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オオカミさんにご用心

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オオカミさんにご用心
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 日が暮れた頃に旅館に到着したレオンハルト・ルーヴェンドルフ(れおんはると・るーべんどるふ)橘 ニーチェ(たちばな・にーちぇ)はすぐに部屋へと案内された。
 部屋へ到着するなりレオンハルトはイナンナの加護を使用し、周辺を警戒する。
 床の間の掛け軸、冷蔵庫、庭……色々なところを総チェック。
「用心深いんですねぇ」
 その様子をニーチェはにこにこと眺めていた。
「あ、そうだ、ちょっと露天風呂行ってきますね〜♪ レオンさんはどうします?」
「そうだな……俺は少し休息をとるとしよう」
「そうですか。じゃあ行ってきますね〜」
「ああ、ゆっくりしてくると良い」
 ニーチェは必要なものを持って、部屋の露天風呂に入りにいった。
 レオンハルトは鞄から本(『英国の歴史から学ぶ帝王学』)を取り出すと、縁側に座り、読み始めたのだった。


 しばらく経ち、ふと上を見上げると見事な満月が上っていた。
「たまにはこういうのも良いかもしれないな……」
 ふいに後ろからシャンプーの香りが漂ってきた。
「えへへ、らぶなのですよ?」
 膝立ちになった浴衣姿のニーチェが抱き付いてきたのだ。
 ニーチェはレオンハルトが何か言う前にその口をふさぐ。
「なんだ? 獣人と契約でもしたのか?」
 レオンハルトはニーチェのしっぽと耳に気が付き、質問したがニーチェは首を傾げるだけ。
「ふへへ、はむっ」
 ニーチェはしっぽをパタパタさせて、レオンハルトの耳を食んだ。
 そのまま口を下へずらし、首筋を舐める。
「ふふふ、ちゅっ」
 それでも、抵抗しないレオンハルトを見て頬へキス。
「仕方ないな」
「ふぇ?」
 レオンハルトはあぐらから立膝になり、後ろを振り向く。
 勢いそのままにニーチェの足を払うと、畳に押し倒した。
「ふにぃ〜〜!」
 じたばたとニーチェは抵抗するが、レオンハルトに覆いかぶさられ、動くことが出来ない。
「さて……悪い狼だな。どう調理してやろうか」
「ニーチェはいつだって狼さんですー!」
 耳がピーンとなるニーチェ。
 レオンハルトがニーチェの帯を解くと白い肌が浴衣から覗く。
 そのまま浴衣の中に手を入れ、脇腹を指の腹でなぞる。
「ひゃぅっ! いじわるです〜……」
 耳がぴこぴこしているのを見て、レオンハルトを耳に手を伸ばす。
「だ、ダメぇ……」
 びくりと体を震わせたのを見て、本物だと確信したレオンハルト。
「これはこれで愛らしい故、よしとしよう」
 レオンハルトは薄く笑うとニーチェを求めた。


 翌朝。
 布団の中で自分から仕掛けたことを思い出し赤面するニーチェの姿があった。