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8.《精神感応》ネットワーク
――、一般車両2号車


「だからパラミタは危険だから地球に帰ろうってお姉ちゃん言ったんですのよ!?」
「今はそんなこと言っている状況じゃないよ!」
 状況が切迫しているというのに、口論が止まないカシスとフィサリスだった。
「とにかく、今は状況を把握しないと!」
 後方から微かに聞こえた銃声。前方車両では武装集団。先ほど大きな破裂音も聞こえた。前に行くのも後ろに行くのも危険な気がする。何が何だか、何が起きているのかわからない。
 と、二人の頭に声が響く。

アリサ:《精神感応》《テレパシー》を持つ皆さんの意識を統合させて頂きます
カシス:なんですのー!?
蛇々:わわー!? こえがこえがぁ!?
月琥:なによなによこれ!
アール:……

 状況が混乱する中、情報を統合するべく、アリサは《精神感応》能力を発揮させた。
 アリサの強化人間としての能力は《精神感応》しかない。しかし、通常は1対1の知人同士でしかやり取りできないが、彼女は違う。彼女は複数の人間と同時に《精神感応》でのやり取りが出来き、知らないもの同士も結びつけることができる。
 この能力を利用した研究にて、このような《精神感応》を利用した意識ネットワークを『αネットワーク』または『αネット』と呼んでいた。

フィサリス:とにかく状況がしりたいですよ! 無いが何だからさっぱり
アリサ:誰か各車輌の情報を教えてください。何かわかったら呟いてください
和輝:つぶやくとか言うな……
アリサ:と、とにかく情報を……!

 順々に各車両の情報が開示される。

羽純:1号車ではWLOという武装集団がが占拠している。乗客を攻撃することはないようだ。列車に乗せられた【キケンブツ】を探しているらしい
アール:……【キケンブツ】だと?

 思考がざわめく。一年前の事件に関わった者たちの意識にゆらぎが見れる。

羽純:金属の箱のようなものに入っているみたいだ。確定じゃないが
蛇々:な、なんだ! 驚かさないでよ……2号車には特に怪しいものはないよ
アール:俺と蛇々は2号車からその【キケンブツ】を探そう……1号車は……調べる必要はないか

「行くぞ、蛇々」
「ちょっと、待ちなさい!」
 アールに蛇々がついていく。周辺の物を《サイコメトリー》して情報収集しつつ、3号車へと向かう。