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とりかえばや男の娘

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とりかえばや男の娘

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「来た!」
 十兵衛は怪我をしていない方の手で、刀を構えた。そして、降り注ぐ手裏剣の雨を剣で薙ぎ払って行く。しかし、その肩に痛みがはしり……
「うっ……!」
 思わず、眉をしかめた。すると、
「そんな腕で、あんまり無理しちゃいけないぜ!」
 と、シオン・グラード(しおん・ぐらーど)が十兵衛の前に出て、女王の楯を手に歴戦の防御術で手裏剣の雨を巧みにかわしながら、さらに、その手にソウル・オブ・ジャッジを構えて応戦しようとした。
 しかし、2人で対峙するにはあまりにも忍びの数が多すぎる。
「卑怯なんだ! あんなに大勢で!」
 レン・カースロット(れん・かーすろっと)が頬を膨らます。
「でも、大丈夫なんだもん!」
 そういうと、レンは咒箒オルトロスにまたがって空高く飛び上がった。
 そして、空中で蒼弓ヴェイパートレイルで狙いを定め忍び達に狙いを定める。
「みててよ! この蒼弓ヴェイパートレイルの力は伊達じゃないんだから!」
 ヒュヒュ……ッ!
 レンの指先から、幾筋もの矢が放たれた。矢は、その奇跡に青空が広げながら忍び達に向かって行く。そして……、

「うぐ!」

「うあ!」

 矢にあたった忍び達は、毒に犯されて次々に倒れて行った。

「よーし、これで、少しは数が減ったぜ!」
 シオンはうなずくと、近づいてくる敵にむかい、ソウル・オブ・ジャッジでの光と闇の二連撃をお見舞いしてやった。

 忍びが悲鳴を上げてく売れ落ちて行く。

 そのころ、華佗 元化(かだ・げんか)は十兵衛の肩の痛みを和らげるべく応急処置を施していた。その、華佗の周囲でいきなり炎が燃えさかり始める。
「火事?」
 驚く華佗に十兵衛が言った。
「違う、これは幻術だ……」
「幻術ね。だったら……」
 華佗は目を閉じて心頭滅却した。すると、徐々に熱さが無くなっていく。そして、殺気看破で術を使っている忍びの位置を確認。どうやら、敵は術を唱えながら襲いかかってくるところのようだ。それに気付くと、華佗は
「俺は一応医者なのだがな……」
 とつぶやきながら振り返り、振り向き様に雷光の鬼気を纏ってチェインスマイトを繰り出した。忍び達が悲鳴を上げて吹き飛ばされて行く。



「ああ……、また血で血を洗う戦いが……」

 何度見ても馴れる事ができない……と、竜胆は思わず目を覆った。
 すると、

 ……目を塞いではならぬ

 誰かの声がした。

「誰……ですか?」
 
 竜胆は声のする方を見た。しかし、そこには誰もおらず、ただ、灰色の空が広がるばかりだ。

 再び、どこからか声が聞こえる。

 ……目を広げて見よ。お前が受け継ぐものの意味を……

「誰なのですか? 姿を見せて下さい」

 その時……

「危ない!」
 と、草薙 武尊(くさなぎ・たける)が体当たりして来た。
 その勢いで、竜胆は地面に倒れてしまう。
 その途端、前方で悲鳴があがった。見ると、忍びの一人が竹槍に串刺しになて苦しんでいる。

「やはり罠が……」
 武尊が額の汗を拭いつつ言った。
「大方、あの忍びは、味方の罠にかかってしまったのであろう……」
 武尊はトラッパーのスキルで敵の罠を察知したのである。
「ありがとうございます」
 竜胆は震えながら礼を言った。
「礼などいらないが、戦場を無防備にうろうろしない方がよいであろう」
「はい……」
 竜胆はうなずいた。しかし、あの声はなんだったんだろう?
 そこへ、忍びが襲いかかって来た。

「若君の偽物がいるぞ」
「捕らえよ」
 口々に叫んでいる。
 どうやら、竜胆を狙っているようだ。

 武尊は先制攻撃のスキルを展開して後の先を取り、忍び達に向かって碧血のカーマインを撃った。忍びは胸から血を噴き出して次から次に倒れる。
 さらに武尊は、走りながら、碧血のカーマインで敵の動きを牽制しつつダメージを与えて行った。
 そして、ころあいを見はかって、隠れ身で姿を隠す。

「どこだ?」
「どこに、消えた?」

 忍び達が辺りを窺う。

 しかし、武尊の姿は見えない。

「まあ、いい! それより、あの偽物を切り捨てろ」
 
 武尊を追うのをあきらめて竜胆に向かって行く忍び達。
 その忍び達に向かい、武尊は死角からブラインドナイブスを展開した。
 碧血のカーマインが普段の数倍の威力で火を噴き、忍び達を次々と倒して行く……。