リアクション
エピローグ
「なるほどぉ〜」
ここはイルミンスールの魔法学校校長室。
威厳のある椅子に腰掛けているエリザベート・ワルプルギスは神代明日香の纏めた今回の事件に関するレポートに目を通しながらつぶやいた。
「エリザベートちゃん、今回の事件のことをどう思いますか? 敵の首謀者は鏖殺寺院ではなかったみたいなんですけどぉ……」
と、事件の詳細をこの目で見て、レポートを纏めた明日香は言った。
彼女は危険な術を使ってN‐1のような怪物を生み出していた白衣の男たちのことが少し気になっていた。
「ここに書いてある”ウィアード・ファウンデーション”という名前の組織のことですか? 私はあんまり興味ないですぅ」
エリザベートはレポート用紙に視線を落としてそう言う。
――”ウィアード・ファウンデーション”
それは、涼介・フォレストが内部を調べていた時に見つけた資料の中に記載されていた謎の組織の名前だった。
名前以外は重要な資料は見つからなかったので詳細はよくわからなかったが、どうやら白衣の男はその組織に所属して研究を行なっていたようだ。
鏖殺寺院ではないようだが、アジトを守っていた中にその信徒の姿があったということは何か繋がりがあるのかもしれない。
それに南部豊和が目撃した”M”と呼ばれる女。
彼女も白衣の男と知り合いだったことから、同じ組織に属しているのかもしれないだろう。
ちなみに、契約者たちが倒したN‐1は自然と灰になってしまい、遺体は残らなかった。
禁忌を破ったモノは、生きた証を残すこともできないということなのだろうか……。
「そうですかぁ」
と、明日香はそうつぶやいて口を噤んだ。
エリザーベトが興味がないと言ったので、明日香もそれ以上何かを言うのはやめたのだ。
彼女はエリザベートのメイドである。出過ぎたことはあまりしない。
――コンコン。
と、誰かが校長室のドアを叩いた。
「エリザベート校長、準備ができたよ」
校長室のドアをあけて現れたのはアゾート・ワルプルギスだ。
彼女はエリザベートに言われてパーティの用意をしていたが、それが終わったので報告にきたのだった。
「そうですかぁ。じゃあ、いまから行くですぅ〜」
エリザベートはそう答えると、レポートを机の上に放り投げる。
そして椅子から飛び降り、今回活躍してくれた契約者たちを集めて行われるパーティ会場に向かって校長室を後にした
そんなエリザベートの後に続き、明日香も校長室を出ていく。
バタンと扉が締まった。
そして誰もいなくなった校長室の机の上で、レポート用紙は静かに佇むのであった。
〈イルミンスールの怪物・了〉
最後まで読んでくださりありがとうございます。マスターの斉藤言成です。
今回は「イルミンスールの怪物」にご参加いただきありがとうございました。
少し長いお話なので読むのは大変だったとは思いますが、少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。
最後に、今回シナリオ中に登場しましたMやウィアード・ファウンデーションについてですが、それらは元々登場させる予定でした。
そして皆さんのアクションの結果、今回はこのような登場の仕方とさせていただきました。
今後も本シナリオに出てきたウィアードファウンデーションの関わるシナリオを書いていきたいと思っていますので、その際は再びお力を貸していただければと思います。
それではまた、皆さんにお会いできる時を楽しみにしております。
■追記
公開が少し遅れてしまいましたことを、お詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。