蒼空学園へ

イルミンスール魔法学校

校長室

シャンバラ教導団へ

紅き閃光の断末魔 ─後編─

リアクション公開中!

紅き閃光の断末魔 ─後編─

リアクション

終章 いつの時も終わりは始まり


 黒衣の男・シュヴァルツが退室し、
 嵐が過ぎ去った後のような静寂が、この場所に帰ってきていた。

「契約者の諸君、ご苦労だったのだよ」

 その静寂に響いた声は、団長・金鋭峰のものだ。

「本裁判の目的である内部犯の割り出しには成功した。
 レベッカ・チッコリーニ、さすがに君も、もう認めざるを得ないであろう」

 強情だったレベッカも、脅されての事だったと理解があったからか、

「そうよ……仕方なかったのよ……。
 だって、あの日指示に従わなかったら、私の母が、爆弾で……!」

 動機と共に、犯行を自白した。
 体の不自由な母の家に、リモコン式の爆弾が仕掛けられていたのだそうだ。
 逆らって起爆される事を恐れ、彼女は黒幕の言う通り動いたのだという。
 だからといって許される事ではないが、卑劣な黒幕のやり口には閉口する他なかった。

 ……ちなみに外部犯は部外者らしい。
 おそらくシュヴァルツの言うエレクトラとやらの刺客だろう。
 また、レベッカは他の生き残りの中には、共犯者はいないとも供述した。
 以上の点から考えるまでもなく、早川とデュオが犯人という線は無さそうである。

 事情の説明が終わると、アメリーは無言のままレベッカを抱きしめた。
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は見ていられなくなって、

「なぜ、教導団に相談しなかったの……?
 こんな事になる前に相談していれば、
 研究所の仲間もお母さんも、全員助けられたかもしれないのよ……?」
「……教導団にも、スパイがいるって……。
 通報すれば、すぐにわかるようになっているって言われて……」

 ハッタリなのか真実なのか。
 仮に本当だとすれば由々しき事態であるが、
 ……その真偽を確かめる事には、少し時間がかかりそうである。

「ともかく、これにて閉廷とする。
 が、素直にレベッカ・チッコリーニを有罪とし、黒幕に屈したまま終わる事はできん。
 黒幕に反撃するため、生き残りの5人には、彼女が犯人であることを
 我々は見抜けなかった、という偽装工作に協力してもらう事になるであろう


 金鋭峰の発言の意図を素早く読み取り、夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)が要点だけ復唱してみせる。

「……レベッカ氏以外の人物が、内部犯として捕まったように偽装するのですな?
 そして、フリーになったレベッカ氏を泳がせ、新たな指令を待つ……囮作戦」
「その通りだ。
 この作戦は黒幕を追う他に、彼女の母君を救うためでもあるのだよ。
 今から詳細を説明するため、生き残りの彼らにも対策室へ移動してもらいたいのだが、
 ……協力してもらえるか?」

 トマス、アメリー、レベッカ、早川、デュオ。
 今まで言い争っていたはずの5人は、揃って頷いた。

「では、ひとまずこれで解散とする。
 裁判員として協力してくれた契約者諸君には、
 シャンバラ国軍総司令として、改めて礼を言わせてもらうのだよ」





 こうして、全てが終わった。
 否……始まった。
 未知なる技術を持つという未知の黒幕・エレクトラ
 これよりシャンバラ教導団は、その正体に迫っていく事になるだろう。
 暗躍する悪の組織を相手に、国の威信をかけた戦いが幕を開くのだ。
 ―――その時が訪れるまで、戦士達に、しばしの休息を。


担当マスターより

▼担当マスター

水無月へる

▼マスターコメント

▼ マスターより

 水無月へるです。
 ここまでお読み頂いた方、ご参加頂いたプレイヤーの皆様、ありがとうございました!
 紅き閃光の断末魔は、これで完結となります。
 後編は非常に狭い舞台で、ほぼ会話のみで進行するイレギュラーなシナリオでした。
 その影響から登場人物も大勢が集まることになるので、
 読みやすさを重視し、議論パートでは地書きを控える方針で書いてみました。キャラ名がいっぱいだぁ。

 そして……本シナリオの結末について。
 今回は真犯人の特定に成功し、正規ルートとなりました。悔しいですが皆様の勝利!
 次回は負けませんよ(ぇ
 どのアクションも知的で、読ませて頂いているこちらもハッとしたり……つい楽しみながら読んでしまいました。
 全体の判定自体は、追求数と擁護数による数値的なものだったのですが、
 アクションの反映度やキャラの掛け合い、事件のナゾなどなど、描写についてはいかがでしたでしょうか?
 皆様のアクションに負けじと、知的な推理バトルを目指したつもりなのですが……
 楽しんでいただけたなら幸いです!

 そして、遂に登場した黒幕の組織・エレクトラ。
 次からはそこへ集約するシナリオを、新規に少しずつ進めていきたいと考えています。
 教導団としても、このまま放っておく訳にはいきませんからね……!
 もしかしたら今回登場した生き残りNPC達も、再登場させるかもしれません。
 それでは、この辺りで。
 またご参加いただけたら嬉しいです〜。


PS.
マーキング称号の事なんですが、完全に失念していました……。
ごめんなさいもうしません許してください!
……次からは気をつけます(泣)