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リアクション
「もぐもぐ……んぐっ?」
疑問符を浮かべてミートスパゲッティー(大盛り)を食べているベリアルが現れた。
「なになに? いきなりなに?」
困惑するベリアル及び武装兵たちに構わず、綾瀬が命令する。
「ベリアル。あなたが持っている【キケンブツ】をその者たちに見せてあげなさい」
「え? 良いの? じゃあちょっと待って……」
大急ぎでスパゲッティーを掻き込み食べ終えると、ベリアルは懐にしまっている何かを取り出そうとする。
「何がでるかな〜? 何が出るかな〜? 何が出るかはおたのしみっ!」
鼻歌交じりに、「ほいっ!」とそれをWLOメンバーに向かって投げた。
「お〜! 大当たりだ!! そいつ飛びきりのキケンブツ【反応弾】だぜっ!」
と言うなのタダの音響弾【リボルバーボム】だ。全員が防御体制を取る。
だが、統括たるルイスだけは違った。肩で耳をふさぎ、口を開いて、飛んでくる【リボルバー】に向かって三点バーストを放つ。付近に爆弾が落ちる前に、空中で音響弾を破裂させた。
彼は爆弾が投げられた瞬時に、ベリアルの耳を塞ぐ動作と爆弾の形状を判断し、投げられたのが非破壊性の音響弾と判別したのだ。
ルイスはベリアルに近づき、胸ぐらを掴み上げる。
「冗〜談冗談!」
弁解するベリアルを突き飛ばし警告する。
「冗談で済むか、本物ならお前も乗客全員死んでいる」
ルイスの言うのも最もだ。一気に空気がピリピリし始める。
最中、WLOの中にいる武装兵でないものが、武器を構え応戦体制を取ろうとするのを見る。辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)、ファンドラ・ヴァンデス(ふぁんどら・う゛ぁんです)の二人だ。裾から暗器を取り出そうとしたところで、ルイスに待機をハンドサインで指示される。
空気感が悪くなったなか、綾瀬が平然と言う。
「と、まあ、このように。あなたがたの言う【キケンブツ】が何か分かりませんの? 良かったらそれが何か詳しく教えていただけませんか? それほどの武装を伴わないといけないようなものなら、私たちも心配せざるおえませんわ」
協力を持ちかける。悪い話ではないはずだ。
「協力はありがたい。だが」
ルイスは言う。
「それが何であるかは明かせない。仮にそれを教えれば、混乱を招くことになる。君たちは不審な物を見つけ次第、俺たちに教えてくれればそれでいい。あれは誰の手にも渡すわけにも行かない。ましてや、地球にもたらしてはならないものだ」
【危険物】が何かは明かせない。情報の開示もできないとくると。さすがに怪しくはある。だが、
「しかし、直ちに何らかの影響や被害がでるものではないので、安心しろ。それだけは保証する」
つまるところ、危険という言葉が示すところが違うのだろう。それ自体に破壊的な性能はないが、何らかの混乱を引き起こす要因になる危険性をはらむ物ということか。
「じゃあせめて、形状とかなんかわからないのか? ヒントもないと探しようがねぇじゃん」
ベリアルの意見はもっともだ。それくらいはいいだろうとルイスが答える。
「おそらくだが、金属製の箱に入っているだろう。それがケースなのかもしれないし、小さな打ちっぱなし箱かも知れない。だが、その箱は見た目以上に重いだろうな」
見た目以上に重そうな金属の箱に入った何か。それが【危険物】
夜月 鴉(やづき・からす)はゴタゴタの間に、1号車から抜けだした。
鴉はWLOが一般人には手をだしてないことを見るに、自分たちの標的とは関係ないと踏んだからだ。
「放っておいても大丈夫だろう。あの輩は無差別というわけじゃないようですし。それよりも殺人鬼です」
明智 光秀(あけち・みつひで)も同じ意見だった。
彼らの目的は唯一つ。殺人鬼トレインジャックの始末だ。
彼らは、前回のトレインジャック被害者の遺族に頼まれて、トレインジャックへの復讐の代役を担うことになった。殺人鬼を殺人する、これが今回の仕事だ。
鴉が御剣 渚(みつるぎ・なぎさ)に訊く。
「間違い無く乗ってるんだろうな?」
「条件からすれば、たしかだよ」
トレインジャックの現れる条件――
その車両が新台であること。
一度現れた車両では犯行を起こさない。
その条件で彼が現れる可能性が最もある列車はこのCf205――
「位置がわかったらすぐに移動するぞ」
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