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   第五章

 太陽が沈んでいく。
 一日が終わる。
 事態の収束は朝方だったというのに、事後処理に結局、一日を潰してしまった。
「ふぅ……」
 人心地ついた気分で、秀幸は息をつく。
 夕日に照らされた滑走路。まだそこかしこに戦闘の爪痕が残っているが、近日中に修復されるだろう。
 ワクチンの複製は上手く行った。
 複製チームに参加したルカとダリルの頑張りもあり、昼過ぎにはほぼ全員分のアンプルが現場へ届けられた。
 ゾンビたちの拘束には苦労した。ワクチンを投与してしまうと再生力が元に戻るため、傷が癒えるまで縛りつけておくのにまた一苦労。
 拘束時にすでに傷の癒えていた未沙にはすでにワクチンが投与され、早くも破壊された飛空艇の修繕に取り掛かってくれている。
 一応、事件は解決だ。
「しかし……」
 秀幸の胸中にはまだ、懸念が残っている。
 結局、怪物化したテロリストは参加者全員での拘束に成功したものの、ワクチンの到着を待たずに死亡した。どうやらあの紫色の薬液は、強力な新薬だったらしい。
“ブラッディ・ディバイン”の活動に関する情報は得られず仕舞いだった。
 自分たちの認識以上に、敵勢力は危険な存在だ。
 このまま彼らの好きにさせるわけにはいかない。
 とはいえ、今の秀幸の立場では、できることは限られてしまう。
 それならば、
「上を、目指そう」
 誰にともなく呟いて、秀幸は決意を新たにした。
 すべてはそう――今回集ってくれた彼ら彼女らのような仲間を、己の手で撃つ日が来ることを避けるために。(了)


担当マスターより

▼担当マスター

七誌紗難

▼マスターコメント

 みなさまお疲れ様でした。
 改めてお久しぶりです。
 あるいは初めまして、GMの七誌紗難です。
 まだまだ新米ゆえ、相変わらず不安も多かったのですが、皆様のユニークなアクションのおかげで、今回も楽しんで書くことができました。
 リアクション中の秀幸同様、みなさまに支えられているなあと書きながら実感致しました。
 みなさまにも楽しんで頂けていることを切に願います。
 それではでは、またどこかでお会いできることを祈りつつ。
 ご参加ありがとうございました!