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Blutvergeltung…導が示す末路

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Blutvergeltung…導が示す末路

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第7章 悪魔よりも悪魔らしく冷笑する者

 グレゴール・カフカ(ぐれごーる・かふか)は金光陣の中で、人質同然に掴まり、緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)に手足を踏みつけられている。
「妙ですね、誰も助けにこないなんて」
「(ぬぬぬ・・・。この私がなぜ貴様のような者にっ)」
 しかも、カッコいい男になぶられていることが余計に腹立たしい。
「(何より・・・貴様ら如き我が物顔で正義面した奴等に、私の・・・金光聖母の行動の邪魔をされるのが気に食わん!)」
「おや、何か不服そうな顔ですね?」
 カフカをぐりぐりと踏みながら冷徹な表情で見下ろす。
「私が・・・金光聖母の重荷になる訳にはいかないのだー!重荷になるくらいなら・・・死んだ方がマシだ!」
 遙遠に散々身体を蹴られ踏みつけられながらも、その痛みに耐えナラカの蜘蛛糸を振り回し、拘束から逃れようとする。
「今度騒いだら、永遠に黙らせますよ?」
 その死を覚悟してまで抵抗する彼の心まで踏みつけるかのように、ブリザードで糸をあっさりと吹き飛ばし、彼を壁際へ蹴り飛ばす。
「(ー・・・こ、この私が・・・また無様になぶられるだけだと!?)」
 愛する者すら守れなく、みっともなく散るだけなのかと絶望しそうになるが、それでも彼女がまだ生きてる限り、守るチャンスがきっとくるはず・・・と願う。
 ただでさえ顔のよい相手に痛めつけられ、不愉快な気分になるが、これも惚れた相手を守るためだと、ひとまず大人しくする。
「平和に過ごしている人たちの生活を脅かしたり、奪ったりするのは悪いことですからね」
 アルファの傍にいる紫月 睡蓮(しづき・すいれん)が、どこかに潜んでいる金光聖母たちに向かって、叱りつけるように言い放つ。
「私たちにお説教ですか・・・。生意気な小娘ですね・・・」
 鬱陶しそうにため息をついた金光聖母は、ぬぅ・・・・・・と天井の鏡の中から片手を出す。
「睡蓮さん、天井の方から邪悪な気配が!」
 魂を分けてくれた少女に害をなそうとする者の気配を、アルファがディテクトエビルで察知する。
「あっ、・・・逃げれてしまいました・・・」
 我は科す永劫の咎を放つ寸前、相手は手を引っ込めてしまった。
「正直な話ね、私は別にどんな研究をしても良いとは思ってるわ。でもね、他人を利用したり・・・ましてや犠牲にすることは絶対に許せない!」
 鏡を破壊しながら十六夜 泡(いざよい・うたかた)は隠れ潜む敵に向って怒りを向ける。
「・・・もうさ、皆殺しにしない?金光聖母様」
 その様子を横倉 右天(よこくら・うてん)は遠くで眺めながら、傍にいるアヤカシの女に言う。
「アルファって魔女もこいつらも殺してそれでいいじゃん。そもそもボクらの目的はアウラネルクじゃないの?」
「魔法学校から連れてきた魔女たちが何人も殺されてますし。すぐ使える者を確保しておいたほうが、研究の再開もしやすいですからね・・・。それと大切なものを2つも、目の前で奪ってさしあげれば、私たちに歯向かう者もいなくなるはずです・・・」
「えー、何度へこんでも懲りなさそうだけど?」
「もし逆らうなら、彼らの大切なものを1つずつ奪って壊してあげましょう」
 清楚な外見とは真逆に、冷ややかな眼差しで泡たちを見つめる。
「嘆き・・・怒り・・・絶望・・・。これらも不老不死として存在し続けられる糧になるわけですし」
「まぁいいや。戦いで傷つかないってツマライし。どれで遊んであげようかな」
 どの玩具で遊ぼうかと悩む子供のように、右天はこの中にいる者の姿を思い出しながら選ぶ。
「そうだ、無駄に正義感の強い、あのお兄さんにしようっと♪」
 足元に落ちている鏡の破片を拾い、無邪気な笑みを浮かべる。
 まずは紫月 唯斗(しづき・ゆいと)を狙おうと、ゆっくりと忍び寄る。
「(何か唱えようとしてるね。邪魔してあげようっと)」
「(むっ、何者かが唯斗を狙っている!金光税母か・・・それとも、そのアヤカシの協力者であろうか)」
 エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)はイナンナの加護で、パートナーに危険が迫っていることに気づき、術の妨げにならないよう辺りを警戒する。
「アルファ、おぬしも気づいているか?」
「―・・・えぇ。でも姿までは確認出来ませんわ・・・」
「(フフフ・・・楽しい殺戮ショーの始まりというこか!)」
 右天は唯斗の首元を目掛け、破片を投げつけるが・・・。
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)にアウィケンナの宝笏で弾きかれ、パリィインッと砕ける。
「隠れているつもりでも、手が丸見えよ?」
「なーんだ、バレてたんだね」
 ブラインドナイブスを仕掛けたが、ホークアイで見破られてしまったようだ。
「でも・・・。これは避けられるかな?」
 自分の幻影を作り出し、鏡の破片を撒き散らしてルカルカたちから離れる。
「なんてイヤなやつなのっ」
 金光聖母が操る金光陣の光線が、その破片に反射して襲いかかる。
 凶器と化した鏡の破片を夏侯 淵(かこう・えん)がカタクリズムで防ぎ、逃げていく右天に放つ。
「残念、ぜーぶんぶハズレだよ。あははは!」
「くっ、幻影か・・・!」
 逃がしてしまったかと、悔しげに舌打ちをする。



 金光聖母の元に戻った右天は、唯斗が何か唱えようとしていたと伝える。
「ビーム無差別乱射して、さっさと片付けちゃったほうがよさそうだね。金光聖母様に何かしようとしているみたいだし。やられるまにやっちゃおうよ」
「―・・・私が光の軌道を変えますので、ご安心ください・・・」
 術の発動に合わせます、とアルカ・アグニッシュ(あるか・あぐにっしゅ)も策を提供する。
「それにあいつら、鏡を壊しまくってるし。早く決断して、金光聖母様」
「もしアルファに当たっても、ドルイドにでも治させればいいしょうからね・・・」
 そう言い終わると金光聖母は無差別に光線を放つ。
「(これでは呪詛が唱えられないぞ)」
 唯斗は呪の言葉を中断し、襲いかかる光のレーザーをかわす。
「このような手段を使うとは・・・。何だか妙だと思いませんか、マスター」
 彼に装着しているプラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)が言う。
「たぶんだが、協力者の入れ知恵かもな。こっちの隙ばかり狙う連中にしては、大雑把すぎる攻撃だ」
「2人とも、わらわから離れるでないぞ」
 エクスは銅鏡でアルファと睡蓮を守りながら走る。
 その鏡のおかげで光線の威力が弱まっているが、やはり無傷でいられるほど甘い攻撃ではなく、ひりひりと肌が痛む。
「こっちは行き止まりのようだ・・・っ」
「あわわっ」
 クマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)は床に伏せ、鏡を反射する光線を避ける。
「壁や床、天井も真っ白だから、どれが通路か分かりづらいな。あっ、ここは通れるみたいだぜ」
 通れそうなところを見つけようと、エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)は手探りで探し、仲間に知らせる。
「俺とエースが先に行く。皆は後からついてきてくれ!」
 少しでも安全に進もうと御剣 紫音(みつるぎ・しおん)は彼の傍に行く。
「どこにいっても鏡はあるんだし、壊しながら進むしかないってことか」
「消させない、俺達のこの想い!立ち塞がる障害は取り除く!!」
 無効が無差別に撃つなら破壊してやろうと、紫音はブレード・オブ・リコで叩き砕く。
「随分と勇ましいボウヤですね」
「主様、止れっ。床にやつが潜んでいるのじゃ!」
 ディテクトエビルでアヤカシの女の気配を感じ、アルス・ノトリア(あるす・のとりあ)がそこへ天のいかずちを放つ。
「くっ、またどこかに隠れてしまったか」
 まったく手ごたえがなく、逃げ隠れしてばかりの卑怯な女に苛立ち、ぎゅっと拳を握り締める。
「アルス、まだ見つからないか」
「すまぬ主様、ミラーハウスのような場所では、神の目でも分からぬ・・・」
「やっぱり外へ引きずり出す必要があのか」
「いつまでも敵のエリアにいるのも得策ではない。隠れる場所さえなくしてしまえばよいのじゃが・・・」
 泡が自分たちと同じく、破壊し尽くしてくれれば戦況もよくなるはず。
 こちらは紫音に任せ、それまで耐えねば、と敵の攻撃をかわすのに専念する。