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リアクション
「何が起こったの?」
「どうしてこうなった?」
疾風迅雷とグレイゴーストの両イコンにより黒焦げ大破した琴音ロボの残骸が回収されていくのを、持ち主のモモとギルティが見つめている。
一方、現実のツンデレーションの二人も再会していた。
「未散さん、お帰りなさい」
「にゃあ!」
「……未散さん?」
「にゃあにゃあ!!」
「……あの、大丈夫でしょうか?」
衿栖がボロボロになった小型飛空艇から降りてきた統とハルに尋ねる。
「頭は無事だ。未散は職務を果たそうとしているに過ぎない」
「ええ、未散くんは立派にアイドルをやっています。う……うっ……」
ハルが涙を袖で拭う。
「……」
「にゃあ!!」
何か吹っ切れたような未散を衿栖が見つめる。
以下の話は、『琴音ロボ大爆発事件』の現場にいた者達の証言を断片的に集めたものである。
「そうですね……あれは僕にとっても苦渋の決断でした」
・証言者1の凶司が重い口を開く。
「昆虫達は光に集まります。パレードの光はノーンさんとステキ大自然が説得したようですが、イコンの炎上の光は、それより強く……それを消灯させるためには……」
・証言者2は淳二。
「俺は、俺の出来ることをしたまでです……はい。地上の疾風迅雷にいた芽衣と合流し、ランチャーのボタンを押しました……あの状況では最善を尽くしたと思います」
・証言者3はななな。
「うん! アレはきつかったなぁ……え? 警備本部で誰か呼んでる? なななは大人気すぎよね!!」
・証言者4は和輝。
「俺とアニスはトドメとしてグレネードによる地上のイコンへの爆撃を行いました。上手く当たりましたが、爆薬の量が多かったのか、爆風が酷かったですね」
・証言者5は剛太郎。
「自分は上空より迫る虫たちに応戦していましたが、無線から急遽別の作戦に加わるよう指示が来たのであります。……確かに、射撃の合図をしたのは自分でありますが……」
・最後の証言者6はハル。
「ええ……小型飛空艇で降りた後、着弾直後の現場のレポをするため、未散くんと駈け出しました……最後のカンペは……うぅ……すいません、これ以上は……」
爆撃直後の映像には、レポーターをこなす未散の姿があった。
「うわっ……燃えてる! 熱ッ……え? 回ってるの? えー、皆さん、大変な事になりました。パレードの参加していたイコンが暴走し、大火事に‥…え?」
一瞬白い光に包まれ、大きく揺れる画面に、「未散くん、大丈夫!?」「着弾を確認しました! 目標は完全に沈黙であります!」「消火活動急いで! ほら、何やってんの!!」「きゃあああーー」という現場の混乱した声が聞こえる。
ブラックアウトした画面に、次に映ったのは、
「フゥー、危なかったぜ!!」
未散が汗を拭う姿。しかし、強烈な爆風でミニスカートが完全にめくれ上がっている。
「未散くん! 前! パンツが!!」
白猫コスプレのミニスカートから薄い青色の布切れが見える。
「え? …………あ゛ーーーーーッ!!」
「今だ!! カンペだ! ハル!!」
統の声で映像は途切れる。
「……最後のカンペて何です?」
衿栖がハルのカンペを捲る。
『泣きたい時は泣けばイイ。だたし「にゃあ」のみ!』
「……」
「にゃあ……」
未散の潤んだ瞳に、衿栖の胸が少しキュンとする。
「(ツン系のキャラには凹みイベントが重要だとさっきどなたかも叫んでましたし、これはこれで有りかもしれませんね……)」
この日、未散は終日鳴いて過ごす事になった。
その後、モモの琴音ロボは鎮火し、虫たちはステキ大自然に乗ったノーンに引き連れられて空へ飛び去っていった。
尚、炎上したモモとギルティの琴音ロボは、ハロウィンパレードの収益金の一部と参加者達の募金活動で、暫し後、ちょっと良いパーツを付けられて元通りに修復されたそうである。また、後続のイコンが引いていた山車も少し燃えたそうだが、それはこの後語る事にする。
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