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リアクション
★ ★ ★
「よろしくー。いろいろとってこようねー」
「とってくる？」
エーリカ・ブラウンシュヴァイク（えーりか・ぶらうんしゅう゛ぁいく）さんの挨拶に戸惑うイングリット・ネルソン（いんぐりっと・ねるそん）さんでしたが、すぐにその意味を知ることになります。
「ほら、あそこに葡萄があるよ！」
とととととーっと、エーリカ・ブラウンシュヴァイクさんが走りだして木の枝に手をのばします。木の枝に蔓草が絡まって、山葡萄がなっていたのでした。
「ちょ、なんでこちらに登ってくるのだ！？」
木の上にいたイングラハム・カニンガムくんが驚いて落っこちました。
「出ましたわね、変な物！」
すかさず、イングリット・ネルソンさんが、イングラハム・カニンガムくんを掴んで、バリツで遠くへと投げ飛ばしました。
「ぐえっ」
イングラハム・カニンガムくん、木の幹に叩きつけられてリタイヤです。
「どうしたの？ 何かいた？」
山葡萄をかかえたエーリカ・ブラウンシュヴァイクさんが聞きました。
「いいえ、何もなかったですわよ」
しれっと、イングリット・ネルソンさんが答えます。
「いよいよ、私の出番が来たようだな」
満を持して、コア・ハーティオン（こあ・はーてぃおん）くんが言いました。今までずっと機会をうかがってはいたのですが、実はコア・ハーティオンくん、心霊現象が苦手です。うっかり葛城吹雪さんの勇姿を見てしまってから、びびってずっと隠れていたのでした。やっと復活です。
「ハーティオン、ハーティオン」
「うむ？ うぎゃあああ！」
呼ばれて振り返ったコア・ハーティオンくんの首筋に冷たい物が触れました。ただのコンニャクです。ですが、驚いたコア・ハーティオンくんが尻餅をつきます。
「何かしら、今の食用蛙を逆さ吊りにしたような声？」
さすがに、イングリット・ネルソンさんが驚いて周囲を見回します。
「食用蛙がいるの？ あれも美味しいんだよ」
即座に、カエルを探してエーリカ・ブラウンシュヴァイクさんが走りだしました。
「ああ、お待ちなさい」
あわててイングリット・ネルソンさんが追いかけていきました。
「大丈夫？ ハーティオン」
完全にタイミングを逸したコア・ハーティオンくんのところに、先ほど声をかけたラブ・リトルさんがフードつきのマントをすっぽりと頭から被って現れました。
「ラブか」
ほっとしたように、コア・ハーティオンくんが言いました。知り合いがいれば、心強いです。
そのとき、生暖かい風が吹いてきて、ラブ・リトルさんのフードの部分を吹き払いました。隠されていたラブ・リトルさんの素顔が顕わになります。それは、一つ目だったのです。
「うわああああ！！」
驚いたコア・ハーティオンくんが走って逃げだしました。
「ははははは、おもしろーい」
頭の上に夢宮ベアードくんを載せていたラブ・リトルさんは大爆笑です。ちょっと酷いかもしれません。
「ヤレヤレ。ヤクソクノ、オワンブロハ、マモッテクレヨ」
ちょっと疲れたように、夢宮ベアードくんが言いました。
一方、逃げだしたコア・ハーティオンくんが、道端でビタンと派手に転びました。その勢いに、隠れていた忍者超人オクトパスマンくんが引きずり出されます。
「いたたたた、おい、なんでハーティオンなんだ！？」
走ってくる者がいたので、足を掴んで脅かしたわけですが、それがコア・ハーティオンくんだったのは想定外でした。思いっきり転んだコア・ハーティオンくんは、完全に気絶しています。
「回収します」
悲鳴を聞きつけてやってきた希龍千里さんが、たんたんとコア・ハーティオンくんを引きずっていきました。
「おさかなー！」
「あなた、目的が違ってませんかあ！？」
海岸に着くなり、打ちあげられていた魚を拾い出したエーリカ・ブラウンシュヴァイクさんに、イングリット・ネルソンさんが叫びます。これでは肝試しではなくて、ただの食料調達です。
「さあ、もう行きましょう」
「はーい」
持ってきたスーパー袋に獲ったヒラメを突っ込むと、エーリカ・ブラウンシュヴァイクさんがイングリット・ネルソンさんに答えました。
洞窟でも、エーリカ・ブラウンシュヴァイクさんはハンターモード全開です。
「これも食べられるんだよ」
今度つかまえたのは蛇です。
「さすがにそれは……」
いくらなんでもイングリット・ネルソンさんもドン引きです。でも、エーリカ・ブラウンシュヴァイクさんは全然平気なようでした。うねうねする蛇を持って、ニッコリと笑っています。
「チャックが……うえっ！？」
ちょうど映像の岩壁の中から現れたカレン・クレスティアさんが、思いっきり蛇の尻尾に顔をぶつけてひっくり返りました。
「あらあらあら」
さすがに、イングリット・ネルソンさんが呆れます。
「あー、これはこちらで回収するので、気にせず進んでくれ」
ジュレール・リーヴェンディさんが姿を現して、二人に告げました。救護所に連絡して、カレン・クレスティアさんの回収を頼みます。
「では、さっさと済ませてしまいましょう」
イングリット・ネルソンさんがエーリカ・ブラウンシュヴァイクさんをうながして、祠に小さな桜貝を収めさせました。
「帰ってきましたな……って、なんですか、その両手にいっぱいの食材は……」
スタート地点に戻ってきたエーリカ・ブラウンシュヴァイクさんとイングリット・ネルソンさんを出迎えたリブロ・グランチェスターさんが、二人のかかえている食材を見て呆れます。
「とってきたよー」
自慢げに、エーリカ・ブラウンシュヴァイクさんが答えました。なし崩しに運ぶのを手伝わされたイングリット・ネルソンさんは苦笑いです。
「とりあえず、食事処があるから、そこの屋台に渡すのだな」
リブロ・グランチェスターさんがエーリカ・ブラウンシュヴァイクさんたちに言いました。
