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リアクション
「うわぁ……強そうだなぁ――」
N‐1の迫力に気圧されて、相田 なぶら(あいだ・なぶら)がつぶやく。
「なぶら、なにを弱気なことを言っているのですか!」
と、彼のパートナーフィアナ・コルト(ふぃあな・こると)がびしっと言った。
その言葉を聞いたならぶは、ぼさぼさの髪に手を置いて苦笑いを浮かべる。
「そうだね。みんなもいるしなんとかなるよね」
「その通りです。皆で力を合わせれば、きっと成し遂げられます」
「よし、じゃあ俺たちも行こうか。サポートは任せてくれ」
「はい、任せました」
ふたりは話を終えると、武器を手にしてN‐1へと戦いを挑んでいく。
「”出来損ない”か……」
そう言って目を細めるのはエッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)。
暴れるN‐1から放たれる混沌の気配を彼は敏感に感じ取っていた。
「主公……」
と、そんなエッツェルに瘴気を放つ魔鎧ネームレス・ミスト(ねーむれす・みすと)が声をかけた。
彼女は主人であるエッツェルをじっと見つめ、次の言葉を静かに待つ。
そんなミストに向かって主人は命令を下した。
「来なさい、ミスト」
「全ては……主公の……望むままに……」
主人の命にかしずいて答えたミストは、人型から本来の姿へと変じた。
瘴気を放つ呪われし魔鎧となった彼女は、エッツェルの体を覆っていく。
そして呪鎧を纏った形になったエッツェルは、自然と疼く左腕――異形腕「銀の鍵」を抑えながらつぶやいた。
「わかっていますよ――アレは私が”処分”します」
そしてエッツェルは行動を開始する。
「よし、あたしも頑張るよ」
緋王 輝夜(ひおう・かぐや)はそう言うと、エッツェルの後に続いて駆け出した。
「俺は地上で奴の注意を引きつける。ティーは上空からの攻撃を頼んだ」
源鉄心はそう言いながら武器を構える。
「わかりました」
ティー・ティー(てぃー・てぃー)はうなずいてそう答え、ヴァルキリーが持つ光の翼を羽ばたかせてると空へ舞い上がる。
「鉄心、わたくしはどうすればいいんですの?」
イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)は小首をかしげて鉄心にそう聞いた。
「そうだな……イコナは危ないからレガートに乗って後ろに下がっているんだ」
「でも、わたくしも何かお役に立ちたいんですの」
「ありがとう、イコナ。その気持ちだけで十分だ」
鉄心はそう言って笑みを浮かべる。
そんな顔をされてしまってはイコナは言い返せない。
彼女は仕方なく鉄心の指示に従って、レガートというペガサスの名前を呼んだ。
「――よいよ出番か!」
すると空を飛んで、広島弁風の口調でしゃべる夜の闇に溶けるような体毛をしたぺガサスが現れる。
レガートは森に入る前に待機していたが、自分を呼ぶイコナの声を聞きつけてここまで翔けてきたのだった。
イコナはそんなレガートの背に乗る。
「レガート、イコナを頼んだぞ」
「まかせんしゃい!」
フンフンと鼻息を荒くしながら鉄心にそう言うと、レガートはイコナを乗せて空へと舞い上がっていく。
それを見送り、鉄心はN‐1へと向き直る。
「さて、行くか」
手にしている魔導銃に魔力を込め、鉄心は地を蹴った。