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【すちゃらか代王漫遊記】セレスティアーナの涅槃巡り!

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【すちゃらか代王漫遊記】セレスティアーナの涅槃巡り!

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★プロローグ「今度こそはという決意」★


 目を開けて最初に飛び込んできたのは、見知らぬ少女の顔だった。
 少女の周囲には他にもたくさんの人間がいたけれど、やはり見知った顔はどこにもなかった。

――ああ、そうか。彼らはもういないのか。

 すぐに現状を把握した。把握せざるを得なかった。
 悲しみも寂さしも悔しさも、すべてを飲み込んで少女たちを次の__と認めて受け入れた。
 涙なんて出やしない。絶望なんぞしている場合じゃない。自分の使命は終わっていない。

――今目の前にいる新しい__たちを今度こそ……。

 ただその決意だけが、自分の存在する意義だった。


* * *



 アガルタの総司令部――役所――で、街の責任者であるハーリー・マハーリーは今日も書類に埋もれていた。
 盗賊退治の依頼は出したがもう二度とこんなことがないように護衛計画の見直し。新店舗や住居の可否。治安に関する事案。さまざまな書類が彼のところに流れ込んでくる。まだできたばかりのアガルタは司令部内もごたごたしているため、ハーリーの負担も大きいのだ。
 とはいえ、息抜きがてらに周囲を散策――視察も兼ねている――することもある。
 ハーリーがレキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)ミア・マハ(みあ・まは)に出会ったのも、まさしくそんな時だった。

「ねぇねぇ。秘密喫茶って聞いたことある?」
 新しい町ができたと聞いてアガルタへ遊びに来たレキたちだが、秘密喫茶なる店があるらしいと小耳にはさんだのだ。しかし街のPRポスターやチラシなどには載っていないので、こうして聞いて歩いているのだった。
「あー……情報集めならお勧めの場所があるぜ。アガルタ冒険者の宿って呼ばれてるとこだが」
 秘密喫茶の場所を知っているハーリーだったが、別の場所を教えた。というのも、秘密喫茶に行ったならば他の場所への観光が厳しくなるだろうと言う予測からだ。総責任者としてはあちこち回ってもらいたいのだ。
「そうなんだ。ありがとう!」
「ふむ。礼を言うぞ」
 笑顔で去っていった2人を見送り、次に彼が向かったのはアガルタの南門。現在アガルタの出入口は北だけなのだが、街はかなり広大なため南西東にも1つずつ出入り口を建設する予定なのだ。
 工事の進み具合は順調なようで、ハーリーはホッと息を吐きだし、中継基地があるだろう方角へと目を向けた。
「ま、こっちも負けてられねぇしな」