキープしたまま、今、フォルテシモ選手がゴールしました。
 フォルテシモ選手優勝です。
 タッチの差で、ミヤルス選手が飛び込んできます。おめでとうございます、ミヤルス選手、第二位です。
 続いて、こちらも鼻の差で、クトゥグァ選手イタクァ選手が仲良くゴールしました。
 やや遅れて、セッキー選手が飛び込んできました。おしくも、セッキー選手入賞を逃してしまいました。
 続いて、新生ゆるゆるパイレーツ、ミーシャ選手がゴールです。
 ここまで、本当に僅差で次々にゴールしています。
 さあ、残る選手たちは……、ああ、なんということでしょう、ここまで来て納羽選手が、トランポリンを始めてしまいました!』
「あー……前もこんなことあったような。……ごめん、今回も自力でなんとかしてー!」
 もどかしげに曖浜瑠樹が叫んだ。
「なーう!」
 ぽよよーん。
「なーう!」
 ぽよよーん。
「はい、9.29点。すばらしいんだもん」
 さっと、ライゼ・エンブが数字の書いてある立て札をあげる。
 なんか、納羽も楽しそうだ。
「さあ、おいでおいでー、美味しい食べ物ですよー」
 月詠司が、石油肉や柏餅を両手で持ちあげて叫んだ。だが、レイストリオはガン無視である。面白いとは思うかもしれないが、食べたいとは思わないらしい。
「まあ、レイスに餌っていうのも無茶な話ですよね。それにしても、肝心のゲリとフレキはいったいどこにいるんでしょう」
 こりゃだめかなと、月詠司が自嘲した。
『レイストリオ、ここに来て真面目です。
 さあ、納羽選手が罠にかかっている隙に、レイストリオとちりめんじゃこが先にゴールできるのでしょうか。ただ、ちりめんじゃこは、ここに来て疲れが見えているのが気がかりです。おや、何か、ちりめんじゃこのスカイフィッシュたちがレイストリオにまとわりついています。まさか、やっとやる気になったレイストリオのやる気でも吸い取っているのでしょうか。
 やや遅れている旭選手もこの勢いでならまだ分かりません!』
 
    ★    ★    ★
 
「やったー! さあ、おねーちゃんを助けてあげて」
 一緒にゴールしてきたノーン・クリスタリアに言われて、フォルテシモがエリシア・ボックの縄をあっさりと引き千切る。
「さすがは、わたくしのフォルテシモですわ。さっそく、陽太に連絡ですわ!」
 小人さんの差し出す携帯をつかむと、エリシア・ボックはすぐさま影野陽太宛てにメールを打ち始めた。
 
    ★    ★    ★
 
「やったあ、生物部の面目躍如です」
 喜ぶ鷹野栗のロープを、ミヤルスがさっくりと噛み切った。
 ゆっくりともったいをつけて立ちあがった鷹野栗が、ぱっぱっと制服についた埃をこれ見よがしに払い落とす。
「ありがとうね、よくやりましたよ」
 耳の後ろを優しく掻いてあげながら、鷹野栗がミヤルスを褒めた。
「それでは、皆様、お先に失礼いたしますわ。ほほほほほ」
 余裕を持って、鷹野栗は人質エリアを立ち去った。
 
    ★    ★    ★
 
「はっはっはっ、お先に!」
 両肩にレースを終えたばかりでくたっとしたクトゥグァとイタクァを乗せて、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』が勝ち誇った。
「そんな、あたしのマカロンちゃんが負けるだなんて……」
 秋月葵が悔しがるが、今の状態では文字通り手も足も出ない。
「主には悪いが、我の優秀なるしもべが勝利じゃ」
 小ババ様にも勝てて、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』はこれ以上ないという上機嫌だった。