リアクション
序章 道中 助けを求めた蒼空学園の生徒である山田 治郎(やまだ じろう)は修羅場の様子を目の当たりにして恐怖していた。 そんな、山田に興味のある生徒がいた。 大洞 剛太郎(おおほら・ごうたろう)の命令により護衛を行うこととなったソフィア・クレメント(そふぃあ・くれめんと)もその一人だ。 ソフィアはパートナーたちに修羅場を起こさせるほどイケているのか山田をチェックにやってきた。 「ソフィアと言いますの。山田さん、よろしくですわ」 値踏みするように山田を見るソフィア。 あくまでもソフィアの独断と偏見だが――。 「次第点、と云ったところですわ」 確かにイケメンではあるものの絶世というものではなかったようだ。 「やっほー。私はミネッティ。貴方が山田さん?」 そんなソフィアのイケメンチェックが終わった所にミネッティ・パーウェイス(みねってぃ・ぱーうぇいす)がやってきた。 「あ。ども」 ソフィアとの対応中にじっくりと見ていたミネッティに気づかず返事をする山田。 (中々いいじゃん、きっと夜のテクもすごいんだろうなぁ) と、今回の騒動はそういった事が原因なのだろうなと思うミネッティだった。 (あたしが頂いて他の3人があきらめるくらいラブになれば事件も解決して一石二鳥なんじゃない!? あたし頭いい! ) 「今回はよろしくね」 そんなことを考えながらも山田に挨拶しつつ、後ろ手でガッツポーズしならが気合を入れるミネッティだった。 ミネッティの挨拶が済むと白砂 司(しらすな・つかさ)とパートーナーのサクラコ・カーディ(さくらこ・かーでぃ) がやってきた。 「初めまして、白砂司だ。護衛を担当する事になった」 「パートーナーのサクラコです。同じく、護衛を担当します」 どうやら、二人は山田の護衛を行うようだ。 「山田――パートナー――いや、『契約』は命同士が繋がりあって強くなるだけの単なる現象に過ぎない」 「えっと、契約って始まりだと思うんですよね」 白砂が語り、サクラコがそれを補う。 「えぇ……」 それを神妙に聞く山田。 「確かにお互いのことが大切に思えたり、繋がっている感覚を得ることはできるが、だからといって人間同士の心や礼儀の距離とは関係がない」 「ええと、契約したらお互いの繋がりってわかると思うんですが、それと互いの距離は違うかなって」 更に続ける白砂とサクラコ。 「真に『パートナー』であるためには、そこから互いのことを理解し、足りないところを補い合ってはじめてなるものだと、俺は思う」 「契約は始まりに過ぎなくて、どう付き合っていくのかが大切じゃないのかって思います」 二人は「パートナー」としての「契約」は始まりに過ぎないことを山田に言っているのだ。 「はい……」 二人の話に思うことがあったのだろう、山田は反省するような素振りで話を聞き、頷いた。 そんな山田の側で護衛をしているのは大洞だ。 「まだ先は長く、何時かこの事が笑い話になることがあると思うのであります」 怯え、気落ちしいている山田に大洞は声をかけ、励ます大洞。 「ですよね……」 少しは――山田も元気が出たようだった。 そんなやり取りを終え、白砂。サクラコと大洞は山田の回りで護衛をして敵の警戒を行なっていた。 「はじめましてです。山田さん。そんなお顔をなさっていたら折角のいい男が台無しですわ」 山田の隣に人がいないことを確認しチャンスとばかりに近づいてきたのは藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)だった。 「え、あ、はい。初めまして」 藤原の特技の誘惑の為、ちょっと戸惑いながら答える山田。 「お気持ちを整理してみませんか」 藤原は山田にそっと近づき――優しく、そして妖しい声で山田の耳元で囁く。 「えっと――」 そんな藤原の囁きに顔を赤らめつつ喋りだす山田。 誘惑された山田の右腕に自然に抱きつき話を聞く藤原。 きっとこんな姿を三人が見れば激昂する事は間違いないだろう。 |
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