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リアクション
1-2
ゆーこ(YuriYuriYuko) on Twitter
プロフィール:女子高生やってる。テレビに出たこともあるよ。イモい奴のフォローお断り
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むくり
バイトはじめたなう
店長うぜー
@eiichi_hagi とんだ変態だな
おはよ
昨日はおつありでした
今日もバイト開始
ゴリラ来店なう。ここは動物園じゃねえよイモが
頭に門松のせてる女来店なう
今度は鎧武者来店なう
鎧武者が女の卓に乱入しようとしてる。カラオケでいるよね、こういうウザイ奴
職務放棄してツイッターしてる不良バイト八ッ橋 優子(やつはし・ゆうこ)の前を仮装行列が横切った。
先頭を往くのは鎧武者……『鍋将軍』。横で桜吹雪を散らしてるのが配下の『鍋奉行』。
空京を騒がせる恐ろしくウザイ武闘派美食集団のご来店である。
「ひかえおろうひかえおろう。頭が高いぞ、平民ども。ここにおわすおかたをどなたと心得る!」
「美食連盟『鍋の会』第十七代当主、鍋将軍にあらせられるぞ!」
座敷にやってきた場違い集団をひと目見て、アゲハは指をさして笑い始めた。
「なにこいつら、マジウケるんですけどー!」
「鍋将軍とかまじで将軍の格好してるし、マジウケるー! だっせー! おっさん歳いくつだよー!」
美白ギャルの葛葉 明(くずのは・めい)にもお腹を抱えてゲラゲラ笑われる始末。
「鎧武者とか! 新年会だからって張り切りすぎじゃねー?」
「そのマゲとかマジでゆってんの? ヤバくない? 超無駄に気合い入ってるし!」
「あ、そうだ。写メっとこうよ、明」
「それマジ正解」
カシャカシャと写メ音がこだまする最中、将軍たちは小さく震えていた。
「ば、馬鹿にしおって……いいか! 我らが来たからには生温い鍋など許さん。近頃の連中は鍋を遊びかなにかと勘違いしていて腹立たしい限り。鍋とは宇宙、言わば神の領域。軟弱な貴様らに我らが真の鍋と言うものをおしえてやる」
「え、なんかうぜー」
「黙れ! とにかくその鍋は我らが調理する、下民は触れるでない!」
そう言ってテーブルに自ら持参した食材を並べていく。
豚肉に地鶏で作った肉団子、白菜としいたけとねぎ、豆腐にしらたき、あと海老とか鱈とか。
どれも値の張りそうな厳選された食材だ。
「貴様らのような下民は見たこともないだろう。ほれ、特にこの豆腐。老舗の職人の作った一級品だぞ」
そう言って、ざるに乗った豆腐を見せびらす。
その瞬間、ドパドパドパと得体の知れない物体をカレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)が鍋に入れた。
「ほわー! な、な、なにを入れておる!」
「なにって『パラミタオオスッポン』だよ?」
「え……、あの高級食材のか!?」
「そうそう。鍋はスープが大事だから。これなら具がしょぼくても変でも鍋将軍にいじられても美味しくなるもんね」
「なるほど……って、いじくるとはなんだ、いじくるとは!」
「怒らないでよ。ほら、良い香りがしてきたよ。天にも昇る良い匂いだよー」
「うーむ、たしかに美味そうな……カレーの匂いが……って、カレー!?」
気づいた時には既に遅し。
ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)がカレー粉を鍋にじゃばじゃば注ぎ込んでいた。
とは言え、彼女はローザにあってローザにあらず。奈落人マガダ・バルドゥ(まがだ・ばるどぅ)が憑依している状態なのだ。髪は波打つ白銀となり目はヴァイオレットと金のオッドアイに変化、それだけならまだローザの原型はあったろうが、ちぎのたくらみと超感覚を使ってるため、10歳前後の外見の幼い九尾の狐っ子となってしまっている。
「くふふ。カレーこそ至高の味。カレーこそ真理デス……」
JJの膝に乗って、鍋をおたまでぐーるぐるかき混ぜる。
「小娘、なんでカレー粉を入れた!」
マガダはきょとんとして将軍を見つめ、答えた。
「カレー鍋にせよとのインドラ神とヴィシュヌ神のお告げがあったのデス」
「そう言う問題じゃなーい! だって今スッポン入れたでしょ? ちゃんと見てたよねぇ、貴様?」
「見てマシタヨ?」
「じゃあ、わかるじゃん。どう考えてもカレー入れる流れじゃないじゃん。ほらもう、カレーの匂いしかしないじゃん」
「こわーい」
JJに抱きつくと、彼はよしよしと頭を撫でた。
「小さい子のしたことですから……」
「そうやって甘やかすから今の子はゆとりとか言われちゃうんだろーがぃ! 厳しくしろ厳しくぅ!」
「と、殿……殿中でござる! 落ち着いてくだされぃ!」
「そうでござる。まだたかだかスープ……、具材の力でまだ挽回することもできましょうぞ!」
奉行に説得され、ふーふーと鼻息の荒かった将軍も平静を取り戻した。
「そ、そうであったな。まだ我らの持ち込んだ高級食材がある。これらのポテンシャルがあれば……」
とか言うてる間に長原 淳二(ながはら・じゅんじ)が動いた。
「あ、俺食材持ってきたぜ」
そう言って取り出したのはコンビニの袋、おにぎりを取り出しひょいひょい鍋に放り込んだ。
「ゆばばばばば……、オイー!! なんなの貴様、なんでいきなり雑炊なの!?」
「え……、だめ?」
「だめー! 絶対だめー!!」
「ツナだけど、だめ?」
「よりダメに決まってんだろうが! いいか小僧、雑炊ってのはなぁ、肉とか魚とか野菜とかで鍋を楽しんだあとのダシで作るから美味しいわけ。それなのになにしてんの? 今入れてもなんもないよ、カレーの味しかしないよ?」
「それ、センター街の入り口のとこのコンビニのやつ?」
流れ無視でアゲハが話しかけた。
「あたしもあそこすすげーよく行く」
「ほんとに? 俺もけっこう使ってるぜ。深夜に行って雑誌立ち読みしたりとか」
「あるあるー。でもあそこ、深夜のバイト超やる気なくない?」
「わかるー、俺行ったときもずっとカウンターで漫画読んでてさぁー」
「ごめん、聞いて! お願いだから将軍の話も聞いて! 良いことも言ってるよ!」
必死の説得をする将軍だがこっちもこっちでならず者なので辛い。
そうこうしてる間に、鍋にさらなる魔の手が……。
「ほい!」
多比良 幽那(たひら・ゆうな)がなんだかヤバそうなものを鍋にブチ込んだ。
「ちょっと待って、小娘! 今なに入れた? 鍋になに入れた? 将軍見てたよ、しっかり見てたよ!」
「なにって……、マンドレイクよ!」
「マ……なに、え……?」
「魔法植物として有名なマンドレイクだけれど、スッポンみたいに精力が付くだろうから鍋には合いそうよね」
「いやいや……いやいやいや! じゃあスッポンにしようよねぇ!?」
「だって……これ闇鍋でしょ? インパクトのあるやつ持ってたほうが場が盛り上がるかなって」
ちらりと見ると、アゲハは首を振った。
「え、言ってないし。メールの書き方がまずかった? ごめんごめん」
「ごめんで済むか!」
「もうなによ。見た目が最悪だからってケチ付けて。食べてからいいなさいよ」
「食えるか!」
「本当ならこんなことに私の可愛い子供達を使いたくなかったんだから……ごめんねマルキアちゃん」
そう言って、マルキアちゃん(マンドレイク)を箸で底のほうに沈める。
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