イルミンスール魔法学校

リアクション

第四章　ケージマッチ

『間もなく始まろうとしているケージマッチ！　金網戦！　今リングの上空には金網製の壁が出番が来るのを待っています！　この試合の実況はルカルカ・ルー（るかるか・るー）がお届けよ！』
『同じく実況を担当するヴィゼント・ショートホーン（びぜんと・しょーとほーん）！　解説も兼ねてやらせてもらうぜ！』
『ダリル・ガイザック（だりる・がいざっく）だ。本来の担当は救護であるが、待機しているだけなのも何なのでこちらに混ぜてもらった』
『というわけでダリルの救護もあるから選手たちは安心して死んでいってね！　間もなく選手の入場が開始されるわよ！』

　リング上に、レフェリーユニフォームを着たリリィ・ルーデル（りりぃ・るーでる）が立ち、無線マイクを軽く叩いてテストする。
『試合が始まる前に、一言言わせてほしい』
　会場内にスピーカーを通した機械音が響くと、騒然としていた場内が静まり返った。

『……プロレスは最強である……プロレスラーは最強でなければならない……
　しかし、今、世界最強は、シャンバラでモンスターを捩じ伏せ、ニルヴァーナの未開地で未確認生命体を投げ飛ばし、ティル・ナ・ノーグで超勇者として召喚されているかも知れない。
　しかし、プロレスラーは最強でなければならない。世界最強と戦うことになっても臆してはならない。
　だから我々は、いつ何時、誰の挑戦も受ける覚悟で練習に取り組まなければならない！
　……今日、ここでこれから行われる金網戦。過酷な試合。無事では済まないかもしれない。だが！　そんな試合でも臆せず逃げず、自分から挑んできたレスラー達が集まった！
　命知らずのレスラー達、でてこいやぁー！』

　歓声と共に、入場ゲートの幕が開いた。

『今回参戦する選手達の紹介！　まず入場してきたのはラルク・アントゥルース（らるく・あんとぅるーす）！　セコンドガイ・アントゥルース（がい・あんとぅるーす）と一緒に登場よ！』
『今回のラルクはパンツ一丁だ！　こいつは色んな意味で怖いぞ！　さて続いて……またもやパンツ！　パンツの模様のマスクを被って入場だ！　謎の覆面レスラースーパーパンツマシン１号、セコンドに猫井　又吉（ねこい・またきち）を引き連れ入場ッ！』
『又吉はこのパンツマシンを謎のパンツパワーで操るらしいわね！　何もかも謎に包まれたパンツマシンはその正体が国頭　武尊（くにがみ・たける）と噂されているけど、その真相は如何に！？』
『ドンドン続いていくぜ！　続いての入場者はアレックス・キャッツアイ（あれっくす・きゃっつあい）！　サンドラ・キャッツアイ（さんどら・きゃっつあい）を伴って半べそで入場！』
『……あれはヴィゼントの身内だろう？　何故半べそなのだ？』
『ああ、そこは正直自分にもよく解らないんだよな……』
『はいそこ私語は慎む！　テンポ良くいっちゃうよ！　今宵リングにセネシャルが華麗に参上！　椎名　真（しいな・まこと）の入場！』
『その幼い顔立ちに騙されるなよ！　こう見えても足技は一級品だ！　さて、続いて鷹村　真一郎（たかむら・しんいちろう）入場！　こいつは――』
『私の旦那様！　以上！』
『その紹介はないだろルカ……鷹村氏は空手をベースとした格闘術が戦闘スタイルだ。これをどうリングで見せてくれるかに注目だろうな』
『それは楽しみだな！　解説ありがとうダリル！　続いては金網でルチャの真髄を見せるべく翼の生えたジャガーが来てくれた！　勇敢なる翼、ジャガーマスク（ラルフ　モートン（らるふ・もーとん））の入場！』
『ジャガーの次はキャットが登場！　今日の爪は血に飢えているわ！　レティッツキャッツ、レティシア・ブルーウォーター（れてぃしあ・ぶるーうぉーたー）がミスティ・シューティス（みすてぃ・しゅーてぃす）を連れて入場よ！』
『お次は『サバンナの黒豹』と呼ばれるレスラーの衣装で入場！　破し屋はリングで何を壊す！？　『壊し屋セレン』ことセレンフィリティ・シャーレット（せれんふぃりてぃ・しゃーれっと）、セレアナ・ミアキス（せれあな・みあきす）と入場だ！』
『続いて表れたのはさらしに褌、袴の袖のみと何とも奇抜な衣装！　貴女一応女性でしょ！？　楮　梓紗（かみたに・あずさ）ぁーッ！』
『さぁ続いては【プロレスリングシャンバラ維新軍】よりこの人が来てくれた！　今日はリングで『いっかすぅ〜！』の掛け声が聞けるのか！？　サムライ魂、屋良　黎明華（やら・れめか）がジュリ扇を振りながら入場！』
『お次はリングに鬼がやってきた！　赤肌の鬼娘の戦いを目に焼き付けろ！　鬼道　真姫（きどう・まき）、次百　姫星（つぐもも・きらら）を連れて入場ッ！』
『最後に放浪の旅人神崎　荒神（かんざき・こうじん）がリングに来てくれた！　覆面セコンドアルベール・ハールマン（あるべーる・はーるまん）を連れて入場！』
『以上、総勢１２名の選手がこの金網の檻で戦うのよね！』
『わかっているとは思うが、ここでルール説明をさせてもらう！　この金網から脱出できたら勝ち！　最後まで残っていた１人が負けというシンプルなルール！　ロープブレイクはあるが、凶器の使用は構わない！』
『だからといって金網ぶち壊すだなんて無粋な事はＮＧよ！』
『ここでグダグダ言っても始まらない！　さっさと試合を始めようぜボンバー！』
　ヴィゼントが叫ぶと、リング上のリリィが叫ぶ。
「ファイッ！」
　そして、ゴングが鳴り響いた。