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夏合宿 どろろん

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夏合宿 どろろん

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「今度は、わたしたちの番だね。いこう、瑛菜おねえちゃん」
 今度は、入れ替わりでノーン・クリスタリアさんと熾月瑛菜さんの番です。
「お化けだぞー」
 さっそく、森でティー・ティーさんのシーツお化けが現れました。
「あにぃ〜、ああん」
 その程度ではまったく動じない熾月瑛菜さんが、鬼眼でティー・ティーさんにガンを飛ばしました。
「ふええ〜」
「失礼しましたあ!」
 逆に驚かされて硬直したティー・ティーさんを、源鉄心さんが素早く回収していきます。
うわあい、凄い凄い
 ノーン・クリスタリアさん、大喜びです。これなら、お化けも怖くありません。
「さあ、ついてきな。行くよ」
 熾月瑛菜さんがノーン・クリスタリアさんをうながします。
 お化けたちを近づけさせもせずに、熾月瑛菜さんたちは無事洞窟までやってきました。
「さすがに、おどろおどろしい雰囲気じゃん」
「でも、瑛菜おねーちゃんなら、平気だよね」
「もっちろん。さあ、行くよ」
 玉藻 前(たまもの・まえ)さんが放つアボミネーションをもろともせずに、二人は祠へむかって突き進んでいきました。
「なんだか、強敵がやってきたようなのだよ。月夜、ここは協力して、思いっきり脅かしてやるのだ」
「うん。でも、どうするの?」
 玉藻前さんに言われて、水着姿の漆髪月夜さんが聞き返しました。
「こうするのだよ。どれ、可愛がってやろう
 言うなり、玉藻前さんが漆髪月夜さんの背後から、胸をわしづかみにしました。
「きゃあああぁぁぁぁーーー!!」
 洞窟内に漆髪月夜さんの悲鳴が鳴り響きます。
「玉ちゃん、何するの!」
「なに、その慎ましやかな胸を少しでも大きくしてやろうと揉んで……」
 ぺしぺしぺし!
「痛い痛い痛い……」
 思いっきり玉藻前さんが漆髪月夜さんに叩かれました。
「な、な、な、なんの声なんだもん。もしかして、お化け!?」
 漆髪月夜さんの悲鳴を聞いたノーン・クリスタリアさんが、思いっきりビビりました。
「なあに、シャウトならあたしだって負けないよ。Ah〜!!」
 負けじと、熾月瑛菜さんが叫びました。
「おお。ほら、ちゃんと相手も怖がってるではないか」
 熾月瑛菜さんのシャウトを悲鳴と勘違いした玉藻前さんが、ほくそ笑みます。
「さあ、もう一度……」
「きゃー! だめだってば!」
 またもや、悲鳴が響きます。
「こっちだね、急ぐよぉ」
 悲鳴を聞きつけた清泉北都くんが、モーベット・ヴァイナスくんを連れて漆髪月夜さんのところへ駆けつけてきました。
大丈夫?
 清泉北都くんが、漆髪月夜さんと玉藻前さんに声をかけます。
「なんだ、お前たちは?」
「救護班ですよ」
 玉藻前に聞かれて、モーベット・ヴァイナスくんが答えました。
「間にあってるのだよ。しっしっ!」
 追っ払おうと突き出した玉藻前さんの手が、運悪くモーベット・ヴァイナスくんのメガネに触りました。当然、洞窟の中でいろいろやっていたので、メガネが汚れます。
「ふっ、メガネを汚したね。汚したなあ!!」
「えっ!?」
「問答無用だ。救護所に連れていく。説教だ!!」
 モーベット・ヴァイナスくんの千眼睨みが、玉藻前さんと漆髪月夜さんを石化させて動けなくしました。
「こらあ、何やってるのぉ! 仕方ない、救護所に運んで治してもらいますよ!」
 清泉北都くんがモーベット・ヴァイナスくんを叱りつつ、漆髪月夜さんと玉藻前さんを二人で運び出していきました。
 そのころ、熾月瑛菜さんは、祠の前でお面を被った樹月刀真くんとガンの飛ばしあいの真っ最中でした。どちらも、別の意味で怖いです。
 でも、その間に、ノーン・クリスタリアさんが祠に二枚貝の貝殻を収めました。
「終わったよー。おにーちゃんも、お菓子食べる?」
「ええっと、終了?」
 拍子抜けしてしまった樹月刀真くんが、ノーン・クリスタリアさんからお菓子をもらいました。
「じゃあ、気をつけて帰ってくださいね」
 ポリポリとお菓子をかじりながら、樹月刀真くんがノーン・クリスタリアさんと熾月瑛菜さんを送り出しました。
「おーい、月夜、さっきの悲鳴はなかなかだった……って、いない!?」
 漆髪月夜さんたちの様子を見に来た樹月刀真くんは、そこに誰もいなくて、呆然と立ちすくむのでした。
 漆髪月夜さんたちは救護所に運ばれて石化を解いてもらっていたわけですが、やや遅れてノーン・クリスタリアさんたちもスタート地点に戻ってきました。
「おかえりー」
 アテナ・リネアさんが、熾月瑛菜さんを出迎えます。
「全然平気でしたよ。怖くなかったです」
「嘘ですわね。ちゃあんと、陽太には、『わーん、もの凄く怖かったよー』ってメールで報告するのですわよ」
 自分は棚に上げて、エリシア・ボックさんは、そうノーン・クリスタリアさんに言いました。