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■一足早いクリスマス

コリマ校長に許可を得て、
神崎 優(かんざき・ゆう)
神崎 零(かんざき・れい)
陰陽の書 刹那(いんようのしょ・せつな)たちは、
海京の安徳 天皇(あんとく・てんのう)に会いに来た。

雪が、12月の海京を白く彩る。

「おお、よくきたのう」
安徳天皇が、3人を迎え入れる。
「元気だったか?
久しぶりだな。学園の生活には慣れたか?」
「ああ。
皆、優しゅうしてくれるのでな。
優たちも、元気そうでなによりじゃ」
「聖夜は用事があって今日は来れないが、会ったら宜しく伝えてくれと言っていた」
「そうか。残念じゃが、また今度、会えるといいな」
パートナーの神代 聖夜(かみしろ・せいや)の言伝を伝えた優に、
安徳天皇がうなずく。

「どうぞ、安徳天皇」
零が手作りの、クッキーやカップケーキなどを差し出す。
「おお、全部、おぬしが作ったのか?
すごいのう。
さあ、皆で食べよう」

一行は、温かい部屋で、お茶を飲みながら、
クッキーやカップケーキを楽しんだ。

【キャンドル】をともして、
一足早く、クリスマスらしい雰囲気を出してみる。

「以前は、紅葉がきれいだったな」
「今度は雪見の季節じゃのう」
「ああ、季節の経つのは早いものだな。
そういえば、修学旅行ではローマの古代遺跡に行ったんだ」
「おお、なかなかに栄えた文明だと聞いておるが」
「よかったら、写真、見るか?」
優が、近況を報告する。
「皆、楽しそうじゃな。わらわもいつか行ってみたいものよ」
修学旅行の写真を見て、安徳天皇が顔をほころばせる。

「そういえば」
刹那は、微笑みながら、安徳天皇に打ち明ける。
「実は聖夜と恋人同士になったんです」
安徳天皇は、目を丸くして、
それから、笑顔で言った。
「よかったのう。幸せになれよ」

そして、安徳天皇が、興味深そうに問う。
「それで、どんなことをするのじゃ? でーととか」
「えっとそれは……」
ちょっと照れつつも刹那は報告する。

零も加わって、恋バナで盛り上がる3人を見て。
(やっぱ、小さくても女子だな……)
そう、優は思ったのだった。

しばらくして、零が、
新たな包みを取り出す。
「ちょっと早いけど、私達からのクリスマスプレゼント!」
「おお、ありがとう! 開けてもよいのか?」
プレゼントされたのは、手編みのマフラー、手袋、毛糸の帽子であった。
「暖かいのう。大切にするぞ。ありがとう」
笑顔の安徳天皇に、零も笑顔で言う。
「これから段々寒くなるから、風邪には気を付けてね」
「ああ。もちろんじゃ。おぬしらもな」

「それじゃあ、みんなで何かして遊ぼっか。何がしたい?」
零に聞かれ、安徳天皇は、窓の外を指さす。
「せっかくだし、雪合戦をするのはどうじゃ?」
「え、大丈夫?」
「【マフラー】や手袋で暖かいから平気じゃ」
安徳天皇は、さっそくマフラーや手袋、帽子を身に着けていた。

「よし、せっかくだし、ひさしぶりに遊んでみるか」
「そうね」
「じゃあ、行きましょうか」

庭には、きれいな雪が積もっていた。
積もったばかりの雪をかけあいながら、
優も、零も、刹那も、
童心に帰って安徳天皇と遊ぶ。

それは、とても楽しい、冬の一時だった。