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大迷惑な冒険はいかが?

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 森。

「……こういう生活も悪くはないよな。おまえが言っていた果物はこれじゃないか」
 白銀は北都の指示に従って『超感覚』で果物を探していたのだ。
「それだね。ずっとでなければいいかもしれないけどねぇ」
 北都は白銀が見つけた果物を持って来たかごに入れた。
「……工夫してアトラクションとして使えるんじゃねぇか。こんな事言ったらまたあいつらを調子に乗らせるけど」
 白銀はロズフェル兄弟が聞いたら喜びそうな事を口走った。
「……だろうね。派手な計画を聞かされたけど、足りないぐらいに思うし」
 北都もうなずいた。浮かれる様子が目に浮かぶ。
「……モンスターだね。案内した時に遭遇しなくて良かったけど」
 北都は、そう言いながら襲って来るモンスターを『サイドワインダー』で倒した。
「もうそろそろ戻るか」
「そうだねぇ」
 北都は白銀の言葉で店に戻る事にした。
 店に戻った二人はしばらく商売をしてからブリジットの自爆から身を守るため避難した。

 陽竜商会、店内。

「心地良い音ね」
 『経理』を持つクロウディアは売り上げを素早く計算し処理をしてから小型金庫に入れていた。
「予想通りの成功ね」
 クロウディアは高額商品を二種類も買ってくれたキスミを思い出していた。何も文句を言わず、楽しそうに買ってくれた最高のお客様。
「……クロウディア、処理が終わったのなら早く避難するよ」
 外の騒がしさを気にするグラナダが急かした。外では避難者で溢れているのだ。
「はいはい。もう少し商売をしたい所だけど」
 クロウディアは避難準備を終え、ゆっくりと立ち上がった。

 そんな時、
「ぐぎぁぁ!!」
 店の外からテラーの叫び声。
「テラー!!」
 クロウディアは急いで店の外へ。
「どうした!!」
 グラナダも臨戦態勢で外へ行く。

 外。

「ぐぎぁらぐきぁら」
 テラーが頭を押さえて怯えたように泣いていた。
 どうやらモンスターに攻撃されてしまったようだ。
「テラーをいじめる者は許さないよ!!」
 レオニダスは、殺気だった様子でテラーを守るように立ち、テラーを攻撃したモンスターを『チェインスマイト』と『ヒロイックアサルト』で数秒で倒してしまった。さすが、親代わりのレオニダス。
「テラー、もう大丈夫だ」
 クロウディアはテラーの側に行き、悲しみさえ吹き飛ばす甘いお菓子を差し出した。ちなみにかなりのお値段がする物だ。
「ぐぎぁ」
 テラーは受け取り、ぱくりとお菓子をほおばった。すっかり泣き止んでいた。
 守銭奴のクロウディアが高価な物をためらわず渡したのは、相手がテラーだからだろう。
「さっさと避難をするよ。モンスターはあたいが片付けるから行け」
 そう指示している間も手当たり次第モンスターを倒しているグラナダ。
「テラー、行くぞ」
 クロウディアはテラーがはぐれないように手を引っ張って避難場所へ急ぐ。
「ぐりぃぐがぁ?」
 テラーは何が起きているのか解らないままついて行った。
「急ごう」
 レオニダスはテラーが攻撃されないように周囲を警戒しつつ避難。
「こうでないとな」
 殿を務めるグラナダは『疾風突き』を使ったりしてモンスターから仲間を守っていた。
 四人は無事避難場所へ移動出来た。

「……勇者軍のサポートも無事終える事が出来ましたね。あとは無事を祈りつつ避難をするだけ」
 舞花はキスミが自分の用意した剣を役立てくれる事を信じて避難の準備を済ませ、店を出て避難場所へ向かった。

「アンちゃん、避難しよう」
 スウェルは慌ただしく避難していく人々を眺めながら言った。
「そうですね。やっぱりまだまだ楽しみたかったですね」
 アンドロマリウスは終わりだと分かっていてもやっぱり残念に思う。
「うん」
 スウェルも同じだった。このファンタジーの世界にもう少しだけ浸りたかった。
 しかし、ブリジットの自爆に巻き込まれるわけにはいかないので速やかに避難した。

「もうそろそろ終わりだな」
 ウォーレンは、モンスターを『風術』で壁に叩きつけながら言った。
「そうじゃな、教会に残しておるギャドルはどうするかのぅ」
 戦い終えたルファンは教会のベッドに寝かせているギャドルの事を思い出していた。
 本当なら側にいるべきだったのだが、自警団の活動と避難指示が出たので一人にして来たのだ。それにギャドル一人にしても心配無いと信じているから。
「みんな、早く早く」
 モンスターの相手は二人に任せ、イリアは町民の避難誘導に集中していた。
「……あれ、ギャザオ?」
 イリアは避難誘導をしている中、見覚えのある三つ編みを発見。
「ダーリン!」
 イリアは少し離れた所にいたルファンを呼び、指をさした。
「どうかしたかのぅ。あれはギャドル」
「あいつ、城に向かってるのか」
 ルファンだけではなくウォーレンもイリアの指の先に視線を向けた。
 ギャドルが城へ向かっているのが見えた。

「……目を覚ましたんだな。少し様子を見て来るぜ」
 ウォーレンは、様子を見に行く事にした。ただ地上は避難で混雑しているのでコウモリの羽を広げ空から行く。
「気を付けてのぅ」
 ルファンはギャドルの事をウォーレンに任せ、自分はイリアと共に避難誘導を続けた。

「ダーリン、次行こう」
 イリアが今いる場所の誘導完了を確認し、ルファンに呼びかけ次の場所に移動した。