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リアクション
*
契約者たちがマリアンヌと教授を追い詰めていたその頃。
エンヘドゥを助け出すために動いていた契約者たちも敵の妨害を掻い潜り、彼女の元へとたどり着いていた。
「しっかりするんだ、エンヘドゥ!」
如月正悟はエンヘドゥの元へ駆け寄ると、張り裂けそうな声で叫んだ。
だが反応はない。
「目を開けて!」
「落ち着いてください。こういう時こそ冷静になることが必要です」
と、そんな正吾を嗜めるように葛城吹雪がそういった。
そしてピッキングの技術を使って、十字架に拘束されていたエンヘドゥを助け出そうとする。
だがそんな吹雪にローザマリア・クライツァールが声をかけた。
「ちょっと待って、念の為に危険がないか調べて見るわ」
ローザマリアはそういうと十字架を調べはじめる。
そして危険がないことがわかると、それを吹雪に伝えた。
「では、外しますね」
吹雪はそういうとエンヘドゥの拘束を解き、ゆっくりと慎重に彼女の身体を受け止めた。
「わたしも手伝うわ」
と、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)が側にやってきてエンヘドゥの肩を支える。
そして吹雪とルカルカは彼女の身体をゆっくりと下におろした。
ルカルカは、横になったエンヘドゥを険しい目つきで見つめる。
「マズイはね……ダリル、頼める?」
「まかせろ」
教導本部の医師であるダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は、ルカルカに言われてエンヘドゥの傷を癒していく。
「あっ、私もお手伝いします!」
と、刹那の攻撃で傷ついたアルテミスを手当てしていた杜守柚が声をあげる。
そして、ふたりの治療のおかげでエンヘドゥの傷は塞がり、血を止まった。
だが、多くの血を失ってしまったエンヘドゥはなかなか目を覚まさない。
そんな彼女を見た榊朝斗がぽつりとつぶやく。
「まさか、このまま目を覚まさないなんてことはないよね……」
「ちょっと朝斗! あまり不吉なことはいわないで!」
「ごっ、ごめん」
パートナーのルシェン・グライシスに怒られ、そういった朝斗だったが、やはり不安は拭いきれない。
「おい、なにを難しい顔をしておるのだ?」
と、夏侯 淵(かこう・えん)が、険しい顔つきで床を見つめるカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)にいった。
「いや、これは何の魔術式かと思ってな」
「うーん、あまりみたことはないタイプだが、おそらく魔術式だとは思う」
「ま、こういうよくわからねぇもんはぶっ壊すに限るな」
「そうだの。だが、まだ壊すなよ。みんなが巻き添えを食うでな」
「わーってるよ」
カルキノスはそういうと、エンヘドゥや契約者たちがいる方へと視線を向けた。
「とりあえず、エンヘドゥのことは私にまかせて」
リネン・エルフトはそういうと、目を閉じたままのエンヘドゥを背負う。
契約者たちは話し合い、目を覚まさないエンヘドゥをこのままここに置いてくのは良くないということになったので、とりあえずこの場所から脱出することにしたのだった。
「外に行くまでは私と夏侯淵がなんとしても守るわ」
と、ルカルカがそういって握り拳を作る。
他の契約者たちも、ルカルカと同じ気持ちの者が多く、表情を引き締めた。
そんな中、千年王の像の前でアキラ・セイルーンはひとり祈りを捧げていた。
(このたびは貴方様の寝床を荒らし、安息なる眠りを妨げてしまった不敬をどうかお許しください。いずれ盛大なる慰霊祭が執り行われるとこでしょう。そのときにまた正式にご挨拶を――)
「これは捧げ物です」
と、アキラのパートナーであるセレスティア・レインが、持参してきた豪華な花束と超有名銘柄の日本酒を捧げる。
そして手を合わせてアキラと同じように千年王に祈った。
そんなふたりの元に、道中で倒した墓守のスケルトンたちの骨を拾い集めて持ってきたルシェイメア・フローズンが現れる。
「この者たちも千年王の側に置いてやるかのぉ」
ルーシェはそういうと、死してもなお王の側にいた者たちをそっと地面に置いた。
「さあ、みんな行こう!」
と、リアトリス・ブルーウォーターが皆を促した。
その言葉にうなずき、契約者たちはエンヘドゥを連れてこの場所を動き出す。
「さてと、それじゃあこの祭壇みたいな場所をぶっ壊すとするかな」
カルキノスは腕を鳴らしてそういった。
そんな彼の横に国頭武尊が現れる。
「オレも協力するぜ」
そういう武尊の手の中には機晶爆弾が握られていた。
と、その時。
魔術式の上を流れていたエンヘドゥの血が、そのすべてを赤く染め上げた
そして魔術式からは、凄まじいまでの光が生じる。
その異変を目にした契約者たちは、思わず動きを止めた。
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