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第七章 最後の戦い


 落下していく機動要塞に、大型飛空艇のブリューナクが強行接舷する。
「乗り切れない人はこの船へ!」
 セシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)は、要塞内に
「フォークナー海賊団旗艦・ブリューナクへようこそ。お客様方、どうぞごゆっくりお寛ぎ下さいませ」
 ブリューナクの舵を握る八木山 バフォメット(やぎやま・ばふぉめっと)が丁重に出迎える。
『皆を助けてくれて、ありがとう』
『高く付くわよ? 海賊をわざわざ船ごと空に呼びつけたんだから』
 セシルは、エネフに乗ったフリューネの無線に答えると、空中に残るペガサスライダーの残党に向き合った。
「かかって来なさい三流空賊ども!」
 セシルはブリューナクの周囲を取り囲むペガサスライダーに、雷を落としていく。
 甲板に立つ禁書 『フォークナー文書』(きんしょ・ふぉーくなーぶんしょ)も、同じように雷でペガサスたちを撃ち落としていた。
 近付いてくる他のライダーを千眼睨みで動けなくしてから、狙いを定めて雷を落としていく。
「私はあんた達と違ってか弱いのよ。しっかり守ってよ?」
「防御は任せな。全員守ってみせらぁ」
 グラハム・エイブラムス(ぐらはむ・えいぶらむす)は、苦悶の盾を構えて追っ手を睨みつける。
 ブリューナクに飛び込んで来ようとするペガサスライダーを、グラハムの盾が防ぐ。
「俺の盾はてめえら如きに砕ける程ヤワじゃねえんだよ! 出直してきな!」
 セシルがすかさずエナジードレインをかけてエネルギーを吸い取った。
「近付けば勝てると思った? 残念、私は接近戦のほうが得意です」
 そう言うなり、セシルの放った歴戦の魔術のエネルギー弾が、ペガサスライダーを吹き飛ばす。
「まだ追っ手がこんなにいるなんて……」


 その頃、ブリューナクの甲板前方では。
「朱鷺は、葦原の八卦術師。義によって、フォークナー海賊団に助太刀致します。
 天に授かった命を粗末にしたい者からかかってきなさい」
 名乗りを上げる東 朱鷺(あずま・とき)
「久々の海賊行為が空中戦闘とは。恐れ入るが、これも九鬼水軍復興の為――」
 そして、マスケット・オブ・テンペストを構える 九鬼 嘉隆(くき・よしたか)
 二人は、前方に現れる空賊たちを視界に収めた。
「試しに錬金術・壱式【空球】を使ってみましょうか」
 朱鷺はそう言って何やら呪文を唱えると、魔力の籠ったシャボン玉を生み出した。
 乱気流に乗ってあちこちへとばら撒かれたシャボン玉が、ペガサスライダーたちに次々と当たっていく。
「そうですね、あとは漆黒の鷹にペガサスたちを襲わせましょう」
 何やら楽しそうな朱鷺の隣で、嘉隆はマスケット・オブ・テンペストの先から舞い降りる死の翼を放つ。
 鋭い風がペガサスたちの飛行を邪魔し、バランスを崩したところに朱鷺の放った鷹が襲いかかる。
「空中戦闘って奴はこうやるんだな! 分かった気がするぜ!」
 嘉隆はそう言いながら真空派を放ち、新たに現れた空賊たちを切り刻んでいく。
「セシルキャプテンたちは稲妻で敵を撃ち落としているようですね。それなら雷でフォローもしてみましょう」
 朱鷺は仕上げとばかりに、稲妻の札で呼び寄せた雷を、前方一帯に落とした。
「片付いたようですね」

 ブリューナクの周囲の敵があらかたいなくなった頃、フリューネから無線が入った
『私は頭領を追うわ! 皆を連れて村に帰っていて!!』
 ブリューナクに乗った面々が辺りを見回すと、一頭のペガサスが戦線を外れて炎水龍イラプションブレードドラゴンを追っていくのが見えていた。