|
|
リアクション
ササササッ、と物陰に隠れながら移動する人影。
光学迷彩でその姿を隠したエルサーラ サイジャリーとペシェ・アルカウスだ。
「ふたりとも危ないからあまり先行しないで」
そんなふたりの後をエース・ラグランツがブラックコートで気配を消しながら続く。
「どうやら近くに敵はいないようですね」
隠形の術で姿を隠し、周囲の殺気を探っていたエオリア・リュケイオンが皆にそう告げる。
それを聞いて、エルサーラは言った。
「なら早く行きましょう。イルミン生のみんなが――いえ、お宝が私を呼んでるわ」
あくまでお宝狙いという建前を崩さないエルサーラ。
そんな彼女を見て苦笑いを浮かべながらも、エースが彼女の前に出た。
「わかったよ。でもエルサーラ様たちは後ろに下がっていてください。絶対に俺が守りますから」
「……フン、当たり前よ」
エースの言葉にエルサーラはそう答える。
彼女のそんなキツイ言葉にも笑顔を浮かべ、エースは皆を守りながら生徒たちを探してアジトの中を進んでいく。
「エース、敵がいます」
と、エオリアが敵の殺気に気づき、前を行くエースに告げた。
エースは足を止めて物陰から敵の姿を見やる。
「敵はひとりか……」
「ここは僕にまかせて!」
ぽふっと柔らかそうな胸を叩いて白モモンガ姿のペシェが言った。
彼は敵の注意を逸らす作戦があると言うと、エルサーラから携帯音楽プレイヤーを借りた。
そして小動物らしい素早い動きで別の通路へ駆け込むと、そこに携帯音楽プレイヤーを仕掛けた。
ペシェはプレイヤーの再生ボタンをぽちっと押す。
無音再生をしている間にペシェが素早くエルサーラたちの元に戻ると、音楽が再生されて流れ始める。
その音に気づいた敵は、恐る恐る近づいてきた。
「――よし、今だ!」
エースはタイミングを見計らって物陰から飛び出す。
突然現れたエースに成す術もなく、敵は一撃を食らって地面へと倒れ込む。
「殺す気はない。だから抵抗するなよ」
飛竜の槍を敵に突きつけ、そういうエース。
敵は観念したのか武器を置いて、両手を上げた。
その敵は白衣の男に雇われた傭兵らしく、生徒の居場所についての情報を問うとすぐに答えた。
「どうもありがとう」
エースがそう言った。
すると死角からぬっと現れたエオリアが敵の首筋を一撃して相手を眠りにつかせた。
エースは篭手型HCを使って、他の仲間たちに生徒たちが捕らわれている場所を教える。
「さて、急ぎましょうか」
通信を終えたエースはそう言うと、エルサーラたちを守りながら再び先へと向かって歩きだした。